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エンゲージメント経営プラットフォーム「TUNAG」提供、スタメンのIPOサマリー

Webマーケティング事業やクラウド事業を手がける株式会社スタメン(以下、スタメン)が東京証券取引所マザーズに上場承認を受けた。承認日は2020年11月11日で、同年12月15日に上場を果たす。

スタメンは、「一人でも多くの人に、感動を届け、幸せを広める。」ことを掲げており、世の中に良い影響力を与えるサービスを、「期待を超える=感動」のエッセンスに徹底してこだわり、提供していくことを企業のミッションとしている。

本記事では、新規上場申請のための有価証券報告書Ⅰの部の情報をもとに、同社のこれまでの成長と今後の展望を紐解いていく。

売上高は急速な成長を続け、営業利益は黒字化

売上高は2017年以来年々成長を続けている。2017年通期に比べて、2019年通期では約60倍成長していることがわかる。また、2020年第三四半期までの売上高合計が、昨年を上回っており、2020年通期ではさらなる成長が見込まれる。営業利益では、2019年通期までは赤字が続いていたものの、2020年第三四半期までは黒字となっていることがわかる。

「TUNAG」が提供する3つのソリューションとは?

同社はエンゲージメント経営プラットフォーム「TUNAG」の提供を行っている。同サービスは、企業のエンゲージメント向上を通じて、企業活動を支援するプラットフォームサービスである。

組織のエンゲージメントの向上、改善を行っていくためには、①現状の課題を明らかにした上で、②それに対して適切な施策を設計し、③さらに設計した施策を継続的に実行していくという3つのステップが必要となる。

「TUNAG」はそれぞれのステップに対して「エンゲージメントサーベイ」「組織改善コンサルティング」「社内制度運用クラウド」というソリューションを提供できるエンゲージメント向上へのワンステップサービスとなっている。

①エンゲージメントサービス
組織の現状を可視化するために、組織のエンゲージメントを診断するアンケートをクラウドツールとして提供を行っている。診断するアンケートはスマホやパソコンから短時間で回答することができる。診断レポートがクラウドツールから自動生成・数値化され、組織改善コンサルタントの際の施策の企画・設計における優先度や狙いを明確化することができる。
②組織改善コンサルタント
エンゲージメントを向上するために必要な様々な要素に関して、専任コンサルタントが「TUNAG」上で運用が自走化するまで支援を行う。同社のコンサルタントは数十社の企業に対して組織改善施策を企画、設計した経験に加えて、全社で蓄積された300社を超える企業の制度設計・運用に関するノウハウを元に、組織課題に合わせた社内制度の企画・設計・提案を行う。
③社内制度運用クラウド
「TUNAG」のクラウドツール上では、社内制度が一元的に見える化されており、従業員が利用しやすい環境の提供を行っている。組織単位の運用状況については、人事担当者が直感的に把握することの出来る分析ダッシュボードを提供していて、施策の活用度合いや各種ランキング、部署役職ごとのセグメント分析が可能となっている。

「TUNAG」はクラウド上で提供するサービスの対価を利用期間に応じて受領するサブスクリプションモデルを採用していて、アカウント数に応じた料金体系となっている。月額利用料をストック収益として積み上げていくことで、継続的な顧客接点に基づいたサービスの向上と安定収益基盤の拡大を目指している。

新規顧客獲得方法については、Web広告、イベント出店、架電などの同社の営業活動によるものとパートナーからの顧客紹介によるものがある。現時点の契約の大半は自社活動によるものであり、マーケティング活動の強化や導入実績の蓄積により、問い合わせ件数の増加につなげている。パートナーからの顧客紹介については、成約となった場合に、月額利用料などの一部を販売手数料として継続的に支払い、さらなる顧客紹介につなげている。また、企業以外の組織への汎用性も見込んでおり、同一オフィスビルの利用者などに向けたコミュニティエンゲージメント、スポーツやタレントを応援するファンエンゲージメントといった展開を開始している。

急速に成長を続けるSaaSモデルサービス市場

富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場 2019年版」によると、同社が提供を行う「TUNAG」に属するHR Tech市場を含む、国内におけるSaaSモデルサービス市場は拡大を続けており、2018年度に4,000億円を超える規模に到達したと見られ、2023年度には8,174億円へと拡大すると予測されている。

HR Tech市場は一般的に「育成・定着系、採用管理系、人事・配置系、労務管理系」の4つの領域に区分されているが、「TUNAG」は「組織課題の解決」を促すソリューションとして複数の領域にまたがって顧客開拓をすすめることが出来るため、ビジネスの拡張余地が大きくなっていると考えられる。

国内市場のさらなる顧客基盤拡大と蓄積したノウハウの活用を経営戦略に掲げる

同社は経営理念として、「一人でも多くの人に、感動を届け、幸せを広める。」を掲げ、世の中によい影響を与えるサービスを、「期待を超える=感動」のエッセンスに徹底してこだわり、提供してくことをミッションとしている。

また、経営戦略として、まずは国内における潜在的な顧客層に対するアプローチを継続し、「TUNAG」の契約企業を着実に拡大していく。同時に、同事業を通じて蓄積したエンゲージメントによる組織運営のノウハウをもとに、東南アジア諸国を中心とした海外企業や企業以外のエンゲージメント領域にも事業拡張を行っていく見込みだ。

①国内市場における顧客基盤の拡大
国内市場においては引き続き、契約企業数の拡大と受注単価の向上を進めていく。契約企業数に関しては、国内の総企業数における「TUNAG」のカバー率は現状1%未満であり、販売パートナーの開拓や広告プロモーション強化などにより契約企業数を拡大していく見込みだ。受注単価に関しては、部署契約企業の全社展開推進、アルバイトやパートまで含めた全社展開推進といった利用者を拡大していくアップセルや、チャット/リワードなどの拡張機能の拡販、エンゲージメント研修など付帯サービスの提供といったオプションを提供するクロスセルにより、受注単価の向上を図っていく。
②さらなるノウハウの活用
国内企業におけるエンゲージメント経営支援のノウハウを元に、国内同様に定着率に課題を抱える海外企業への販路拡大、並びに同一オフィスビルを利用するビルコミュニティ及びスポーツやタレントを応援するファンコミニュティへの展開を進めていく。また、「TUNAG」に蓄積された従業員の生のアクションデータと、組織サーベイの回答データといったビッグデータについて、AIを活用し分析することで、新たな機能の開発や独自コンサルティングノウハウの集積を目指していく見込みだ。

持続的成長を目指してくために、主な経営指標としては売上高、営業利益を特に重視している。また、エンゲージメント経営プラットフォーム事業はBtoB・SaaS・サブスクリプション型のビジネスであるため、KPIは契約企業数、売上高ストック収益率などを置いている。


契約企業数については、2018年から順調に成長を続けていることがわかる。2018年第1四半期と比較すると、2020年第3四半期では10倍の契約企業数となっている。

「TUNAG」の売上高に占める、利用料やオプション料などの月額収益の割合を示している売上高ストック比率に関しても、継続的に高水準を維持していることがわかる。また、大規模企業からの受注も増加しており、従業員1,000人以上の企業におけるストック収益が継続的に増加傾向にあるという。

人材確保と新規契約の獲得力強化などを課題としてあげる

同社はさらなる成長を実現するため、対処するべき課題を7つ挙げている。

①人材確保と組織力の強化
②新規契約の獲得力強化
③継続率の確保
④技術革新への対応
⑤情報管理体制
⑥国内エンゲージメント経営プラットフォーム事業に依存しない収益基盤
⑦利益の定常的な創出

同社は全国に営業活動を行っているが、新規契約実績の半数以上が、「顧客紹介」やテレマーケティングによる「アウトバウンド活動」経由となっている。今後は新規顧客の開拓を行うために、営業人員の増員や教育体制の整備を行うともに、販売パートナーの開拓や広告プロモーションなどの「インバウンド活動」を強化していく見込みだ。また、平均単価の高い大企業の新規開拓に関しても今まで以上に注力していくという。

VC、事業会社、個人から総額3億6,500万円を調達



これまで、3回の資金調達により累計3億6,500万円の資金調達を実施したことがわかる。出資元では、独立系VCのジャフコグループから最も多い2億4,000万円の資金を調達している。そのほか、個人としては、同社代表取締役社長の加藤厚史氏、ベイン・アンド・カンパニーのアドバイザリー パートナーである火浦俊彦氏、日本産業パートナーズ代表取締役社長の馬上英実が参画している。事業会社では、中京テレビ放送が出資元として入っている。

想定時価総額と上場時主要株主

上場日は2020年12月15日を予定しており、上場する市場は東証マザーズとしている。

今回の想定価格は、800円である。調達金額(吸収金額)は、4.8億円(想定発行価格:800円×OA含む公募・売出し株式数:600,000株)、想定時価総額は67.4億円(想定発行価格:800円×上場時発行済株式総数:8,425,000株)となっている。

公開価格:880円
初値:2,051円(公募価格比+1,171円 133.1%)
時価総額初値:172.79億円

※追記:2020年12月15日(上場日)

筆頭株主は代表取締役の加藤厚史氏で、50%を超える株式を保有している。

第2位株主はジャフコSV5共有投資事業有限責任組合で、12.24%の株式を保有。また、上記とは別にジャフコSV5スター投資事業有限責任組合が3.06%の株式を保有しており、ふたつのジャフコグループのファンドによる合計の株式の保有割合は15.3%である。

第3位株主は経営コンサルティングサービスを展開するスターフロンツで、7.65%の株式を持つ。第5位株主であるエイチームは、ゲームコンテンツや情報サイト、ECサイトなどの企画・開発・運営を行う総合IT企業で、第7位株主は、スタメンの取締役である小林一樹氏が代表取締役を務めるライフワークが挙がる。
上記3社と第8位株主である中京テレビ放送はともに本社を名古屋市に持つ。

また、第4位、第9位、第10位株主にはスタメンの取締役である、大西泰平氏、小林一樹氏、満沢将孝氏の名が挙がっている。


※本記事のグラフ、表は新規上場申請のための有価証券報告書Ⅰの部を参考

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