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ソフトバンク・ビジョン・ファンドの仕組み -「規格外」の正体とは?

ソフトバンク・ビジョン・ファンドの仕組み -「規格外」の正体とは?

2018年度、日本長者番付1位。資産総額2兆2930億円の孫正義氏が率いるソフトバンクグループがまた大きな話題を呼んでいる。「ソフトバンク」と聞くと、日本の携帯電話等の電気通信のイメージを持つ人がほとんどだろう。しかし、ソフトバンクの親会社であるソフトバンクグループは様々な事業を手掛けている。

同社のビジョンの一つに「300年間成長し続ける企業グループ」というのがある。この目標を達成するために孫氏が掲げているのが「群戦略」だ。群戦略とは、No.1の会社の群れを作り上げる戦略のことを指す。この戦略を遂行すれば、世界征服も夢ではない。

インターネット業界は非常に変化が激しく、ジャンルの幅が広い。しかもそれが世界各国で繰り広げられている。そこでソフトバンクグループは様々な業界のユニコーン企業ないしはNO.1の会社に出資し、自己増殖や自己進化を促している。業界や事業も統一しなければ、ソフトバンクブランドも統一しない。そうすることで時代にあった世界で最も優れた企業とパートナーシップを組み、長期間にわたって成長できる企業集団になることができるのだ。

世界征服に王手をかけたソフトバンクビジョンファンドの仕組みと投資先を詳しくみていく。

気になるソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)の仕組み

ソフトバンクグループは、未来を切り拓くための革新的なテクノロジーや起業家への投資を行うという戦略のもと、大規模かつ長期的な投資活動を目的として2017年5月に10兆円規模の「ソフトバンクビジョンファンド(以下、SVF)」を設立した。10兆円という数字は、世界中のベンチャーキャピタルの資金調達総額を上回る。このとてつもなく大きなファンドの誕生は世界に大きな衝撃を与えた。

最終クロージングから5年間を投資期間とし、12年間を存続期間としている。

出典:2019年3月期 第2四半期決算より引用

実際にこのSVFを運営するのはソフトバンクグループの子会社であるGPである。LPとはお金を出資する主体のことだ。SVFの LPは親会社であるソフトバンクグループに加えて外部の投資家、アップルやシャープなどからも資金を調達している。また、サウジアラビア政府系のファンドも5兆円出資していることで有名だ。

ファンドビジネスで重要な指標の一つに内部収益率(*1)がある。ソフトバンクグループは内部収益率を向上させる方法として次の3つを上げた。

①安いタイミングで投資をし、出来るだけ高いタイミングで売却をする
②投資期間をなるべく短くする
③借入を活用する

SVFの最も大きな特徴として挙げられるのはこの③である。

図を使ってもう少し詳しく見てみよう。

出典:2019年3月期 第2四半期決算より引用

例えば自己資金100%で投資するのではなく、自己資金は25程度にし、残りの75は借入れる。少ない自己資本でより大きな投資が可能になるのだ。通常のベンチャー投資でこのような方法をとることは珍しい。なぜならリスクが高いからだ。リターンが大きくなる分リスクも大きい。ここから推定されることは孫氏は失敗することを想定してないということだろう。

*1:投資によって得られると見込まれる利回りと、本来得るべき利回りを比較し、その大小により判断する手法のこと

次の時代を創り上げるソフトバンクビジョンファンド投資先企業

ソフトバンクビジョンファンドは現在67社に投資を行っている。(2018年11月5日時点)
その一部を紹介しよう。

※参照:Crunchbase
単位:原則USドル

上記の中から累計資金調達額上位の未上場企業を紹介しよう。

WeWork
企業やフリーランスで働く人たちが、ビジネスで成長していくためのワークスペースを提供。仕事に集中しながら、人的ネットワークを拡げられるオフィス環境を提供することで、新なビジネスを創出することが可能。全てのオフィスはアーティストやデザイナー、エンジニアなどで構成されるデザインチームにより、自然光や快適さ、そしてインスピレーションを主眼に置いて設計されている。全国32ヵ国95拠点に展開。世界中で 21 万人を超える WeWork メンバーが利用している。また、2018年第2四半期は売上高が4億2160万ドルとなり、前年同期の1億9830万ドルから倍増。
Roivant Sciences Ltd
他の製薬会社が臨床試験に失敗した新薬候補を譲り受け、データ分析などの新たな手法によって、異なる効能を見つけ出す手法を分析。遺伝子治療、脳神経、皮膚など複数の疾患領域で「アンメット・メディカル・ニーズ(いまだ満たされない医療ニーズ)」を満たすことを目指す。新薬の開発には膨大なコストと時間がかかる。1種類の薬が開発され、市場で発売されるまでにおよそ26億ドル以上かかるという調査がある。しかし約90%は失敗する。 この失敗した研究を買い取る。その後AIを用いて分析や研究を多角的に行っている。同社は設立3年目にして1000億円以上の資金調達に成功している。
Oravel Stays Private Limited (OYO Rooms)
インドの格安ホテル予約サイト「OYO Rooms」を運営。インドの従来の格安ホテル予約サイトでは、提供するサービスやアメニティをホテル側が入力することができたため、その情報は必ずしも信頼できるものではなかった。そこで同社は信頼できるホテルブランドのポータルサイトを提供。Oyo Roomsに掲載されるには、厳しい審査がいくつかある。社員がホテルを直接訪れ、独自作成した約30項目のチェックリストを元に審査。掲載後も社員が直接ホテルを訪問し、定期的にチェックをしている。昨年の時点で、OYO はインドのデリー、グルガーオン、ムンバイ、バンガロール、ハイデラバード、ゴア、チェンナイ、コルカタなど230を超える都市で8500以上のホテルを掲載(2018年11月時点)
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屋外からの熱や日差しの量を自動的に調節するダイナミックガラスを製造する。「スマートウインドー」技術は、インターネットに接続した窓ガラスの色合いのレベルを顧客がスマホを通して管理できる。そうすることでオフィスに入ってくる太陽光を調整することが可能となる。また、太陽の動きに合わせて自動で調整することもできる。結果、冷房費の節約につながるほか、ブラインドなどの付属品が不要になる。

投資先の傾向としてインドやアメリカを中心に医療系とトレンドであるAI関連の企業が目立つ。孫氏が見ている未来を考えると納得がいく。孫正義氏が見ている未来については最後に解説しよう。

また、投資先の特徴として同業他社にも投資している点だ。ライドシェアを例に挙げてみよう、全世界におけるライドシェアサービスの市場シェアは4社が9割を占めている。その4社全て、ソフトバンクビジョンファンドが筆頭株主となっている。

では、気になる収益と評価額をみていこう。

第2四半期末における、ソフトバンク・ビジョン・ファンドのセグメント利益は6,324億円だ。また、累計投資額約285億米ドルに対し公正価値合計は約358億米ドル円だった。今後さらなる増益が期待されている。

ソフトバンクの描く300年後の未来

孫氏は2010年の株主総会で、今後300年後の未来についてこう語った。 「医療のテクノロジーの発展により平均寿命が200歳になる。そして、身体を通信媒体にして新しいコミュニケーション手段を手に入れることができる。さらにはロボットと共存しなければならない未来がくる」と。このことを踏まえ、ソフトバンクビジョンファンドの投資先を見るとその本気度が伝わってくる。残り3.7兆円の行方から目が離せない。

孫氏は2010年の株主総会で、今後300年後の未来についてこう語った。

「医療のテクノロジーの発展により平均寿命が200歳になる。そして、身体を通信媒体にして新しいコミュニケーション手段を手に入れることができる。さらにはロボットと共存しなければならない未来がくる」と。このことを踏まえ、ソフトバンクビジョンファンドの投資先を見るとその本気度が伝わってくる。残り3.7兆円の行方から目が離せない。

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