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個人資産運用のロボアドバイザー「WealthNavi」運営、ウェルスナビのIPOサマリー

個人資産運用サービスの提供を行うウェルスナビ株式会社(以下、ウェルスナビ)が東京証券取引所マザーズに上場承認を受けた。承認日は、2020年11月18日で、同年12月22日に上場を果たす。

2015年4月に設立されたウェルスナビは「働く世代に豊かさを」というミッションを掲げ、働く世代の豊かな老後のために長期・積立・分散の資産運用を全自動化したロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」を提供している。設立からおよそ6年での上場となる。

本記事では、新規上場申請のための有価証券報告書Ⅰの部の情報を元に、同社のこれまでの成長と今後の展望を紐解いていく。

営業収益は継続的に成長、営業損失も順調に縮減をみせる

営業収益は継続的に増加しており、2020年第三四半期の時点で17億円を突破した。

営業損失は創業から赤字が続いている。特に、2018年と2019年は広告宣伝費が10億円以上に達したことが要因となり、営業損失が増加している。しかし、営業収益の成長と各種費用の営業収益に占める割合の減少により、2020年9月における営業損失は前年度の約40%以下に留まっている。

主要サービスは「WealthNavi」

同社はロボアドバイザー事業の単一セグメントである。

2016年7月にロボアドバイザー「WealthNavi」を正式リリース。従来はユーザーが自身で行っていた、目標設定やポートフォリオ構築、発注・積立・再投資、リバランス、税金最適化などのプロセスをすべて自動化することで、高度な知識や手間のかからない国際分散投資を実現している。

終身雇用や退職金制度、年金制度に対する不安から、働く世代は働きながら資産運用を行うことが重視され始めている。金融庁の「金融審議会市場ワーキング・グループ報告書『高齢社会における資産形成・管理』」(2019年6月3日)によると、老後の資金として2,000万円が必要とされている。終身雇用の終焉と人生100年時代の到来により、働く世代の資産形成という新たなニーズが生まれている今、誰もが安心して気軽に利用できる資産運用サービスを提供することで、働く世代が豊かさを得ることに寄与している。

また、同社は2017年7月におつり資産運用アプリ「マメタス」をリリースし、少額から「WealthNavi」の資産運用が行うことを可能にした。コラムやビデオメッセージ、セミナーなどを通じて、長期・積立・分散の資産運用を続けられるようサポートしている。

2020年9月末時点で、預かり資産は2,892億円、運用者数は22.5万人を突破している。
同社の営業収益の中心である受入手数料は、ユーザーからの手数料であり、預かり資産に連動している。そのため、預かり資産とNet AuM retention(注1)、解約率などを経営指標としている。

注1:新規運用者の預かり資産が、年何%の速度で増加したかを表す指標(簿価基準で、時価の変動分は除く)。計算式:(当初の預かり資産額+1年間の積立額+1年間の積立以外の追加入金額−1年間の出金額)÷当初の預かり資産額。

市場規模の拡大が予想されるロボアドバイザー市場

日本能率協会総合研究所のMDB Digital Search 有望市場予測レポートによると、資産運用ロボアドバイザーは米国で先行して立ち上がった市場で、国内では2016年頃より市場が形成された。投資一任型の資産運用ロボアドバイザーは、人手を介して提供される金融商品に比べ低い手数料で利用でき、インターネット上でサービスの利用が完結する。そのため、スマートフォンのみでもサービスの利用が可能で、運用も手軽である点が支持されている。

市場立ち上がり時は、投資経験者による分散投資の一つとして利用されていたが、2018年よりTVCMなどを用いたプロモーション展開や、最低投資金額が引き下げられたことで、一般投資家や投資未経験者にも利用が広がり、市場は拡大。また、ネット銀行・証券などとの連携が推進されており、これらのユーザーへのアプローチが可能となったことも利用者増加の要因となっている。今後はサービスの認知拡大による新規ユーザーの取り込みや、1人当たりの投資金額の拡大により、市場規模は継続して拡大する見通しだ。

このような背景の中で同社は、国内ロボアドバイザー市場において、預かり資産、運用者数ともに国内第1位(注2)を継続的に確保。また、2019年6月から2020年6月の1年間で、国内ロボアドバイザー市場全体の預かり資産は1,416億円増加したが、同社の増加分が962億円と全体の68%を占めるなど、高いシェア率を保持している。

注2:一般社団法人日本投資顧問業協会「契約資産状況(最新版)(2019年9月末現在)」より同社作成。

機能の向上や新機能の追加が今後の成長への鍵

営業収益の中心である受入手数料は、ユーザーからの手数料であり、預かり資産に連動している。そのため、預かり資産、Net AuM retention、解約率等を注視している。Net AuM retention、解約率は、預かり資産の継続的かつ累積的な増加を評価するための指標であるため、預かり資産を最も重要な指標として運営を行っている。

また、同社は中長期的な経営戦略として以下の3つを掲げている。

①お客様への提供価値の最大化
②お客様基盤のさらなる拡大
③新規事業の展開

今後も成長を続けるためには、ロボアドバイザー「WealthNavi」がユーザーから選ばれ続ける必要があり、現在の機能を改善することおよび、ニーズに合致した新機能を追加し続けることが提供価値を最大化する上で重要だと同社は考えている。

また、顧客基盤のさらなる拡大を目的として提携パートナーを増やすために、金融機関などを中心に営業活動を行うだけではなく既存の提携パートナーが持つ潜在的なユーザの継続的なサービス利用にも積極的に訴求していく方針だ。

人材の確保とキャッシュ・フローの最大化が今後の課題

同社は、事業上及び財務上の対処すべき課題として、以下の4つを挙げている。

① 人材確保と組織体制の整備
② 情報管理体制の継続的な強化
③ 利益及びキャッシュ・フローの定常的な創出
④ 新型コロナウイルス感染症への対応

同社はロボアドバイザー事業の継続的な成長の実現に向けて、金融業界やテクノロジー業界をはじめとする多様なバックグラウンドをもった優秀な人材を採用し、強い組織体制を整備することが重要だと考えている。

また、積み上げ型の収益モデルであるため、開発のための人件費や広告宣伝費が先行して計上される特徴がある。短期的には赤字が先行している状況だが、預かり資産の増加に伴い、収益も順調に伸長を見せているため、各種費用の営業収益に占める割合は着実に低減している。

同社は今後も開発投資や広告宣伝活動などへの先行投資を進めつつ、中長期的な利益とキャッシュ・フローの最大化を目指す方針だ。

計14回の資金調達で累計147億2,900万円を調達

これまで、11回の資金調達と3回の融資を実施し、累計で147億2,900万円を調達していることがわかる。

10億円を超える大型の資金調達にはSBIインベストメントSBIホールディングス三井住友トラスト・インベストメントグローバル・ブレインを引受先とするものがある。

2019年9月には、東京大学協創プラットフォーム開発などを引受先とする、およそ26億円の資金調達を実施。同社代表取締役である柴山和久氏(以下、柴山氏)が東京大学法学部出身であることと併せ、東京大学松尾豊研究室と共同で「ウェルスナビ AI資産運用ラボ」を設立し研究活動を行っていることから、出資が行われたと考えられる。

その他、Infinity VenturesインキュベイトファンドソニーSTRIVEが出資を行っている。また、個人投資家として、エンジェル投資家の千葉功太郎氏やIT企業の経営コンサルタントである梅田望夫氏、同社CTO兼プロダクト開発ディレクターの井上正樹氏、白土稔氏、Edward Ronkowskiが参画している。

想定時価総額と上場時主要株主

上場日は2020年12月22日を予定しており、上場する市場はマザーズとしている。

今回の想定価格は、1,100円である。調達金額(吸収金額)は、144.0億円(想定発行価格:1,100円×OA含む公募・売出し株式数:13,094,300株)、想定時価総額は494.6億円(想定発行価格:1,100円×上場時発行済株式総数:44,967,649株)となっている。

公開価格:1,150円
初値:1,725円(公募価格比+575円 50.0%)
時価総額初値:775.69億円

※追記:2020年12月22日(上場日)


筆頭株主は同社代表取締役の柴山氏で、24.84%を保有する。次いで、AT-I投資事業有限責任組合を運営するSTRIVEが9.18%、SBIホールディングスが6.46%を保有している。

その他、Infinity Venturesグローバル・ブレインSBIインベストメントSMBC信託銀行(特定運用金外信託口)、DBJキャピタル東京大学協創プラットフォーム開発SBI証券が名を連ねている。

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※本記事のグラフ、表は新規上場申請のための有価証券報告書Ⅰの部を参考

 

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