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SaaS型Webマーケティングツール「AIアナリスト」を提供するWACULのIPOサマリー

自動でWebサイトを分析し改善案を提案する「AIアナリスト」などを提供する株式会社WACUL(以下、WACUL)が東京証券取引所マザーズに上場承認された。承認日は、2021年1月15日で、2021年2月19日に上場を果たす。

WACULは「知を創集し道具にする」をミッションとして掲げ、主力サービス「AIアナリスト」を中心にデジタルマーケティングのDX事業を手掛ける。2010年9月の創業からおよそ10年での上場となる。

本記事では、新規上場申請のための有価証券報告書Ⅰの部の情報をもとに、同社のこれまでの成長と今後の展望を紐解いていく。

売上高は継続的に成長、営業利益も黒字化を達成

上図は過去5年間の売上高と営業利益の推移である。売上高は5年連続高い成長率を示しており、特に2019年2月期の売上高は前年度比136%増となっている。

2019年2月期から2020年2月期にかけて営業損益は拡大したが、これは従業員の増加に伴う人件費の増加と、更なる収益獲得を目的とした広告宣伝費が増えたことによるものである。

プロダクト事業とインキュベーション事業を展開

同社はデジタルマーケティングのDX事業の単一セグメントである。マーケティングのDXを推進するワンストップ・サービス「AIアナリスト」を中心に、 DX実現のための戦略立案や組織・オペレーション設計などのコンサルティングを行う「DXコンサルティング」、企業・学術機関と共にPoC(注1)などを行うインキュベーション事業を展開している。

注1:Proof of Conceptの略で、新規アイディアのフィジビリティ・スタディなどの検証・実証のトライアル活動のこと。

(1)プロダクト事業
①AIアナリスト
デジタルマーケティングのPDCAをサポートするプラットフォームを提供。Googleアナリティクスから得られるアクセス解析データなどをクラウド上で連携するだけで、レポートの作成、改善提案、実施した改善の記録や成果測定などが可能。
無料で基本機能を開放するかわりに、そのユーザーが保有するWebサイトの行動データを獲得している。2020年12月末時点で3万4千サイト以上のデータを保有しているため、このビッグデータを元に、類似サイトと比較するサービスを提供することが可能となっている。
②AIアナリストSEO
「AIアナリスト」の持つ機能を活用しながら“コンバージョン(購買・商談機会の獲得)”を意識したコンテンツをサイト運営者に代わって制作する、コンテンツマーケティング支援サービス。コンテンツマーケティングにおいて重要な「キーワードの選定」「コンテンツの検索順位」「Webサイト内における設置場所の決定」の3点をおさえ、顧客のシチュエーションに合わせた提案を行う。
③AIアナリストAD
広告枠の買い付けなどのWeb広告業務の一部をシステム化し、Web広告の運用を代行するサービス。「AIアナリスト」と「AIアナリストAD」を共に導入してもらうことで、“訪問数を増やすWeb広告” ではなく “コンバージョンを増やすための、Web広告とWebサイトの一体運用” をサイト運営者に代わって行い、広告効率をより高める。
(2)インキュベーション事業
最先端のデータ分析に基づいたデジタルマーケティングを推進する企業に対し、コンサルティングのサービスを提供する。2019年2月には「WACUL テクノロジー&マーケティングラボ」を社内研究所として立ち上げ、AIやマーケティングを専門とする大学教授などを顧問に迎えるなど、先端テクノロジーの導入と知見の磨き上げに力を入れている。本事業は、知見の獲得および各種ソリューションの開発・機能強化を目的としているため、2020年2月期において全体に占める売上高の割合は10%未満となっている。

成長を続ける国内DX市場、LTVを重要指標に位置づける

同社は、世界に偏在する知(データ)を創集し、その集合知を誰にでも使える道具(ツール)へと変え、顧客に届けることで顧客ビジネスの生産性向上と収益成長に貢献することを経営方針としている。

株式会社富士キメラ総研が2020年9月に公表した「2020 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」によると、国内DX市場の規模は2019年に7,912億円となっている。2023年までの間に1兆7,848億円まで拡大し、その年間成長率は+22.6%という成長率が見込まれている。

また、主力サービスである「AIアナリスト」が属する国内AI市場はさらに大きく成長を見せている。IDC Japan株式会社が2020年6月に公表した「国内AIシステム市場予測」によると、2019年の市場規模は818億円と前年比成長率+56.0%となっており、2024年まで年平均成長率が+33.4%で推移し、2024年には3,459億円になると予想されている。

同社は今後さらなる発展を遂げるために以下の3つの成長戦略を掲げている。

①新規商品投入と既存商品を絡めたクロスセルの強化
②Webサイトを中心としたマーケティングのバリューチェーンの前後への拡張
③新規ソリューション開発のためのパートナー企業との連携強化

事業進捗の客観的な指標として、売上高、売上高総利益率および営業利益率に加え、顧客基盤の広さと保有データ量を示すサイト登録者数、1顧客から得る売上高である1社あたりのLTVを重要な経営指標として定めている。

同社が重要指標として掲げている、LTV(顧客生涯価値)(注1)の推移が下図である。

2018年以降順調に増加していることがわかる。同社は新規サービスの投入や既存サービスの機能強化を通じて、アップセル・クロスセルによる特定期間における売上高の増大と契約継続率を見ながら、LTVの維持・向上を図っていく見込みだ。

注1:Life Time Valueの略で顧客が生涯を通じて企業にもたらす利益のことを意味する

新規事業の立ち上げ、優秀な人材の確保が今後の成長の鍵に

同社は、対処するべき課題として以下の6つを挙げている。

①新規事業の立ち上げ・新規機能の開発
②優秀な人材の確保
③認知度の向上
④開発体制の強化
⑤ビッグデータの蓄積・解析体制の強化
⑥事業上のパートナー企業との提携強化

「AIアナリスト」をプラットフォームとしたストック型の収益を安定的に獲得することが出来るサービスの開発を継続的に行うことで、事業の収益性向上を目指していく見込みだ。また、開発部門において、サービスの機能向上及び新規サービスの開発のために、優秀なエンジニアの継続的な採用を行っていく見込みだ。

5回の資金調達で、総額11億2,300万円を調達

これまで5回の資金調達を実施し、累計で11億2,300万円を調達していることがわかる。
出資元には、大津裕史氏、ジャフコグループ電通イノベーションパートナーズリコーTISみずほキャピタルみずほ銀行マイナビ東京スター銀行が参画している。

大津裕史氏はWACULの創業者である。現在は法人向けクラウド名刺管理サービスを提供するSansanにてCPO(Chief product officer)を務めている。

2018年12月には、中堅・中小企業向けにホームページの企画や集客施策に関する提案を自動で行うツールを共同で開発しする目的で業務提携を結んだことを発表した。

想定時価総額と上場時主要株主

上場日は2021年2月19日を予定しており、上場する市場は東証マザーズとしている。また、みずほ証券が主幹事を務める。

今回の想定発行価格は900円である。調達金額(吸収金額)は7.2億円(想定発行価格:900円×OA含む公募・売出し株式数:703,300株)、想定時価総額は、62.0億円(想定発行価格:900円×上場時発行済株式総数:6,892,000株)となっている。

公開価格:1,050円
初値:4,645円(公募価格比+3,595円 +342.38%)
時価総額初値:320.13億円

※追記:2021年2月22日



筆頭株主はジャフコ グループで、34.34%の株式を保有する。次いで、同社の代表取締役である、大渕亮平氏が20.33%、取締役である垣内勇威が13.89%を保有する。

また、リコーマイナビといった事業会社が株式を保有していることが特徴である。

※本記事のグラフ、表は新規上場申請のための有価証券報告書Ⅰの部を参考

 

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