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ネットワークセキュリティ事業を展開する、バリオセキュアのIPOサマリー

インターネットセキュリティサービスを展開するバリオセキュア株式会社(以下、バリオセキュアが東京証券取引所第二部に上場承認を受けた。承認日は2020年10月23日で、同年11月30日に上場を果たす。

バリオセキュアは、「インターネットを利用する全ての企業が安心で快適にビジネスを遂行できるよう、日本そして世界へ全力でサービスを提供する」という経営理念のもと、2001年6月21日にアンビシス株式会社として創業された。2013年3月にバリオセキュアへ社名を変更、吸収合併・解散を経て設立からおよそ19年での上場となる。

本記事では、新規上場申請のための有価証券報告書Ⅰの部の情報をもとに、同社のこれまでの成長と今後の展望を紐解いていく。

売上高は堅実な伸長を見せる、営業利益率は20%以上を維持

上図は過去4年半の売上高と営業利益の推移である。売上高は2018年に前年比2.1倍という飛躍的な成長を見せており、その後も堅調に推移している。2020年8月期では12億6,276万円となっている。一方、営業利益率は20%以上をキープしており、営業利益が2020年2月期では5億1,949万円に達した。

事業の3つの特徴と、4つのプロダクトからなるふたつの展開サービス

バリオセキュアは、インターネットに関するセキュリティサービスを提供する企業として、総合的なネットワークセキュリティサービスを提供している。

インターネットからの攻撃や内部ネットワークへの侵入行為、またウィルスの感染やデータの盗用といった各種の脅威から企業のネットワークを守り、安全なインターネット利用を可能にする。

事業の特徴は以下の通りだ。

①独自のビジネスモデル
セキュリティサービスで利用する機器の調達、機器にインストールする基幹ソフトウエアの開発、機器の設置/設定、機器設置後の監視/運用までをワンストップで提供している。
②リカーリングレベニューの構造
監視/運用サービスを基本に各種セキュリティサービスを月額費用により提供し、導入企業が増加すれば、年々収益が積み上がる「リカーリングビジネス」と呼ばれるモデルを構築している。このリカーリングレベニューの構造によって、収益の安定化と継続的な拡大が期待できる。
③ビジネスパートナー(販売代理店)モデル
販売代理店と日本全国をカバーする販売網を構築し、継続的な営業案件の創出を可能にしている。

展開するサービスの概要は以下の通りだ。

①マネージドセキュリティサービス
VSR(注1)を利用した統合型インターネットセキュリティサービスと、データのバックアップサービス(VDaP)の2種類から構成されている。

・VSRを利用した統合型インターネットセキュリティサービス
インターネットからの攻撃・内部ネットワークへの侵入行為・ウィルスの感染・データの盗用といった脅威から企業のネットワークを守る総合的なネットワークセキュリティを提供。ファイアウォール、IDS(不正侵入検知システム)、ADS(自動防御システム)などの多様なセキュリティ機能を1台に統合した自社開発の機器VSR・独自の運用監視システム・統計情報やアラートをユーザー企業の管理者にリアルタイムに提供できる体制・24時間365日のサポートセンターが強みである。

・データのバックアップサービス(VDaP)
ハードウエアの機器にバックアップデータが保存されるVDaPとデータセンターへの保存を組み合わせたバックアップサービス。一時的に企業のデジタルデータをVDaPにバックアップした後に、自動的にデータセンターへもデータを転送することで、より一層の高度な耐障害性を実現。
②インテグレーションサービス
中小企業向け統合セキュリティ機器(UTM)であるVCR(Vario Communicate Router)の販売とネットワーク機器の調達や構築を行うネットワークインテグレーションサービスから構成されている。

・VCR
UTM製造の世界有数の企業であるSOPHOS Ltd.の製品を自社ブランドとして輸入し、中小企業を専門とする販売代理店を通じてエンドユーザーに販売。

・ネットワークインテグレーションサービス外部へのアクセスを可能にするインターネットと社内のネットワークの境界を監視するゲートウェイとして役割を果たす機器を提供。機器の調達や設定、インターネットへの接続全般の設計や構築を、同社の専門人員が請負う。

注1:同社が開発したセキュリティ機器

拡大するセキュリティサービス事業

同社が事業を展開するセキュリティサービス市場は、昨今のランサムウェア被害(注2)などのサイバー攻撃被害を受けて需要が拡大している。特に、高度なセキュリティ対策を必要とするものの自社での運用・管理が困難である企業を中心に、セキュリティベンダーへ運用や監視をアウトソーシングする傾向にある。

株式会社富士キメラ総研「2019ネットワークセキュリティビジネス調査総覧(市場編)」によると、セキュリティサービス市場の国内市場規模は、2018年度の2,116億円から2023年度には約2,759億円に拡大し、年平均成長率5.5%で推移するとの予測が出ている。

上記の市場環境の中で同社は、ネットワークセキュリティの導入・管理・運用・保守までをワンストップで提供するリカーリングレベニューモデルを取っている。ユーザーから定額の月額費用(初期費用含む)を徴収するリカーリングレベニューモデルは、安定した収益が稼得できる事業基盤を有する。

2020年9月末で、全国47都道府県に7,300拠点(VSR設置場所数)のマネージドセキュリティサービスを提供しており、継続的な収益の安定化を実現している。第5期事業年度のマネージドセキュリティサービスによる売上収益の売上収益全体に占める比率は83.9%となっている。

同社は、今後もセキュリティ環境の変化に呼応したサービス・製品の充実を図ることをテーマにしている。具体的には、主要サービスである、マネージドセキュリティサービスにおける販売代理店との関係強化と、各販売代理店内でのシェア拡大に注力する方針だ。また、専任の担当者を置くことで中部圏の販売代理店との強化に注力していく。

さらに、インターネットセキュリティ機器販売では、新規モデルへの更新を行い、追加機能による単価の増額を図っていく予定だ。また、特定の販売代理店へ依存することなく、新規販売代理店の開拓を実施することで、一層の売上拡大を目指す。

経営指標では、売上収益および営業利益を重視している。

注2:ランサムウェア(Ransomware)とは、「Ransom(身代金)」と「Software(ソフトウェア)」を組み合わせて作られた名称であり、コンピュータウィルスの一種。

ガバナンス体制強化、人材育成、事業領域の拡大が今後の成長の鍵

同社は、事業上及び財務上の対処すべき課題として、以下の5つを挙げている。

①ガバナンス体制の強化
②人材の育成・確保
③業務の効率化
④事業領域の拡大
⑤新型コロナウイルス感染症への取り組み

同社では従来、サービス単位で部門が細かく存在しそれらを機能的に取りまとめる組織が存在していなかったが、2018年4月より、技術・営業・管理の3本部制へ移行し、経営管理体制を刷新。また、2019年3月には監査役会が設置され、独立性の高い社外役員による経営監視が行われる体制を整備している。

また、専門性を有する高度なセキュリティ人材の確保を目的に、従業員の技術力向上に向けた制度の拡充、メンター制度の導入による新卒採用者の長期定着への取り組み、表彰制度の改善などを実行。継続して人員教育を行い、高度な人材の育成にも注力していく方針だ。

さらに、同社の事業はこれまで、外部の脅威から社内の通信ネットワークを保護する境界監視が中心だったが、今後は社内に存在する脅威から社内ネットワークを保護するセキュリティサービスも対象に、事業領域を拡大していく方針だ。

アイ・シグマ・キャピタルから18億6,300万円の調達

これまで1回の資金調達と2回の新株予約権の行使によって累計19億300万円の資金調達を実施したことがわかる。出資元には、プライベートエクイティ投資を行うアイ・シグマ・キャピタルが参画している。

想定時価総額と上場時主要株主

上場日は2020年11月30日を予定しており、上場する市場は東京証券取引所第二部としている。

今回の想定価格は、2,210円である。調達金額(吸収金額)は、60.1億円(想定発行価格:2,210円×OA含む公募・売出し株式数:2,719,700株)、想定時価総額は82.4億円(想定発行価格:2,210円×上場時発行済株式総数:3,726,600株)となっている。

筆頭株主は、アイ・シグマ・キャピタルが運営する、アイ・シグマ事業支援ファンド2号投資事業有限責任組合であり、全体の91.66%を占める。次いで、同社代表取締役の稲見吉彦氏が2.04%、取締役の山森郷司氏が0.39%を保有する。

そのほか、同社役員や従業員が多く株主として参画している点が特徴といえる。

※本記事のグラフ、表は新規上場申請のための有価証券報告書Ⅰの部を参考

 

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