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みんなの得意を売買する日本最大級のスキルマーケット、ココナラのIPOサマリー

個人の知識・スキル・経験に基づくサービスを売買するスキルのマーケットプレイス「ココナラ」を運営する株式会社ココナラ(以下、ココナラ)が東京証券取引所マザーズに上場承認された。承認日は2021年2月10日で、同年3月19日に上場を果たす。

ココナラは、「一人ひとりが“自分のストーリー”を生きていく世の中をつくる」を経営ビジョンとして、2011年7月に創業。

経営ビジョン実現の第一歩として、誰もが自分の得意を活かして“商い“を経験できる場を提供すべく、2012年7月に「ココナラ」の運営を開始した。設立当初の社名は“ウェルセルフ“であったが、2014年6月に現在のココナラに商号を変更。創業からおよそ10年4ヶ月での上場となる。

本記事では、新規上場申請のための有価証券報告書の部の情報をもとに、同社のこれまでの成長と今後の展望を紐解いていく。

営業収益の成長は底堅く、広告宣伝費の減少により直近第1四半期は黒字化へ

上図は過去5年間の営業収益と営業利益の推移である。2020年8月期の営業収益は2016年8月期からの5年間で8.3に成長した。2019年8月期から2020年8月期にかけての営業収益上昇の主な要因は、後述するサービスの流通高の増加によるものだ。この結果、2020年8月期は前事業年度より6億3,708万円増加し、177,555万円となった。

営業利益については上下があるものの、2020年11月の時点で6,960万円の黒字となっている。2019年8月期から2020年8月期にかけての営業損失の主な減少要因は広告宣伝費だが、これはテレビCM放映の規模を縮小したことによる。

「ココナラ」においてサービス全体の流通高の中で高い割合を占めるのが「占い」カテゴリだ。2019年8月期通期、 2020年8月期通期および2021年8月期第1四半期における流通高全体に占める割合はそれぞれ41.632.2(同営業収益に占める割合は51.240.7)となっている。

「占い」カテゴリは文字情報提供が基本となるサービスであり、従来からインターネット上のコンテンツとして普及していた。また、個人間で相談ができること、購入者は匿名で利用できること、「ココナラ」が500円から利用できるため価格帯がマッチしたことなど、サービスとの親和性が高いと考えられることから、他のカテゴリよりも構成比が高くなっている。

スキルマーケット「ココナラ」を中心にシェアリングエコノミー・サービスを提供

ココナラは、様々な分野の知識・スキル・経験に基づくサービス・役務をユーザー間で売買するマッチングプラットフォームを運営している。

同社は主力サービスである「ココナラ」の他、弁護士への法律相談プラットフォーム「ココナラ法律相談」、ユーザー同士が対面で会ってサービスが提供できる「ココナラミーツ」を展開している。なお、「ココナラ法律相談」「ココナラミーツ」のユーザーIDは、「ココナラ」のユーザーIDと統一・連携して利用できるようになっており、ユーザーの横断的なサービス利用を促進している。

「ココナラ」では自らの知識・スキル・経験を生かしたサービス・役務を出品者が出品する。出品者は、出品前にあらかじめテキスト、電話またはビデオチャットのいずれかの方法でサービス提供するかを選択し、同社が提供する機能を通じてその方法でのみ出品されることになる。

購入者は、多様な出品サービスの中から希望するサービス・役務を選択し購入する。購入後、出品者と購入者の間で提供サービスにかかるダイレクトメッセージのやりとりが開始される。メッセージは、非公開の専用トークルームで行われ、相談事項に対する回答・アドバイスの提供、依頼事項に基づく成果物の提供などの役務提供が終了した時点で、サービス提供が完了となる。

出品者と購入者間における取引代金の授受については、購入時に同社が購入者から受領し、サービス提供完了後に、サービス売上金(手数料控除後)が出品者に付与される。

取引の流れを図で表したものが以下である。

ユーザーが「ココナラ」を使うメリットは、本業として利用する出品者にとっては本人に代わって集客がなされることで収入が増加する、また、副業として利用する出品者には、副収入が得られる、自分のスキルが人の役に立つことによる喜びが得られるといったことが挙げられる。

一方、購入者側は業者に依頼するよりも移動が不要であり、自身の期待や予算に合った価格帯を選ぶことができる、多様な出品サービスや幅広いカテゴリから選べる、いつでも必要な時に必要な分だけ購入できる、個々のニーズに合致しているものが見つけやすいという点が挙げられる。

購入者は約40万件(2020年11月末)におよぶ各種出品サービスから、自らが必要とするサービス・役務を選択・ 購入することが可能だ。また、希望する出品サービスが無い場合には、「見積り・カスタマイズ相談」 や「仕事・相談の公開依頼」を通じて特定・不特定の出品者からの提案を募集することができる。

同社は出品者のサービス提供完了時に、ユーザー間の取引金額の一定率(25%を基本とし、取引金額が5万円超となる場合は段階的に低減)を手数料として受領している。 

「ココナラ」の2016年9月以降の会員登録数、流通高の推移は以下のとおりだ。

会員登録数は毎年+40%前後で推移しており、FY2020時点でおよそ184万人となっている。この増加の主な要因は、2017年7月と2019年6~8月に実施したテレビCMの放映によるものだ。

後述する、有料購入UUおよびARPPUが順調に伸びており、その結果として流通高も成長している。特にFY2019からFY2020にかけて流通高の上昇はめざましく、+62%の増加をみせた。

注1:Fiscal Yearの略で、会計年度のこと。

「ココナラ」サービスのふたつの特徴とは?

ココナラが展開する事業には、ふたつの特徴がある。

総合カテゴリ型の知識・スキル・経験の取引プラットフォーム

2020年8月期時点で、「ココナラ」で購入実績のあるユーザーは男女半々程度であり、年齢層としては幅広いものの特に20代から40代が中心となっている。また、購入者からの依頼にかかわらず、出品者が先に自らの知識・スキル・経験を出品するため、どのような人でも出品が可能となっており、出品のハードルが低くなっている。

このため「ココナラ」では、多種多様なカテゴリでサービスが出品され、取引されるため、性別問わず、幅広い年齢の多様な属性のユーザーに利用されている。

強力な顧客エンゲージメントをベースにした高成長の収益モデル

「ココナラ」は、単一のカテゴリからの継続購入だけではなく、一度サービスを利用したユーザーが複数カテゴリから購入する傾向にある。そのため、既存のユーザー層からの継続的な収益が見込めることになり、結果としてリカーリング型の収益モデルと同等の安定した収益構造を有している。

また、出品者は購入が多いと評判のあるマーケットプレイスに集まるため、「ココナラ」でも出品することになり、自分の評価も蓄積しながら出品数を増やしていく。購入者は出品数、レビュー数が多い場所で買うため購入者が増加するという循環によってネットワーク効果が働き、出品者と購入者双方のエンゲージメントが向上する自律的な成長のサイクルが実現されるモデルになっている。

結果として、評価数、購入履歴などのデータが蓄積され続けることで、他社からの参入に対する強固な障壁が構築されている。

また、ユーザーによる利用状況として、有料購入UU(注2)による流通高の比率については増加傾向にあり、2017年度以降は半数を超える割合で推移している。

結果として、流通高を構成する、有料購入UU(注3)・ARPPU(注4)は継続的に増加している。流通高=有料購入UU×ARPPUの算定式で示される。

そのほか、ビジネスモデルの拡張や取引の安心・安全性の確保のための取り組みなどにも注力している。

注2:各年度内に有料サービスを購入したユーザー数。
注3:UUとは、ユニークユーザー(Unique User)の略。あるWebサイトにアクセスしたユーザー数(訪問者数)のこと。
注4:ARPPU(Average Revenue Per Paid User)とは、各年度内の有料購入UU1人当たりの平均購入金額。

スキルシェアの市場規模は2030年最大で1.9兆円の予測

ココナラが属するスキルシェア市場では、オンライン取引が活発化している。今後サービスECが拡大する中で、同社はスキルシェア市場のパイオニアとして、先行者利益の享受を目指している。

シェアリングエコノミー協会と情報通信総合研究所の「シェアリングエコノミー関連調査結果(2019年)」によると、スキルシェアの潜在市場規模は、2030年予測で9,743億円、社会的な認知度向上や利用への不安解消などの課題が解決し、個人の利用促進が進んだアップサイドの市場規模は2030年予測で1.9兆円との試算が出ている。

また、総務省が公表した「スマートフォン経済の現在と将来に関する調査研究の請負の報告書(2017年)」の資料では、日本におけるスキル×シェアの利用率は3.7%であり、米国29.6%と比較して低い状況であることが示されている。そのため、仮に副業解禁など米国と同等の条件が揃う場合、日本のスキル×シェア市場は拡大余地が大きいと予測される。

近年は、働き方改革による労働基準法改正で長時間労働を是正する動きが進んでいるため、残業削減による収入減に対して副業で収入を増加したいという出品者側のニーズ、外部のスキルを活用することによる残業削減という購入者側のスキルシェアの活用ニーズが創出される流れができている。

さらに、Withコロナにおけるニューノーマルの生活様式となり、個人では働き方の変化や在宅余暇の活用、法人では非対面取引や外部委託の活用増加の傾向がある。その結果、スキルシェア市場の成長が大きく見込まれるというのが同社の見解である。

有料購入ユーザー数とARPPUを拡大することで、KPIである流通高を拡大へ

前項で示した市場環境をふまえ、市場全体の拡大とともに、同社はテイクレート(注5)を維持しつつ有料購入ユーザー数ARPPUを拡大することで流通高を拡大し、また、中長期的には営業利益率の上昇も目指す。具体的な経営戦略は以下のとおりだ。

①サービス提供手法(オンライン、オフライン)の拡張
②カテゴリ(汎用型、特化型)の拡張
③マッチング手法(1対1、1対多)の拡張
④課金手法(都度、継続)の拡張

上記4つの軸を拡大することで、個人だけでなく、中小企業、大企業を含めたユーザー属性の拡張を目指す。

同社サービスは、あらゆる人の多様な課題を対象としているため、各ユーザーによって数多くのカテゴリでサービス購入されることを重要な事業戦略の一つとして考えている。そのため、全体の流通高を重要な経営指標として設定し、企業規模の拡大、企業価値の向上を目指している。

注5:受託販売手数料、取引手数料の割合のこと

今後の成長の鍵は、出品サービス数の増加に対する検索と購入の容易さの継続的向上

同社は事業上および財務上の取り組むべき課題として、以下の7つを挙げている。

① 出品サービス数の増加に対する検索と購入の容易さの継続的向上
② 新規ユーザー獲得のための認知度の向上
③ 提供手段の拡充
④ カテゴリの拡充
⑤ 安心・安全なサービス体制の強化
⑥ 情報管理体制の強化
⑦ システムの安定稼動

「ココナラ」は、2020年11月末時点で出品サービス数は約40万件と、多様なニーズに対応するサービス数となっているが、購入者が欲しいサービスをスムーズに発見できるようにし、サービスを検索後に購入完了まで簡単にたどりつく必要があると同社は認識している。

このため、出品サービスが適切なカテゴリで出品されることを担保するために、適宜カテゴリの見直しを行っている。また、クレジットカード決済や銀行振込など多様な決済手段を導入している。

新規ユーザー獲得においては、2016年8月期より本格的にオンライン広告を開始し、2017年からはテレビCMを放映するなど、現在では様々な広告により登録数の拡大を行っている。現在のオンライン広告は顧客のターゲティングがより進み、広告費用を1年程度で回収できる状況になっているようだ。

当面の方針としては、オンライン広告を中心とした手法により新規ユーザーを獲得していき、集客方法の選択肢としてテレビCMも継続して実施するという。過去に行ったテレビCMの効果分析を考慮し、利益の確保を意識しながら慎重に実施の可否とタイミングを決定していく。

VC事業会社を中心に、累計256,710万円を調達

これまで9回の資金調達を実施し、累計で25億6,710万円を調達していることがわかる。

2019年7月9日には、米独立系資産運用グループのFidelity Internationalを引受先として、中長期的な経営基盤の構築を目的に、総額12億円の資金調達を実施している。

そのほか出資元には、ImproVista LLPアドウェイズデジタルホールディングスニッセイ・キャピタルSMBCベンチャーキャピタルVOYAGE VENTURESジャフコグループDBJキャピタルMistletoe Japan環境エネルギー投資など複数の事業会社とベンチャーキャピタルからの出資を受けている。

想定時価総額と上場時主要株主

上場日は2021年3月19日を予定しており、上場する市場は東証マザーズとしている。大和証券が主幹事を務める。

今回の想定価格は、1,000円である。調達金額(吸収金額)は139.1億円(想定発行価格:1,000円×OA含む公募・売出し株式数:13,905,900株)、想定時価総額は、214.7億円(想定発行価格:1,000円×上場時発行済株式総数:21,474,000株)となっている。

筆頭株主は日本最大のベンチャーキャピタルであるジャフコグループが運営するジャフコSV4共有投資事業有限責任組合で、15.34%を保有。次いで、ココナラ代表取締役会長の南章行氏が13.13%、取締役の新明智氏が11.7%を保有する。

そのほか、日本生命保険のCVCであるニッセイ・キャピタル、実業家の孫泰蔵氏が手がけるMistletoe Japan、独立系ベンチャーキャピタルのImproVista LLPFidelity Internationalを母体としたFidelity FundsやFidelity Japan Trust PLCなどのベンチャーキャピタルが大株主として参画している。

関連記事:ココナラ社長の南章行氏は、なぜスキルのフリマをつくったのか

※本記事のグラフ、表は新規上場申請のための有価証券報告書の部を参考

 

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