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【徹底解説】STARTUP DB 2022年上半期 国内スタートアップ投資動向

STARTUP DBは2022年8月1日に、2022年上半期投資動向レポートを公開。今回、本レポート公開に合わせて、解説セミナーを実施しました。

 2022年1月から6月までの上半期における国内スタートアップ投資の動向を、スタートアップ、投資家、新規組成ファンド、IPO、M&Aなどの多様な切り口で、2020年や2021年との比較を交えながら紐解く今回のレポート。2022年の上半期では、スタートアップエコシステムにおける投資動向はどのような変遷をみせたのか、独自調査による最新レポートのグラフを見ながら、投資動向の傾向について、また2022年の下半期予想までを読み解いていきます。

志水:

「徹底解説STARTUP DB 2022年上半期 国内スタートアップ投資動向」をスタートいたします。本日はインキュベイトファンドの村田さんと、グロービス・キャピタル・パートナーズの今野さんをお迎えして、国内のスタートアップの投資動向についてお話して参りたいと思います。本日のコンテンツはこちらとなります。

志水:

それでは、パネリストのご紹介です。
まずお一人目、グロービス・キャピタル・パートナーズ代表パートナーの今野さんです。

今野:

よろしくお願いします。

志水:

よろしくお願いします。日頃から大変お世話になっております。次にインキュベイトファンド代表パートナーの村田さんです。よろしくお願いします。

村田:

よろしくお願いします。村田と申します。

志水:

よろしくお願いします。そして、本日のモデレーターは私、フォースタートアップス代表の志水です。本日はよろしくお願いいたします。それではまず2022年の上半期資金調達金額についてご説明して参ります。後ほどお二人の方から、この内容に従ったコメントなどを頂戴できればと思います。

 

1.2022年上半期 資金調達金額

志水:

ではまず、合計の資金調達金額と調達実施企業数の推移となります。

2021年度比で大きく2022年の上半期は減少したという数字になっておりますが、一部親会社から子会社への出資などがこの2021年の上半期と下半期には含まれています。そのため、実際にはエクイティ調達だけ切り出してみると、基本的には2021年、2022年と大きく変わりがないことが現状の数字かと思います。このあたりは、お二人から見てどう感じますか。
まずは、グロービス・キャピタル・パートナーズ今野さんのほうからお話を少しお伺いします。

今野:

私が認識している肌感覚と同じです。

ご案内通り、昨年末に資本市場が一定調整がかかったということと、それと同時に未上場企業の資金調達においてもバリュエーションの調整がかかっています。その結果、調達する側のベンチャー企業も良い形で調達するために、4月以降から各社じっくりとチューニングをかけている傾向が出ています。

志水:

はい。

今野:

ただ、我々の投資先の話でいうと、調達できる企業はしっかりと調達を続けています。また、次のラウンドをしっかり作るために時間を確保して、売上成長だけではなく事業づくりをするモードに入っている企業もあるので、基本的にはネガティブには捉えていません。

志水:

ありがとうございます。
一点今野さんにお伺いしたいのですが、何年分のコストを用意するための資金調達なのか、21年度と22年度でその傾向値は変化してますでしょうか。

今野:

いわゆるPMFが済んでいる企業に関しては、毎年のように調達をしていたのは2021年まででした。今はそういったケースもあるかもしれないですが、ランウェイの2年くらいは確保するという定常運行モードに落ち着いてきたのが大きなポイントではないでしょうか。

何故かいうと、今までは売上が伸びていれば場合によっては時価総額がついて、調達もできて、攻めが加速できましたが、たとえば資本市場で見られているように、利益がどのようにいつ出てくるのか、上場後の成長をどのように考えているのか、といった点をしっかり見られるようになってきたと思います。
ということは、見た目の売上が伸びていればいいということだけではないと思いますので、じっくりと2年は確保し、アップサイドに振れれば1年で、計画通りにいかなければ2年で、もうすこし伸ばすことも想定してお金を集めようとしているという現状かと思います。

志水:

ありがとうございます。次に村田さんにもお伺いします。
資金調達の金額ベースでは、前年度のエクイティ調達に関して大きく変わりはなさそうですが、資金調達できる会社の領域やフェーズなど何かのトレンドに変化はありますでしょうか。

村田:

変化は大きくあったと思っています。
まず、大前提の数字の水準感で言うと、グローバルで昨年過去最高を大きく超えて70兆円以上の資金がスタートアップに注がれました。また、利上げによりWACCが大きくなったため、特に上場グロース株のマーケットキャップが大きく下落し、そこに主に連動するレイトステージのスタートアップに対する見方が非常に厳しくなっている状態かと思います。
しかし、IPOのウィンドウが閉まってきたと言われているあるいは非常に狭き門になっている中で、上場延期に伴う調達需要の増加に伴って逆にこのタイミングで資金調達をする動きも加速しているからこそ、昨年と同等規模のエクイティ調達になっているのではないかと思っています。

また、下半期以降には、希薄化を大きく抑えながらIPOまでの繋ぎに資金調達できる手段として、ベンチャーデットの活用は継続拡大するのではないかと思っています。レイトステージに関しては、ユニコーン企業が新しくたくさん生まれてくる環境ではないにしても、資金の需要があるので、伸びている会社に関しては引き続き二極化的して資金が集まっていく形は変わらないのではないでしょうか。

どの領域により集まりやすくなっているか、集まりにくくなっているか、という点ですが、たとえばPSRマルチプルのような形で高く評価されていた部類 (BtoB SaaSなど) に対しては、バリュエーションを去年比で大きく抑えようとする動きが間違いなく加速している一方で、それ以外の会社へ注目が集まってくる傾向にあります。
加えて、ステージが先行して進んでいて、脱炭素など次の産業変革をもたらすような会社に多く資金が集まる傾向になっているかと思っています。また、レイトステージに投資したプレイヤーがシリーズBくらいに投資をする。シリーズBに投資したプレイヤーがシリーズAに投資をし、シリーズAに投資したプレーヤーがシードに投資する、といった形で投資の対象を少しずつ変化させている動きも見えます。

志水:

なるほど。メガバンクさんもどんどんデットの商材を開発されていますよね。

村田:

そうですね。

志水:

では次のページに参ります。

志水:

これは資金調達金額の平均値と中央値の推移となっていますが、中央値や大型調達の比率は増加しています。中央値が1億円を超えてきています。

志水:

次に資金調達金額ごとの分布図となりますが、10億円以上の大型調達の数が年々増加傾向となっています。ここが拡大しているということは、VCの皆様から大型の資金が各スタートアップ郡に入ってきていることだと思います。

志水:

2022年の上半期における資金調達金額別の割合からは、スタートアップによる資金調達の大型化が進んでおりまして、特に10億円以上の資金調達の比率と数の増加が傾向値として見られます。
ここから具体的に個社で見ていければと思います。まずは上期の国内スタートアップ資金調達金額ランキングです。

志水:

これは上期にいくら調達したかを表すランキングです。先程、村田さんの方からも脱炭素やエネルギー関連などに資金が集まっているのではないかというお話がありましたが、トップはLegalForceの137億円。2番目はSpiberの105億円。さらに村田さんの投資先であるAIメディカルサービスも80億円。そして今野さんの投資先であるアンドパッドも38.9億円となっております。

今野:

アンドパッドはたぶん、公開日までにはランキング上位に載るような金額のリリースも出ると思います。

志水:

そうですか。楽しみです。
この顔ぶれを見られて、何か特徴的なことやコメントなどございますか。

今野:

大型調達でいえば、SaaS・DXが残っている部分もあって、そこでカテゴリーキラー感が出ている企業はすごく人気化しているのが一つ。もう一つは、村田さんがおっしゃったとおり、ベンチャーがいい意味で社会のメインストリーム化している中で、非常に課題の大きな取り組みにチャレンジをしていただいているので、必然的に所要資金も大きくなるが故に、調達額も集められるいい傾向にあるのではないかと思っています。

過去にもバリュエーションが少し高止まりする時もあったのですが、今回はエコシステムが成長している様子も伺えています。一定大きな金額を集めて、次のタイミングまでにしっかりと事業開発し、より大きな企業価値の創出に挑戦する起業家も増えてきました。例えば、時価総額50億円で3億円しか集めなくて次に100億円のバリュエーションをつけるのは、3億円の種銭ではつかないので難しい。しかし、時価総額50億円で20億円を集めたいという起業家も増えてきている。20億円あれば、次に100億円以上の企業価値を作れる可能性があります。その点においては、エコシステムが成長しているように感じます。結果的にそういった考え方をする起業家が増えてきているので、投資家も応じられるようになってきていると思っています。

志水:

ありがとうございます。村田さんの投資先であるAIメディカルサービスは、上半期資金調達ランキング4位に入りましたが、どのような狙いがあって調達されたのでしょうか?

村田:

これは語れば長い話になりますね。割と大きく報じられたところでもあるのですが、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2号の対象に入ったということもあって、大型調達ができました。ここに既存株主であるWiLとグロービス・キャピタル・パートナーズと我々がフォローさせていただいたファイナンスになります。
経緯はともかく、ソフトバンク・ビジョン・ファンドは国内ではなく海外としてカウントしたほうがよい相手だと思っていますが、上位に入っているところでは、LegalForce、アンドパッド含め、海外勢からの調達が目立っていると思います。市場環境が変わったからトラベルマネーが消えて海外勢も居なくなる、という声が聞こえてきているように思うのですが、この結果からも海外の純粋なVCに関してはそのようなことはないように思います。実力のある企業に、実力のあるファンドが投資をすることが定着してきていると思います。

また、領域がかなりバラけていて、これもいい感じだなと思います。特定の領域ばかりに資金が集まるのがこれまでの10年間かなり多かったので、みんな特定領域のConsumer internet やBtoB SaaS、FinTechに流れてくるよりも、多様なDeepTechの領域もあれば様々なピュアインターネット領域に資金が集まる環境になって、冷静な資金が入っているのがいい傾向です。

他にも特徴的な事例で言えば、14位のZEALSは一回上場が承認されたあとに調達した一つの象徴事例ではないかと思います。また、13位のjinjerもスタートアップからのカーブアウト事例と非常に面白い事例です。ラクスルさんからもカーブアウトして資金調達を行う事例が、つい先日出ていました。こういうケースはもう少し増えてくるのかなと考えています。今の上場マーケットの環境、もしくは、コングロマリットディスカウントへの考え方に対して、上場している企業の経営者たちがより柔軟な資本政策を取れるところも含めて、多様なファイナンスができる環境になってきているのかなとは思います。

志水:

なるほど。フォースタートアップスにも現在資金調達支援のサービスがありまして、そこで今海外VCのみなさんが日本のスタートアップと出会いたいというニーズをたくさん受けており、スタートアップと海外のVCのお引き合わせをする機会というのが以前よりも多く増えました。海外からの資金が日本に入って来なくなってきているのではないか、というような話が一部上がっていますが、全くそんなことを感じさせない状況ではあります。
では、次に国内スタートアップの評価額、過去のみなさんが調達された結果としてのランキングとなっています。

志水:

今野さんの投資先であるスマートニュースが第三位に入っていて、さらにアンドパッドが14番手に入っています。やはり今野さんはToBでもToCでもこうやって強いチームを作るのが本当にお得意ですよね。

今野:

いいえ、もうたまたまです。優秀な起業家に恵まれて、フォースタさんに支援いただいているからだと思います。

志水:

すみません、フォースタの名前もあげていただいてありがとうございます。
なぜそういうチームに見立てられるのか、もしくはなぜそういうチームに出資できるのか、もしくはなぜそうやって育てられるのか、どこがポイントなのでしょうか?

今野:

そうですね。教科書的ですが壮大なビジョンで大きな市場を捉えていて、それに対する勝ち筋、キーサクセスファクターというのをしっかりシリーズAの時から見通すことができている起業家が多いです。
このランキングに載っているような、少なくとも私が接している起業家はそういった意識を持ちながら、常に勝ち筋や10年・20年後の世界観を逆算している方であるというのは共通していると思います。
結果的にそれがその組織の飛車角になるような人たちにとってのモチベーションであり、キャリアのオポチュニティーになっていると思います。

例えば、スマートニュースはおそらくグローバルへのホリゾンタル展開、アンドパッドは深くインダストリーに入っていく中でSaaSを超えて産業全体をアップデートするためにはどうするかということ、そのような長期に渡る視点で描けていることが重要です。
そういう補助線が引かれているからこそ必要な人材も定義しやすいと思いますし、私も紹介しやすいというのが大きいかなと思います。

志水:

ありがとうございます。村田さんにもお伺いしたいのですが、2022年の1月との比較で見ると、実は1,000億円越えの企業数は半年間で全く変化をしていないという形で、非常にハイバリュエーションの会社が生まれにくい環境にはなっているのかというのが1つ見られやすいのかなというように思います。
やはり今は、ハイバリュエーションをつけるような企業が生まれにくい状況なのでしょうか。

村田:

必ずしも私はそうではないと思っていて、その資本政策に対する考え方がこの環境に伴って変化は当然していますが、目線をどんどん上げるタイミングなのではないでしょうか。
マーケット環境が変調をきたしたからなんとか未上場でも調達しよう、という目線の会社もいると思いますが、それよりも上場後に「どうやってグローバルで勝ち抜くか」ということを未上場の段階から本気で考えないと勝ち残れないというように、明確な意思決定をするタイミングに来ている会社がすごく増えているんじゃないかなという気がしています。

今までであれば200億から500億くらいの時価総額で上場しに行こうとなり、これまでと比べれば高い目線にはなってきてはいるものの、そういった会社が断念せざるを得ないということであれば、向こう2・3年が雌伏の時、という意味ではすごくいいのかなと思います。ここから資金調達やチームづくり、マーケットに対する考え方も、メジャーアップデートをかけなければ次のステージにいけないという考えに皆さんもなっているのではないでしょうか。
そもそも1,000億というラインはあまり意味がないどころか、為替がこうなってしまった以上、ユニコーンかどうかという目線自体も意味があるのかというのはあります。少なくとも、上を見ないとまずいということを皆さんの中で非常に強く認識させられているタイミングにきているんじゃないでしょうか。この1年・2年で、このランキングの中で1,000億越えの会社がどう出てくるかというよりも、そこから更に先を見据えて何を仕掛けに行くのかというところが、割と大きな一手を仕掛けてくる会社が増えてくるんじゃないかなと思うと、非常に楽しみに思っています。

それこそ、スマートニュースの鈴木健さんがアメリカに移住しますということを発表されてました。もう不退転の覚悟で突っ込みにいきます、という大きな一手を打ったということだと思うので、これがどんどん他にも伝わってくるものなのかなとも考えていて、この数字がどうこうという話ではなくて、もっと志自体をあげていこうという方向に、お互いが刺激しあっていきそうな雰囲気が私の中ではあるので、それはすごく良い環境だなと思っています。

今野:

やっぱり日本の場合は良い意味でも、マザーズ、今で言うグロース市場があるので、そこをセットでこのテーマを語るのもありだなと思っています。
あとはやはり上場株のファンドマネージャー、クロスオーバーになる人たちから見ると、ベンチャーというのは小さくてここから10倍伸びるかどうか、カテゴリーキラーになるかどうかで彼らのポートフォリオの入れ替えや買い増しをするわけです。そうするとやはり必然性がそこにあるものにギューっと人気が寄っていきます。

そういう意味では、一つのマイルストーンとして、上場後にどれだけ成長余力があるかどうかを上場前にどれだけ仕込めるかというのが大事です。そういった意味では村田さんがおっしゃった通り、この2、3年は必ずしもいわゆるIPOのウィンドウが空いてるとは言えないタイミングになりそうですが、経営者としてはチャンスと捉え、じっくりと事業、組織を作れる時間になる。
投資家もウィンドウが閉じてる時に無理矢理上がらないで、と思っていたりもします。とすると、じっくりと事業と組織を作ることができるボーナスタイムとも受け取れます。

志水:

なるほど。事業づくりに腰据えられるタイミングであるということなんでしょうね。ありがとうございます。
それでは、全体の数字をまとめてきました。
次に展開するのが、2022年上半期投資家/CVC・事業会社投資件数ランキング・新規組成のファンド数に関しまして、お話を進めて参りたいと思います。まず、出資件数のランキングです。

2. 2022年上半期 投資家/CVC・事業会社投資件数ランキングと、新規組成のファンド数

志水:

上位はやはり金融系のVCが占めており、トップは三菱UFJキャピタルの41件、そしてみずほキャピタルの34件と順位が続いて参ります。
次に、事業会社、CVCの投資件数ランキングです。

志水:

また更にCVCの積極的な投資が目立った上半期でしたが、トップはサイバーエージェント・キャピタルの11件、次がデライト・ベンチャーズの10件という形で進んでいました。また、特徴的な動きとして5位にココナラスキルパートナーズ、ココナラが作ったCVCが、上半期だけで8件と一気に投資件数を増やしました。
次に、上半期の新規組成のファンドです。

志水:

上半期には新規で55件作られており、その中のトップが今野さんが運営されていらっしゃるグロービス・キャピタル・パートナーズで組成された500億ファンドというのが、トップでした。
2番目にすごく珍しい企業が入って来ているんですけど、逆にここからFOFとかで出資されるとかもあるんですかね?

今野:

そう願ってますけれども(笑)。

志水:

では2021年はどうだったのか振り返ると、2021年はファンドの組成数は82件ありました。

志水:

Bain Capital、WiL、スパークス・アセット・マネジメント、SBIインベストメントなどが1,000億円以上のファンドの組成。ということは現時点においては、ドライパウダーは潤沢にはあると捉えて良いのでしょうか?

今野:

そうだと思います。1点補足をすると、我々も今回500億円と出していただいてますが、最後ファイナルクローズという意味では年内もう少し増える中で、過去3ファンドでかなりファンドサイズを200億、400億、600億以上という感じで増やして来ているのですが、この裏にあるVCとしての投資戦略という意味で言うと、これはロマンとソロバンの両方の意味で追加投資に対するバジェットを増やしているとお考えいただいた方が良いと思っています。

志水:

なるほど。

今野:

これはロマンの部分で言うと、やっぱり日本を代表する、世界と伍する会社を本気でちゃんと一緒に作っていこうというところにおいて、本当に金額が足りるのかというところで大きくしているというのも1つ。また、上場における見えないスレッシュホールドを乗り越えられる会社を一緒に作っていこうという意味もあります。なので、ファンドが大きくなっても投資社数はあまり変わっていなく、追加投資の枠が増えているというのがうちの考え方です。
ドライパウダーが増えているから調達しやすい環境かというと、弊社からから見た状態でいうと変わっていません。下にも上にも。他方、二極化も進んでいくのではないかと思います。1回目の投資は今まで通りやっていくんですけど、2回目、3回目でいうと、メリハリがついていっているというのがストレートな表現かなと思っています。

志水:

ありがとうございます。インキュベイトファンドの村田さんでいうと、起業時からの出資を行う特徴的なVCを運営されていますが、起業時出資の額は増えるのか、機会は増えるのか、この辺りでポイントはありますか?

村田:

あまり変わっていません。今野さんがおっしゃていたのと同じです。
投資社数をファンドのサイズを大きくしたからといって増やしているかというと、全くそんな事は無いです。もともとパートナー4人でやっていたのが5人に1年半前に増えてるのですが、もともと一昨年にファンドを作った時は1人10社やろうということを言っていたのが、GPが1人増えたので、じゃあ1人8社ずつにしようと変えたくらいで、そこも別に変わっていなく、追加投資の考え方がやっぱり変わってきているということです 。
レイトステージでも追加投資に応じられる。その後も既存の投資家として、この会社がうまくいっているという証明をしっかり我々の方から発信するのが非常に重要だなと思っています。

我々が0から入れたところに、次のラウンド以降我々が率先して追加投資した上で他の投資家を積極的に引っ張っています。この点はVC各社そんなに変わらないんじゃないかなという気がします。戦略的にスプレー・アンド・プレー方式に割り切っている方もいなくはないと思いますが、基本はみんな同じような考え方なのかなと理解しています。

今野:

あとはその上で村田さんのところや弊チームのようにいわゆる独立系のVCの増加は以前からの流れとしてあるとして、、ドライパウダーの増加のもう1つの要因が割と新しいセグメント、新しいテーマファンドというか、そういう方々が参入が挙げられるかと思います。
例えば、このリストにあるような八十二インベストメントも第1号ファンドですし、サステナビリティという冠もついていて、それが300億という規模で組成されているというところにおいては、起業家フレンドリーなドライパウダーの増加と捉えて良いんだとは思います。

志水:

みなさまから見て、注目している競合のVCはいますか?
動きが特徴的とか、出資先支援が素晴らしいなと思っているチームはいますか?なかなか言えないと思いますが、よければ教えていただけますか。もしくは、一緒に肩を組みたいVCとか。

今野:

それはもうインキュベイトファンドさんしかいらっしゃらないですよ。一緒にやってるTERASSさんは本当にびっくりするくらい伸びています。
競合という意識はあまりないのですが、とはいえリードインベスターは、基本的には複数にならないのも事実です。必ず1社、少なくともそのラウンドにおいては1社ということなので、そうなり得るファンドさんは、競合といえば競合です。。
ファンド間の差分という意味では、投資後の投資先支援の局面が挙げられるかもしれませんが、外からは実際の具体的な支援内容を理解しにくいため、中々臨場感を持って外に伝わりません。その観点に置いてポジショニングが被れば競合になり得る、という形です。

しかしこの業界がすごく面白いのが、仮に1つのケースで競合したとしても他のところでは協調するし、もっと大きな目でいうと、日本全体を良くしようと言う志は共通しています。既得権益の打破や新しい世界、日本から世界みたいなところでいうと、結構志が近いので世に言う競合とは違う、切磋琢磨する仲間というかライバルみたいな感じです。そこはすごくヘルシーな業界だなと思うし、起業家同士も似ていると思います。
面白いのは、起業家同士で「競合はどこか」という話をするのですが、上場したら類似企業なのでそのカテゴリーに対しては運命共同体だったりするわけです。本当に仲が悪いところも一部ありますが、基本的には競合っぽくみえても起業家という共通項において、交友を深めている起業家も結構多いので、競合というのはそのように捉えていただけると嬉しいなと思います。

志水:

ありがとうございます。村田さんはいかがでしょうか?

村田:

もっとバチバチやったほうが良いんじゃないかというくらいです。
投資家に関していうと、まだ数が少ないんじゃないかなと思っていて、特に私たちがやっているようなシードのプレイヤーは昔からそんなに変わらないんじゃないかなという気がしています。そこだけをやる人って特殊な仕事の仕方でもあるので。

起業家を増やしていくためには1番最初のゼロイチをやる投資家を増やすことも、起業家を増やす一助に当然なると思いますし、「本来こういう人が起業したらもっと日本の環境を引き上げてくれるのにな」という目線の高い起業家を起業家にたらしめる動きが増えて欲しいです。
そういった意味ではウェルカムですし、自分たちがやっているやり方は、誰かと取り合う構造というよりも、全く違うところで作っている感覚が自分たちの中にはあるので、むしろ増えた方がいいかなと。アメリカのVCって日本と比べて20倍くらいのGPの数がいると思いますが、もっといた方がいいですよね日本も。

今野:

あと2つ目のご質問の方でいうと、これは起業家の皆さんも是非と思いますが、投資家間のマッチングというか相性というのも、そのプロジェクトを上手くいかせるためには重要だと思っています。例えば、2社の投資家が入っていて全く真逆のことを言ってしまうと、考えなければいけないことが倍になってしまいます。
自分で決めて1つの案に絞れる人はいいですが、両方をとって間をとるような感じだと本当にブレブレになっていきますし、例えばある時ある方から強いコメントを出されて、もう1人の投資家がいい意味で起業家の味方になってくれるだとか、いい意味の三角関係みたいなところが物事を前に進めたり、切磋琢磨したりするにはすごく大事です。起業家は投資家チームの作り方を結構気にされてもいいんじゃないかなというのを見てて思いますし、私自身も意識することがあります。

志水:

ありがとうございます。
日本ベンチャーキャピタル協会の運営をされている側のお2人なので、今政府からの資金の流入という点においては、今後ここは拡大してくるものなのかどうなのかぜひお話を少しお伺いしたいです。
ここはまず村田さんの方からお願いします。

村田:

増やすべきという提言をこの一年強の間でも直接関係各所にさせていただきました。資金だけでなく骨太の方針やグランドデザインにも盛り込まれてますが、SBIRといったルールも含めて、政府側と協調しながらやっていきたいです。「もっと大きな太い幹を一緒に作っていこう」みたいな提言をもっとやっていきたいと思います。

ルールが出てきたときに、文句や批判をされる方は非常に多いですが、文句言う前に自分でまず動いてほしいと思うところもあります。
その上で資金流入量に関しても増やす方法っていうのは色々あると思います。JVCAでやっているような、海外の機関投資家から国内GPが資金獲得できるような仕組み、あるいは商慣習等も含めてプラクティスを業界内にためていく動きが大前提でもあると思いますし、政府の資金をとにかく蛇口をひねれば沢山もらえるみたいなものでは当然なくて、アメリカの機関投資家の資金を回す形にうまくアラインしていくような、例えばゲートキーパーをどうやって育てていくのかみたいな話だったりとか、エコシステムをしっかり回す仕組みそのものを考えた上で資金流入量を適切に増やしていくことっていうのがJVCAとしても強く提言しているところでもあります。
先々週補正予算の話がニュースにも出てましたが、関連予算に期待しています。

志水:

そうですね。ありがとうございます。

今野:

追加すると、株式投資のための資金が全てではないと思っています。JVCAの赤浦会長と村田企画部長を中心にやっていただいてますが、政府調達、公共調達、要はその政府がこういった新しいテクノロジーやベンチャーの技術をサービスとして使う・購入する、イコール売上になる使われ方は呼び水的にすごく大事だったりします。もちろん無理矢理使っていただく必要はないですが、それに十分に値するベンチャーのサービスは世の中にあると思うので、国のDXや最先端化を進める際にもwin-winになるのかなと思っています。
実際アメリカでは、テスラやSpaceXは政府によるサービスや製品の購入をブースタとして、結果メガベンチャーになったという経緯があるので、そこも増やしていくことはすごく大事ではないでしょうか。

志水:

ありがとうございます。では政府の動きも期待ですね。

村田:

あとは政府の動きだけではなく、海外機関投資家からの資金流入量をどう増やすかという話もあります。あまり報じられていないところで面白い動きになっていると思うのが、アメリカのベンチャーキャピタル協会の発表で、今年上半期のファンドレイズ総額が121billionあったそうです。
昨年一年間で138billionだったので、今年の上半期だけで去年の通年規模に近いファンドレイズなされ、昨年よりも圧倒的なペースでファンドレイズがなされていると。これは、リセッションの時こそVCのファンドはリターンが高くなるということが出資者である機関投資家のコンセンサスになっていることの裏返しでもあると思っています。

こういったマーケット環境になったから一気に資金がなくなる、というのとは全く真逆の動きにアメリカのVCはなっていて、その分クロスオーバー投資家が投資するというのは向こうでも減ってはいるものの、そこの差し引きはあります。この辺りは非常に面白い動きだなとも思っています。

国内のGPに対する海外機関投資家の熱視線はどんどん上がってきています。おそらく今野さんがファンドレイズされた時もそういう期待値がコミュニケーションの中にあったんじゃないかと思いますが、まだまだ積極的に国内のVCに新しく投資をする動きだったりとか既存のファンドに追加的に資金を出す流れは加速していくと思ってます。これは今年だけの話ではなくて、来年以降も含めて期待したい動きの一つにはなるのではないでしょうか。

志水:

ありがとうございます。では最後の項目にいきます。2022年上半期スタートアップのEXITについてのお話となります。これはEXIT数の推移です。

3. 2022年上半期 スタートアップ EXITについて

志水:

新規IPOは24社となりました。前年は上半期は35社でしたので11社マイナスという形になっております。
また、M&Aの実施企業数は82社というものがデータで出ておりましたが、前年は109社でしたので若干減という形で推移をしているのがこの上半期となっています。

志水:

IPOの内訳を見ていくと、ANYCOLORがなんと1000億円以上の企業価値での上場となった。非常にシンボリックなIPOとなりました。その他M&A総合研究所などが続いています。
昨年はこのタイミングだとビジョナルさんなどが大きな価値での上場となっておりましたが、そこまでの企業価値をつけるような企業群はこのタイミングでは無かったという形になります。この現在のEXIT環境について、お二人はどのように考えますか。まずは今野さんからお伺いしたいと思います。

今野:

何年かごとにあるサイクルの中では、いわゆるウィンドウは必ずしも開いている状況ではないとは思いますが、EXITという言葉よりもおそらくその一つの資金調達というイベントとして捉えた場合、同じ事業でも価値があまり高く評価されないときにIPOという選択をするには一定の判断が必要だと思っています。

そういう会社が少ないから今こそ行くんだという話もあれば、小さく産んで大きく育てるような見せ方が一番いいんだ、上がれるときに上がっておいた方がいいんだ、というような考え方もあります。そして、もう一回プライベートラウンドをしてウィンドウが空いたときにまた出ていくんだというところもあるかもしれない。
いずれにせよ、これじゃなきゃいけないという正解はないので、各社の判断だとは思いますが、経営する上でのオプションを減らさないように機会として捉え、上場の判断をするっていうのが大事なんじゃないかなと思います。

私の知っている20年くらいCFOをいろんな会社でやってきた方に聞くと、リーマンショック以上に今が冷えてる感じがするとのことでした。上場は上場でも、公募増資の金額が一桁のところがすごく多いことからそう感じていると。それを経営上どう捉えるかは、しっかりと判断することがすごく大事なのではないでしょうか。もちろん上場してからファイナンスすることも全然できるので、上場時の調達額が全てではないですが、事業が形式的な上場基準に当たるような利益が出たから上場ね、ではなく、それは一つの必要要件であり、資金調達観点であったり、グロースストーリーの観点だったり、いろんなものを考えた上で、判断するのが大事だと思います。

志水:

村田さんはどうですか。

村田:
公募の金額が一桁というIPOは、この24社のうちの大半なのかなとは思いますが、それぞれ発行体のCFO、CEO、それぞれの考えがあって実施されていることなので、そこに何かを言う話ではないのかなとは思います。現状オファリングサイズが30億円以内という一定のコンセンサスがあります。それを超えるようなIPOを仕掛ける場合は、「今はやめておいた方がいい」とセルサイドの方々は特に言われます。

ただ、数ヶ月前と比べて、例えばインフォメーションミーティングと言われているバイサイドとコミュニケーションをする機会すらセットアップ自体が難しいという状態からは、すこし変わってきているという話も聞いています。また、去年IPOプライシングに関連する議論が業界内でもされた成果もあり、今年の年末や今年度末あたりには色々ルール改正がされ、IPOに対する使いやすいさやIPOの意義を引き出すための材料というのは、いくつか加わってくるかと思います。
この辺を自分たちの上場後の資本政策などを考えながら、この機会をどううまく使うのかを考えるだけの話なのかなと思います。

アメリカで、例えばこの環境でIPOが完全0になっているかというとそういうことでもないです。「SPACはもう終わった」という話もありましたが、先週ニュースにあったように、ドローンスタートアップのSPAC上場に関する報道もされています。この辺は数年前と比べて、CEOもCFOも明らかにレベルが上がってきていて、情報の非対称性がだいぶなくなったのかなと思っていて、この環境をどう使いこなすのかを投資家としても一緒に考えながら、このIPOの状況を見守っていきたいなと思います。

志水:

先ほどお二人からあったように、このタイミングはじっくりと自分たちの事業成長に、注力できるタイミングだということがポイントなのかなと私は思っております。
では、最後にまとめに移ります。

4. まとめ

志水:

今後の注目ポイントとなりますが、恐らく年末には、スタートアップ五ヶ年計画なるものが発表され、日本のスタートアップ群にとっては春がくるのかどうなのか、ということも含めて、皆さんこの発表を待ち侘びているのではないかと思います。
特にそういったところにもお二人は関与されていますので、コメントできるものがあれば、是非出していただければと思います。
じゃあ、ここは先に村田さんからお伺いします。

村田:

本当に様々なポイントで、各省庁でスタートアップ5ヵ年計画の議論がなされています。「5年で10倍」というキーワードがありますが、これは資金調達10倍を明言しているわけでもなく、ヒトモノカネ情報全部、5年後に10倍にしようということが、提言されています。それを具体的に落とし込むためにはどうしたら良いか。
また、起業家の数が少なすぎる問題から、起業家教育をいつからやるべきかという入り口の議論もあります。アメリカのスタートアップでご活躍されている方々は何をインセンティブにして、どんな志を持ってそれに取り組んでいるのかということを参考に、日本でもその源泉をどのように作れるのかというのも議論されています。
あるいは、ストックオプションのルール改正の話もあれば、SBIRの話もある。短期的に税制やルールを変えていけばいいという代物ではないと思っています。

JVCAとしてもいろんなことを発信していますが、スタートアップに関わる方々それぞれが意志を持って、5年後とは言わず10年ぐらいかけてでも絶対にやり遂げる理想と、目指すべき市場のコンセンサスを取る場として、非常に意味があると思っています。5年後に個別の政策でできた/できなかった、という話もされるとは思いますが、そこの政策に関わっていくべき人たちがどれだけ高い目線を設定できるのかがすごく大事だと思っています。

志水:

ありがとうございます。今野さん、どんな時代が来そうでしょうか。

今野:

どんな時代が来そう?おもしろいですね。
もちろん課題はたくさんあるし、いろんなものが絡み合ってはいるものの、確実に着実に日本のスタートアップエコシステムは前には進んでいるし、進まないといけないという期待感を、国全体から感じ取ることはあるので、本当の意味での勝負の5年から10年になるんだろうな、と思っています。

新しい領域のWeb3やDeepTechみたいところに関しても、たとえばWeb3でやれば、本当にグローバルなスタンダードの中に、「ガラパゴス化しないか」というところがすごく大事な最後のチャンスだと思うし、DeepTechに関しても、キャピタルインテンシブかもしれないけども世の中をガラッと変え得る日本のポテンシャルにどれだけサポートできるのか、ということも試されています。
それぞれの新しい領域において個別の課題があると思いますが、結果としてすごく大事だなと思うのが、ひとつずつ事例を作っていくことで、一気に空気がジャンプするというところを感じます。

例えば、スマートニュースの健さんがアメリカに行ってもし大成功すれば、そういう事例が一個あるだけで、日本のベンチャー企業が世界で勝つことってできるかもしれないという蓋然性・自信度が一個あがる。もしくは、海外の優秀なエンジニアが日本のスタートアップで働いている事例があると、海外の優秀なエンジニアってリクルートできるもんだねとなる。制度づくりや・仕組みづくりは協会や国でやっていきますが、そういう事例を一個一個作っていくことで、業界・エコシステム全体の目線を少しずつ上げていくというのが、地上戦ではすごく大事になってくると思います。

志水:

ありがとうございます。1時間お話を進めてまいりましたが、ぜひこのタイミングで、お二人から最後のコメントをいただきます。また、次の半期、素晴らしい実績を上げながら日本経済の一丁目一番地にスタートアップがいけるように、ともに戦っていければと思います。
最後、二人に締めていただければと思いますが、まずは今野さんから、メッセージをお願いします。

5. 最後に

今野:

あっという間の一時間で、志水さんの巧妙なファシリテーションで、ついつい喋ってたら一時間すぎてしまったんですけれども、今日はありがとうございました。今後、この投資動向レポートセミナーもシリーズ化していくようなので、また次の時に差分や、もし僕が変なことを言っていたら、修正はしていければと思っています。
スタートアップエコシステムの中の、細かい課題とか問題点はもちろんありますが、スタートアップエコシステム自体が国や今後の子どもの世帯にとって、すごく大事になってきているというのは、本当に加速度的に感じますし、そのタイムリミットもそんなに長いものではないような気がしています。

もちろん基本的には今日はポジティブなトーンで、実際僕もポジティブな認識を持っていますが、とはいえ実際本当に成功事例を作っていくというところにおいては業界の人が一致団結して良い事例を作って、目線を上げていきたいなと思っています。
起業家の皆さんもそうですし、VCの皆さんもそうですし、フォースタさんのようなエコシステムビルダーみたいな方も含めて、本当に頑張って気を引き締めるタイミングでもありますので、頑張っていきたいなと思います。ありがとうございました。

志水:

ありがとうございます。ではラストは村田さん、よろしくお願いします。

村田:

はい、1時間ありがとうございました。私から、先ほどアメリカの機関投資家の話、VCの話もしましたけどもこの環境こそ投資をすべきタイミング。これはスタートアップの経営者が、自分の経営資源をどう投資するかという話もそうですし、ベンチャーキャピタルがより加速して投資をするというタイミングであるということを強く意識する必要があると思います。やっぱり市場全体が動いている環境って、どうしてもおっかなびっくりになる。
発行体であればVCから預かっている資金を、VCであればLPから預かっている資金を、自分たちが負っているフィデューシャリーの中でどうやって成果を残すかという観点もあれば、また自分たち成し遂げたい志の観点もあるかと思いますが、今は間違いなく攻め時だということの強い認識を、あらゆるステークホルダーたちが持つことが重要かと思っています。

新しく組成されたVCが沢山あるというような話もありましたが、JVCAのCVC会員も6年前までは6社だったのが今年になって100数社を越えて拡大してきています。
よく10年周期ぐらいで、CVCがプレイヤーとして退出してまた新しいCVCが増えて、といったことがこの数十年間ずっと繰り返しになっていますが、市場環境が苦しいと外部環境的に見たらそうであろうと思うタイミングで継続されているVCはやっぱり強いし、そこの環境を乗り越えたスタートアップにしてもやはり強い会社かと思います。

例えば、時価総額ランキングの1番上のPreferred Networksは、Preferred Infrastructure時代から考えると、リーマンショックを越えて強くなっている会社のうちの1社でもあるかなと思います。ありとあらゆるプレイヤーが市場環境が大きく変調をきたしたタイミングでどういう判断をするか。
1回ステップバックしようと考えるのか、それともこのタイミングで攻めるのかという違いによって、2、3年くらいの短期的な時間軸で見ても、大きな成果の差分が出るのではないでしょうか。

この十数年で市場環境が大分良くなったと言われていますが、このタイミングだからこそ、その勢いにさらに加速をつけて勝負をしにいく、それを政府も後押ししようと言ってくれています。今回このタイミングでスタートアップを一丁目一番地にしている中で、「今回滑ったら次は無い」と強く政府の中心的なメンバーの方に言っていただいているぐらい、強い意気込みで政府の方も施策に取り組んでいただいています。

なんとかそこの期待に私たちも応えていきたいという意味では、今年は意味のある1年にしていければなと思います。この投資動向レポートセミナーの下半期編が話せるタイミングが楽しみですが、大きな変化のあるタイミングで楽しむ・攻めるということで皆さんと一緒に勝負していければなと思います。本日はありがとうございます。

志水:

ありがとうございます。ここにいる3人だけでなく、全チームで日本を盛り上げていく半年にして、また前向きなお話を半年後にこの3人でできればと思っております。
では、本日は皆様ご視聴いただきまして、ありがとうございました。

今野:

ありがとうございました。

村田:

ありがとうございました。

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