1. HOME
  2. MEDIA
  3. 「失敗のスタートラインにすら立てなかった」一文無しになった起業家が経験から学んだこと

「失敗のスタートラインにすら立てなかった」一文無しになった起業家が経験から学んだこと

「失敗のスタートラインにすら立てなかった」一文無しになった起業家が経あ験から学んだこと世の中は成功話で溢れている。一方で、進んで失敗した経験を話せる人は決して多くないだろう。失敗には、「怖い」「恥ずかしい」といった感情がつきまといがちだ。

だから、笑顔であくまでも淡々と失敗談を話すその姿が印象に残った。それも「500万円が一気になくなった」「お金がなくなって実家に戻った」という、具体的な話を。

失敗した経験を開示する勇気を、そしてそれを踏まえて再びチャレンジする勇気を持つ起業家がいる。株式会社リフカムの清水巧(以下 清水氏)だ。

リフカムは、社員が友人・知人を紹介する、いわゆるリファラル採用を実現するためのサービスを展開している。今ではIT企業から飲食店まで500社以上に導入されているが、創業当時は「そもそも失敗と呼べる前にこけてしまった」と清水氏は振り返った。

■清水巧 —株式会社リフカム代表取締役 石川県出身。明治大学経営学部卒業。2013年Sansan株式会社に新卒入社し、カスタマーサクセス部の立ち上げに従事。2014年1月、株式会社Combinatorを創業し、代表取締役に就任。スタートアップ企業の仲間集めを解決するサービス「Combinator」を開発・運営する。現在は、「採用を仲間集めに再定義する」をミッションに、リファラル採用を活性化するクラウドサービス「Refcome」を提供している。2017年11月、株式会社リフカムに社名変更。
■清水巧
—株式会社リフカム代表取締役
石川県出身。明治大学経営学部卒業。2013年Sansan株式会社に新卒入社し、カスタマーサクセス部の立ち上げに従事。2014年1月、株式会社Combinatorを創業し、代表取締役に就任。スタートアップ企業の仲間集めを解決するサービス「Combinator」を開発・運営する。現在は、「採用を仲間集めに再定義する」をミッションに、リファラル採用を活性化するクラウドサービス「Refcome」を提供している。2017年11月、株式会社リフカムに社名変更。

「より大きいインパクトを与えられるから」起業を志した

「より大きいインパクトを与えられるから」起業を志した

清水氏が初めて起業を意識したのは、大学生のときだった。

清水「大学まで15年ほど陸上競技をやっていました。卒業後の進路も実業団かなと考えていて。
 
ところが3年生のときに怪我をしてドクターストップがかかり、走れなくなってしまって。突然やることがなくなったんですよ。
 
今までやってきたことがゼロになった感覚で。それで、なんでそもそも走りはじめたんだっけ、と振り返ったんです」

子どもの頃は、負けて悔しい思いや、足が速くなったと褒められるからと走っていた。だが続けてこられたのは、自分が誰かに良い影響を与えられることを知ったからだという。

清水「『清水そんな足速くなかったのにすごいな、自分も新しく何かやってみようかな』と、クラスメイトや友だちに言われ、嬉しかった気持ちを思い出したんです。
 
同じ頃に受けた大学の授業も僕に大きな影響を与えました。
 
大学は経営学部で、いろんな起業家を呼んで講演してもらうオムニバス授業を受けたんです。そのとき初めて、働く選択肢のなかに起業もあることを認識しました」

同時に、起業を通じて与えられるインパクトが大きいことにも気づいた。

清水「陸上で影響を与えられるのは、せいぜい自分の半径50メートルくらいでした。でも、ビジネスは相手の課題解決に直結するから、課題を抱えている人が多ければ多いほどインパクトも大きいなと。
 
だから、同じ影響を与えるなら、よりインパクトの大きいことをやろうと思い、起業を志すようになりました」

清水氏は卒業後、いったんは就職するものの、週末には起業のためのイベントに参加するなど、起業への熱は冷めなかった。

そんな清水氏が起業へと踏み切ることになったのは、“嘘のような本当”の出来事がきっかけとなる。

清水「その起業イベントでは、まず最初に参加者のなかから一緒に事業を考える仲間を集めないといけなかったんですが、自分はなかなかできなくて……。それでふと、仲間集めができるサービスがあればいいのではと思ったんです。
 
そこで、その起業イベントでこのアイデアを発表したんです。実現に向けて仲間を集めるんだったら腹くくっているところを見せないといけないと思い、『今の会社は辞めます』って言ったんですよ。
 
そしたらちょうどテレビ取材が入っていて、その様子が全国放送されて。まだ会社にも言っていなかったし、それを見た親からも怒られて(笑)
 
でも、言ったからには後に引く訳にはいかないと思い、このタイミングで、退職・起業することになりました」

失敗のスタートラインにすら立てなかった、最初の挑戦

失敗のスタートラインにすら立てなかった、最初の挑戦

「仲間集めサービス」で起業した清水氏は、500万円の資金調達にも成功し、すべり出しは好調のように思えた。だが実際は、はじめる前に止めざるをえなくなってしまったという。

清水「まだ若かったこともあり500万円をすごく大きく感じて、マネタイズをちゃんと考えてなかったんですよね。
 
でも実際は登記するだけでお金がかかり、オフィス借りてパソコン買って……としていたら、あっという間に100万、150万と消えていった。もうただただ、口座の残高見て『やばくない?』ってなったんです」

それに合わせるように、メンバーとも上手くいかなくなった。

清水「一緒にやっていた仲間は朝礼にも来なくなり、でも電話は通じない、家にもいない。結局実家まで行って、やっと話すことができて解散することになりました」

失敗をさらけ出すことで再び歩き出した

失敗をさらけ出すことで再び歩き出した

キャッシュアウトしたことにより生活もままならなくなった清水氏は、東京の家を引き払い、石川の実家に戻ることになった。会社の株主からベンチャーキャピタルに誘われるなど就職する道もあったが、もう一度今の会社での挑戦を決意する。

清水「たとえば僕がベンチャーキャピタリストになるとしても、スタートアップに意見できるほどちゃんと起業の経験をしてないなって。そもそも、プロダクトをリリース・運用する前に転けただけ。失敗のスタートラインにも立てなかった。
 
だからもう一度やりきったうえで、成功ないし失敗の経験をしようと思ったんです」

とはいえ東京にすら戻れなかったので、まずは今できることで、今度は自分の手で資金をつくることにした。

清水「これまで培った企業との関係性を生かして、スタートアップがブースを出展する採用イベントを開催しました。石川の実家でイベントのWebサイトをつくって、集客をして、イベント当日だけ東京に行って。すると300名の集客ができて、一度の開催で50万円の売上がたったんです。
 
これを10回やれば、創業時の資金が集まる。そう思って実際に達成し、もう一度東京に出てきました」

その際、最も怖かったことが、過去の失敗をさらけ出すことだったという。

清水「東京でイベントやるのに石川にいるのはまずいと思い、フェイスブックでわざと渋谷にチェックインしたりとか(笑)
 
でも新たに仲間集めをするタイミングで、ブログに失敗したことを赤裸々に書いたんです。そしたら、同じ境遇にいる人から共感されたり、ベンチャーキャピタリストから『新しいことやるなら声かけてね』と言われたりして。こうして、再び一歩踏み出すことになりました」

リファラル採用の本質は「そもそも人に紹介したくなる会社をつくれるか」

リファラル採用の本質は「そもそも人に紹介したくなる会社をつくれるか」

清水氏が「仲間集めサービス」をただの採用マッチングから、リファラル採用に特化することになったのは、自身が開催していた採用イベントがきっかけだった。

清水「普通採用イベントに出展する会社は、人事の人だけが来て、話を聞いてお互い名刺を置いていくくらいでした。でも一社、社員を20人ほど連れてきて、いい人がいたら一緒に連れて帰る企業があったんですよ。
 
そのとき、採用において人事以外の社員が協力するのは、その人たちと一緒に働く仲間を探すんだから至極当たり前のことのはずなのに、実際はなかなかできていないことに気づきました。人事側も、社員を巻き込めていない課題を常に抱えていた。
 
そこで現在のリファラル採用のモデルをつくって営業活動したら、一社二社と受注が取れたので、この方向性ではじめることにしたんです」

その後は有名企業への導入も決まり、資金調達や問い合わせが加速度的に進んでいった。そうするなかで清水氏は、リファラル採用の本質に気づく。

清水「はじめたころ、1ヶ月で200件の問い合わせを受けたので、とにかくたくさんの会社に導入すればいいと思っていたんです。ところが、蓋を開けてみれば、導入したけれどうまくいかないっていう会社が多かったんです。
 
その原因について考えたところ、リファラル採用の本質は、社員を巻き込んでその紹介で採用することではなく、そもそも社員が人に勧めたい会社をつくれるかにあると確信しました」

そこから、カスタマーサクセスチームをつくり、導入やより良い組織づくりをサポートする体制を整えていった。

清水「リファラルがまわる会社ってエクセレントカンパニーなんですよ。
 
日本の労働人口は6,000万人ですが、そのうち、自分の会社を人に紹介したい人はもしかすると、3%くらいしかいないのではと思っています。
 
でも今、顧客である会社の社員をすべてカウントすると10万人ほどになりますが、その人たちが全員、自分の会社を紹介したいとなればと。さらに、先ほどの3%が50%になれば、より良い世界になるのではと思っています。
 
現状、採用といえば会社を良く見せればいいとなっていますが、そもそも経営者が、採用担当者が、そしてひとりひとりの社員が良い会社をつくれば、みんな勝手に人を連れてくるんですよ。それが仲間集めになる。売るためにはまず良い商品をつくる。それと同じ考えです」

自分の弱みを素直に開示した上で、起業へ向かおう

リファラル採用の本質は「そもそも人に紹介したくなる会社をつくれるか」

これから起業したい人に向けて、清水氏は一度立ち行かなくなった経験から分析した原因を話してくれた。

清水「まずは、ビジネスモデルをちゃんとつくってはじめるべきでした。どういう課題に対してお金を払っているユーザーがいるのか見立てを立て、検証してみる。
 
言葉にするとすごくシンプルですが、目先のことに追われていたことを忘れていないか、自分に問うてみてください」

また、どういう人と一緒に起業するのかという「仲間集め」も至極重要だという。

清水「実際に一緒にやる前から、友人で気心が知れているとか、一緒に仕事したことがあるとか、ある程度相手を知ってからはじめるべきでした。
 
あと当時は、スティーブ・ジョブズに憧れていて。彼は、ダメなプロダクトに対しては容赦なく『クソ』と告げる人だった。それで僕も、仲間に対して『なんでできないの?』みたいな感じで辛辣に当たっていました。当然、仲は悪くなりますよね。本当は、自分ができないところを素直に開示して、助けてもらいつつ進めていくのが大切だったのに。
 
こうしたことを痛感したからこそ、二度目の挑戦のときはビジネスモデルをきちんと検証し、仲間集めでもまずこちらの失敗をさらけ出した。これから起業されるときは、ぜひ上記のことを意識してみてください」

執筆:菅原沙妃
取材・編集:Brightlogg,inc.
撮影:小池大介

※現在リフカムでは採用強化をしております。

シェアする