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「安否確認サービス」を運営するトヨクモのIPOサマリー

 

災害時の安否確認をスマホやPC上で行うクラウドサービス「安否確認サービス」などクラウドサービスの開発・提供を手がけるトヨクモ株式会社(以下、トヨクモ )が東京証券取引所マザーズへの新規上場承認を受けた。

 トヨクモは「情報サービスをとおして、世界の豊かな社会生活の実現に貢献する」ことを企業理念に掲げ、2010年8月に設立。サイボウズがクラウドサービスなどの新たなサービスを展開することを目的に設立した100%子会社で、2019年7月にサイボウズスタートアップス株式会社からトヨクモへ社名変更をおこなった。古事記、日本書記の日本神話で天地開闢(てんちかいびゃく)の段に登場する神の「トヨクモノノカミ」から命名されている。

代表は野村證券を経てサイボウズの取締役、執行役員を担った山本裕次氏が務める。

本記事では、新規上場申請のための有価証券報告書Ⅰの部の情報を元に、同社のこれまでの成長と今後の展望を紐解いていく。

売上高は2019年までの5年間で約6倍に、営業利益も黒字を維持

売上高は2015年から2019年にかけて成長を続けており、2019年12月期には、2015年12月期に比べて約6倍となっている。また、2020年6月期時点で4億9,909万円となっていて、年間で見ると昨年を上回る結果が予想される。

営業利益に関しては、2015年から継続して黒字となっており、上下はあるものの年々上昇していることがわかる。2020年6月期には、設立以来で最高となる営業利益1億円を突破した。

トヨクモの「法人向けクラウドサービス事業」とは?

トヨクモの事業は、「法人向けクラウドサービス事業」の単一セグメントである。緊急時に簡単に情報共有できるように設計したシンプルなクラウドサービス「安否確認サービス」の開発・販売、サイボウズの提供する業務アプリケーション構築サービス「kintone」と連携し、より便利に利用するためのクラウドサービス「kintone連携サービス」の開発・販売の2つのサービスにおいて事業を展開している。

①安否確認サービス
安否確認サービスは、災害時に従業員などの安否確認を携帯電話、スマートフォンやパソコンで行うクラウドサービス。災害発生時の被害状況を正確に把握し、従業員への指示を迅速に行うための機能を備えている。また、社内ネットワークの障害時の緊急連絡用としても活用できるサービスになっている。

②kintone連携サービス
サイボウズの提供する「kintone」は、売上管理や顧客管理など、業務に必要なアプリケーションを作成できるクラウドサービス。利用者にとってアプリケーションの設計や各種運用設定にプログラミングは必要なく、マウス操作のみで利用できる。様々な用途で利用できる「kintone」だが、基本機能のみでは実現できないこともある。同社は、「kintone」に連携する以下のサービスを提供することで「kintone」をより便利に活用することを支援している。

トヨクモのサービスはクラウドサービスであることから、顧客の申込みから利用までオンラインで完結することができ、営業社員が訪問することなく、サービスの導入が可能である。

また、同社のサービスは、顧客が「簡単」「便利」に使えることにこだわっている。利用期間に応じて料金が発生するビジネスモデルであり、有償契約数の増加により、継続的に収益が積み上がるストック型ビジネスだ。加えて、流行に左右されない性質のものであるため、継続して利用してできることも特長となっている。

有償契約数の推移からは、「安否確認サービス」・「kintone連携サービス」ともに、7年間連続で契約件数が伸びていることがわかる。ストック型ビジネスの強みを活かした今後の成長に期待がかかる。

持続的な成長と企業価値を向上するための戦略とは?

トヨクモのサービスは、利用期間に応じて料金が発生するビジネスモデルある。ストック型ビジネスであることから、有償契約数を重要指標としている。有償契約数の増加が、売上高および利益の増加に影響し、同社の持続的な成長と企業価値の向上を実現するため重要であるとしている。 

同社が掲げる経営戦略は、各サービスごとに示されており、以下が挙げられる。

① 安否確認サービス
a.サプライチェーン全体に対する安否確認サービス利用の訴求 
b.大規模テストによる競合サービスに対する優位性の訴求 
c.多言語対応 
d.認知度向上
②kintone連携サービス
a.クロスセルによる顧客当たりの売上単価の向上

6つの課題に挑戦し続けるトヨクモ

同社は事業上の対処するべき課題として、以下の6点を挙げている。

①人材確保および育成
②サービス内容の充実および新サービスの開発
③サービス認知度の向上
④新規サービスの開発
⑤顧客当たりの売上単価の向上
⑥内部管理体制の強化

特に持続的な成長と企業価値の向上を実現するためには、継続的にサービスの内容を充実させるとともに、 絶えず変化していく時代に対応し、未来の顧客ニーズを先取りするような新サービスの開発に挑戦することが必要であるとしている。

また、既存事業である「安否確認サービス」および「kintone連携サービス」においては、便利に使えるだけでなく、誰でも簡単に操作できることを第一に、機能追加やメンテナンスを継続している。

「kintone連携サービス」について、「kintone」をより便利に利用できるようにするため、新しいサービスの開発を進めている。今後も効率的な事業運営を維持しつつ、サービス内容の充実および新サービスの開発に取り組んでいく方針だ。 

過去6回の資金調達により、累計13,460万円を調達

有価証券報告書Iの部とSTARTUP DBのファイナンス情報に基づき、これまでの資金調達の状況を表にまとめた。

表を見ると、過去に累計1億3,460万円を調達していることがわかる。また、累計調達回数は6回であり、そのうち3度が新株予約権の行使となっている。

同社の公式HPによると、2014年4月に行われた資金調達は、経営陣を中心とする第三者割当増資としている。

また、2015年の4月には、インキュベイトファンドナノバンク、個人投資家2名から4,000万円の資金調達を行っており、外部からの出資を初めて受けた。

想定時価総額と上場時主要株主

今回の想定価格は1,800円である。調達金額(吸収金額)は9.9億円(想定発行価格:1,800円×OA含む公募・売出し株式数:550,000株)、想定時価総額90億円(想定発行価格:1,800円×上場時発行済株式総数:5,002,000株)となっている。

筆頭株主は同社代表取締役社長である山本裕次氏の資産管理会社ナノバンクが、47.44%の株式を保有する。次いで、サイボウズが11.63%、創業期の投資・育成に特化した独立系ベンチャーキャピタルインキュベイトファンドが6.78%、同社取締役の田里友彦氏が6.40%をを保有する。以下、同社取締役や執行役員、サムライキャピタルが名を連ねる。

外部の投資家としては、インキュベイトファンドサムライキャピタルのみとなっている。

※本記事のグラフ、表は新規上場申請のための有価証券報告書Ⅰの部を参考

 

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