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AIの力で産業革新と社会課題の解決を目指す、エクサウィザーズのIPOサマリー

AIを利活用したサービス開発による産業革新と社会課題の解決を目指す株式会社エクサウィザーズ(以下、エクサウィザーズ)が東京証券取引所マザーズに上場承認された。承認日は2021年11月18日で、同年12月23日に上場を果たす。

エクサウィザーズは、“AIを用いた社会課題解決を通じて、幸せな社会を実現する”をミッションに掲げ、独自開発のAIアルゴリズムと、様々な業界や業務に関する知見を組み合わせたAIサービスを顧客および事業提携先に開発・提供することで、多様な領域における社会課題の解決を図る。2016年2月の創業からおよそ6年での上場となる。

本記事では、新規上場申請のための有価証券報告書の部の情報をもとに、同社のこれまでの成長と今後の展望を紐解いていく。

売上高は4年間で41.5倍の増加、事業規模拡大のための先行投資を進める

上図はエクサウィザーズの売上高と営業利益の推移である。売上高は2017年3月期から2021年3月期のおよそ4年間で、41.5に成長。営業損失は2020年3月期に5億833万円、2021年9月期に3億2,919万円となっている。

エクサウィザーズが事業を展開するデジタル・トランスフォーメーション(DX)およびAI活用に係る領域では、DXの推進にむけての企業投資意欲が高まっており、AIプラットフォーム事業、AIプロダクト事業の双方で顧客企業から旺盛な新規受注が期待できる良好な事業環境が継続していると同社は考えている。

2021年3月期から2021年9月期においては、AIを用いたDX支援やAIプロジェクトによるイノベーション創出案件を多数の大手企業と取り組んだことにより、前年度からの継続顧客を中心に顧客単価が向上した。また、子会社化したエクスウェアの売上高を2021年5月より取り込んでいる。これによって、2021年9月期の売上高は197,154万円となった。

独自開発のAIアルゴリズムを通じて、AIプラットフォーム事業とAIプロダクト事業を展開

同社グループは、エクサウィザーズおよび事業開発や研究拠点機能を担う子会社5社により構成されている。

事業セグメントは、①個別企業を顧客とし、そのデジタル・AI化を推進し産業・社会革新を図るAIプラットフォーム事業(エクサウィザーズエクスウェアなど)と、②広範な顧客向けに、業務プロセスに簡易に導入・活用可能なAIソフトウエアを提供するAIプロダクト事業(エクサウィザーズエクサホームケア、VisionWizなど)を展開している。

また、AIプラットフォーム事業およびAIプロダクト事業を通じて、独自開発のAIアルゴリズムと、様々な業界や業務に関する知見やデータを「exaBase」に蓄積することで、サービスの効率化および高付加価値化を実現している。

(1)AIプラットフォーム事業の概要

個別企業を顧客とし、同社グループのAIプラットフォーム「exaBase」に蓄積されたデータ基盤を用いたコンサルティング、アルゴリズム・ソフトウエア開発を通じて、顧客企業のデジタル・AI戦略やDXなどの推進体制の立案・実行および投資効果の最大化を支援している。

本事業は主に大企業に対してサービスを提供しており、銀行、証券、保険、製薬、製造、電力、通信・インフラ、小売消費財、人材、物流、不動産など多様な業界において、190社を超える企業(2021年9月末時点)に対しサービスを提供してきた。

それぞれの企業が抱える業界固有の課題や、人の手や従来のIT技術では解決し得なかった問題の解決に向けて、コンサルティングやAIアルゴリズム開発、サービス設計、顧客業務プロセスへの実装までの一連のソリューションを提供している。

(2)AIプロダクト事業の概要

多くの企業に共通した業務課題に向けて、顧客の業務プロセスに簡易に導入・活用可能なAIソフトウエア群を提供している。同社グループの顧客は自社で新規にAIアルゴリズムを設計・開発することなく、完成度の高いAIを業務において活用することが可能だ。

同社グループでは、AIプラットフォーム事業における顧客企業へのAI導入を通じて、多様なユースケースでのAI導入実績を有している。これらを通じて、業務・業界ごとのAIの導入余地や導入による影響、開発したAIアルゴリズムの汎用化可能性などを判断する経験と知見を蓄積してきた。

この中でより広範に多企業に対して共通して提供可能と判断したAIアルゴリズムについては、周辺機能を作り込むことでソフトウエア化し、AIプロダクトとして継続課金方式などにより広範な顧客へ提供している。

​​同事業で提供する主なソフトウエアは以下のとおりだ。

AIプラットフォーム事業」が収益の柱、売上の約9割を占める

カテゴリー別売上高は、2021年9月期時点でAIプラットフォーム事業が約9割を占めており、AIプロダクト事業が約1割となっている。

AIプラットフォーム事業においては、DX推進に関する企業のニーズは強く、AIを用いたDX支援に関する市場環境は良好な状況が続いている。

こうした環境の中で、機械学習・深層学習および統計学などを用いた画像・データ解析技術などを活用したAIプロジェクトによるイノベーション創出を多数の大手企業と取り組み、前年度からの継続顧客を中心に顧客単価が向上した。この結果、2021年3月期時点の売上高は225,749万円となった。

2021年3月期会計期間のAIプロダクト事業ついては、既存プロダクトの販売拡大に加え、AIプラットフォーム事業によって得られた知見をもとに、新たなサービス開発にも注力してきた。

既存プロダクトでは、企業のDX人材の発掘・育成のための「exaBase DXアセスメント&ラーニング」、データ活用・分析のための「exaBase 予測・分析」を中心に導入企業数が増加し、売上が増加。また、高性能2眼レンズ搭載のエッジAIカメラ「exaBase エッジカメラ」、企業検索に特化したAI検索エンジン「exaBase 企業検索」などの新規サービスの提供を開始した。この結果、2021年3月期時点の売上高は35,544万円となった。

AIソフトウエア・サービス市場の継続的成長により、国内DX投資費用も増加へ

2000年以降のインターネットの普及によるビッグデータの蓄積と、2012年頃から本格化した深層学習技術に代表されるアルゴリズムの発展により、AIサービスは徐々に幅広い産業で実証実験を中心に利用され、近年では実装段階に至るまで発展を遂げてきた。

⚫︎AIプラットフォーム事業

国内におけるAIソフトウエア・サービス市場の規模が15.4億ドル(2020年)から38.6億ドル(2024年)に年平均で25.8%成長(注1)し、関連して国内におけるDX投資費用が500億ドル(2020年)から979億ドル(2024年)に年間平均成長率(CAGR)18.3%で成長(注2)すると見込まれる中、特に成長性が著しいAIソフトウエア・サービス市場におけるビジネスを拡大することにより、DX市場に優位性をもってリーチすることが可能になると同社は捉えている。

また、より広義の視点においてIDC Japanの「国内クラウド市場予測、2021年~2025年」(20216月)によると、国内におけるIT投資額は2020年の987億ドルから2024年には1,183億ドルに年平均4.6%で成長をすると見込まれる中、企業顧客のDXを通じた戦略的なIT支出を取り込むことにより、広大な市場にアクセスが可能であるとしている。

⚫︎AIプロダクト事業

同社グループでは、事業の対象とする社会課題をひとつに特定せず、超高齢社会、社会保障費の増大、出生率の低下、労働力の需給ギャップ、先進国に劣後するデジタル競争力をはじめ、様々な社会課題の解決をAIプロダクトの利活用を通じて推進している。

これらの対象市場の一つとして、知的・単純労働の効率化、高度化の領域を掲げている。

将来的な労働人口の減少を補うべく、これまで人が担ってきた業務の一部をAI・ソフトウエアで補完することで生産性を維持、向上することや業務を高付加価値なものにすることを視野に入れている。

国立社会保障・人口問題研究の「将来推計人口・世帯数調査」によると、これから10年間では500万人、20年間で1,400万人の労働力不足が見込まれ、これらは25兆円、70兆円(注3)に相当する。つまり、10年間の労働力の10%をAIの利活用を通じて補うことで、2.5兆円(注10)の市場規模(TAM)が生まれるものと考えている。

また、既に厳しい人手不足が生じている介護現場や育児現場における業務従事者の負担を軽減しながらも、同時に被介護・被扶養者やその家族・関係者の人間的な幸福・満足度を高めていくことを中長期的に達成したいとしている。

注1:IDCの「Artificial Spending Guide」(20218月)で定めるSoftware及びServices分野を同社にて合算
注2:IDCの「Worldwide Digital Transformation Spending Guide」(2021V2で定めるSoftware及びServices分野のDX関連費用を同社にて合算
注3:国立社会保障・人口問題研究の「将来推計人口・世帯数調査」国税庁の「民間給与実態統計調査」による労働者の平均給与を掛け合わせ同社にて推計

顧客企業との関係性を深化、PaaS型課金の増大やソリューションの水平展開を進める

同社グループでは、前章の経営環境への認識をふまえ、大企業との提携や協働を通じて企業のDXやAI導入を推進するとともに、そこで得られた技術や知見をもとに、自社でAIを用いたサービスを開発、広く提供することで、社会課題を解決することを基本的な戦略としている。

具体的な経営戦略として以下の9つを挙げている。

①顧客企業内における契約単価の上昇
②顧客企業との契約の長期化
③顧客企業数の増大
④PaaS型課金の増大
⑤開発したアルゴリズムソリューションの他社への水平展開
⑥顧客企業に対するAIプラットフォームおよびAIプロダクト間のクロスセル
⑦「exaBase」の更なる補完機能の拡充
⑧継続的な新規AIプロダクトを創出する仕組み
⑨財務上の課題について

同社グループでは、AIプラットフォームサービスを提供するうえで、導入効果として顧客の事業に財務上の良好なインパクトが発現することに伴い、成果報酬が生じることや、契約単価の上昇を目指す。

初期的には課題の特定、概念検証を行い、それらの結果を踏まえて中長期的にはAIモデルの実装や運用へと領域を拡充。その成果に応じて、顧客企業との契約期間の長期化、契約単価の上昇を推し進める方針だ。

さらに、「exaBase コミュニティ」や「JEDIN」などのネットワークコミュニティを通じた見込み顧客獲得や、より多くの顧客企業に対するサービスの提供を通じて、顧客企業数の増大に寄与していく。

また、同社グループは、より高い成長性および収益性を確保する観点から、連結売上高成長率および連結売上総利益率を重要な経営指標(KPI)と捉えている。

設立以来売上高は継続的に伸長しており、2022月3月期においても、前会計年度の売上高を超える見込みである。売上総利益率においても、約60%と高水準となっている。

開発体制の強化や新規プロダクトの創出が今後の成長の鍵

同社は、優先的に対処すべき課題として以下の6つを掲げている。

①開発体制の強化
②更なる新規プロダクトの創出と拡大
③内部管理体制の強化
④情報管理体制の強化
⑤グループ経営体制の確立
⑥SDGsの取り組み

顧客企業数や案件数が増加した場合においても収益率を高水準で維持しレベルの高いサービスを提供するために、「exaBase」の開発投資を中心に、卓越した能力を持つエンジニアの採用や開発プロセスの改善などに努める方針だ。

その他にも、同社はAIプラットフォーム事業において広範に知見を提供することができるAIプロダクトの開発・提供していくことを戦略としているため、今後も新たなAIプロダクトを創出し、より多くの顧客への提供を拡大していく必要があると考えている。

また、現在の一層の事業拡大を見込む段階において、内部管理体制や情報管理体制の強化、社内教育・研修実施やシステム整備を図るとしている。

同社の事業展開はSDGsの「3.すべての人に健康と福祉を」、「8.働きがいも経済成長も」、「9.産業と技術革新の基盤を作ろう」と密接に同期している。今後もテーマにおけるより大きな社会的インパクトの創出に努めるだけでなく、その他のSDGsの目標達成にも繋がる具体的なアクションや成果を生み出すことを目指していく。

6回の資金調達を実施し累計で362,400万円を調達

同社はこれまでに累計で36億2,400万円の資金調達を実施しているが、D4VSBIインベストメントSMBCベンチャーキャピタルスクラムベンチャーズiSGSインベストメントワークスなどのベンチャーキャピタルが多く参画している点が特徴である。

アフラック・イノベーション・パートナーズPERSOL INNOVATION FUNDといったCVCや政府系のVCであるINCJからも調達をしている。

上場時主要株主と想定時価総額

上場日は2021年12月23日を予定しており、上場する市場は東証マザーズとしている。

今回の想定価格は、1,050円である。調達金額(吸収金額)は310.9億円(想定発行価格:1,050円 × OA含む公募・売出し株式数:29,607,200株)、想定時価総額は、832.7億円(想定発行価格:1,050円 × 上場時発行済株式総数:79,308,000株)となっている。

筆頭株主は同社取締役会長の春田真氏で、全体の10.64%の株式を保有する。次いで同社のフェローを務める古屋俊和氏が10.11%、ベータカタリストが10.03%を保有している。

その他、INCJiSGSインベストメントワークが運営するアイエスジーエス1号投資事業有限責任組合、D4Vが運営するD4V1号投資事業有限責任組合が名を連ねている。所有株式数が分散しており、外部による資本参加が多いことが特徴である。

※本記事のグラフ、表は新規上場申請のための有価証券報告書の部を参考

 

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