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クラウド型POSシステムで大幅成長。スマレジのIPO分析

2月28日にマザーズに上場するスマレジは、iOS専用のクラウド型POSレジシステム「スマレジ」を主要事業としてこれまで成長してきた。

2月28日にマザーズに上場したスマレジは、iOS専用のクラウド型POSレジシステム「スマレジ」を主要事業としてこれまで成長してきた。

レジの歴史を振り返ると、1970年代に開発されたPOSレジの導入により大量の販売データが店舗側に収集され、マーケティングに活用されるようになった。近年ではクラウド型POSシステムが登場し、POSシステムは新たな局面に入ろうとしている。

今回はそのような市場環境化で成功を収めてきたスマレジのビジネスモデルとその成長の軌跡に焦点を当ててご紹介する。

事業のピボットに成功したスマレジ

株式会社スマレジ(以下、スマレジ)の歴史を紐解くと、興味深い点がひとつある。それは、設立当初は全く異なる事業を営む会社だった点だ。2005年に設立されたスマレジ(当時は有限会社ジェネフィックス・デザイン)はWebサイトの制作を請け負う会社だった。

2011年、同社に転機が訪れる。前年に同社システム開発部門を切り分けて設立した子会社、プラグラムがクラウド型POSレジシステム「スマレジ」を開発。2011年9月にリリースした。同サービスが成長を遂げ知名度を上げたため、「スマレジ」を中心とした現在のクラウド事業に徐々にピボットしていった。

2013年には株式会社化、2016年には社名も現在のスマレジに変更。そしてサービスリリースから7年5か月後となる、2019年2月28日に東証マザーズに上場した。まさに事業のピボットに成功した例といえるだろう。

クラウド型が最大の特徴。ビジネスモデルはフリーミアム

「スマレジ」の最大の特徴は、POSシステムにクラウドシステムを採用している点である。クラウドシステムを採用することで、得られるメリットは以下だ。

・レジ導入時に専用のシステムなどを構築する必要がなくコストダウンが図れる
・リアルタイムでの店舗状態が把握できる
・環境変化に伴うシステムアップデートの簡易に行える

「スマレジ」はiOS端末専用のサービスだ。アカウントを作成することですぐにPOSレジを導入することができる。従来のような専用のサーバーなどシステムを準備する必要がなく、専門機器も必要ないのだ。

これにより周辺機器を購入する金銭的コストを抑えられるだけでなく、多くの人が使い慣れた端末(iPhoneやiPadなど)を使用することで教育コストも比較的安く抑えることができる。

また、スマレジでは周辺機器の販売事業も行なっている。そのため、新たにレジを導入したい店舗であれば基本的にスマレジだけで全てのレジ環境を整えることができるようになっているのだ。そのほか、顧客の視点に立った、シンプルで活用しやすいデザインもまた注目を集めるポイントだろう。

「スマレジ」上で行われた取引のデータは、すべてクラウドサーバーに即時に保存される。つまり、契約店舗の管理者は、売上や在庫データなど店舗の重要な情報をリアルタイムで把握できる。顧客情報のデータも同様に管理されるため、顧客単価に始まる分析にも活用可能だ。

クラウドサービスのために、システムのアップデートなども容易に行なえる。ちなみに、2019年10月から施行される軽減税率にも対応できるよう機能の実装を始めているので、これから導入を考える場合にもすぐさま最新のPOSシステムを利用できる。

機能面のみならず、長期の顧客獲得を視野に入れたサポート体制にも注目したい。365日電話受付可能なヘルプデスクの設置や、業界唯一の「SLA(サービス品質保証制度)」の導入は、顧客獲得の上で大きな安心感につながっていると考えられる。

POSシステムは、一度導入すると切り替えが容易ではない。充実した機能とサポートを兼ね備えた「スマレジ」だからこそ、しっかりと顧客が獲得できたのだと考えられる。

さらに、「スマレジ」は料金体系にフリーミアムモデルを採用している。提供しているプランは合計で5つ。無料の「スタンダード」に始まり、有料の「プレミアム」、高機能で人気No.1の「プレミアム プラス」、業界に合わせた「フードビジネス」と「リテールビジネス」だ。導入時に店舗のニーズに合わせたプランを選択できるだけでなく、導入後もプランの変更が可能。スマレジ側から見るとサブスクリプション型ビジネスとなり、安定的な収益の確保につながっている。

スマレジが展開するサービス

現在スマレジは合計で5つのサービスを提供している。「スマレジ」とそれに付随する3つのサービス、さらにレジ周辺機器を取り扱う店舗向けECサイトである。

クラウドで展開する4つのサービス

・「スマレジ」
・「スマレジ・タイムカード」…契約店舗の声から生まれたクラウド型の勤怠管理サービス
・「スマレジ・給与計算」…勤怠記録をもとにあらかじめ設定した体系で自動的に給与を算出するサービス
・「スマレジ・ウェイター」…飲食店向けの注文管理システム

「スマレジ」とこれら3つのサービスが連携することで、契約店舗はより簡単に店舗に関する情報を管理することができる。また、勤怠管理システム連携で人件費と売上を同時に確認し分析できるなどのメリットもある。いずれのサービスも、フリーミアムモデルを採用している。

関連機器販売事業

クラウドサービスとは異なった区分としてECサイト「STORE STORE」がある。ECサイトではレジの導入にかかる機器や消耗品などを幅広く揃えて販売している。レジ導入を検討する顧客を後押しする効果もあり、クラウドサービスと並ぶ収益源の柱となっている。

昨年度における両事業の販売高内訳は以下の通りだ。

ビジネスモデル図解

ここでビジネスモデルを改めて整理しておこう。スマレジのビジネスモデルを図解すると上記のようになる。図の上部が「スマレジ」を中心とするクラウドサービス事業、下部がECサイトの関連機器販売事業を表している。

クラウドサービス事業においては、取次店や代理店、販売店といった多様なパートナーと手を組み、販売チャネル拡大に努めていることがわかる。代理店は、スマレジに代わって店舗と契約代行まで行う点で販売店と異なっている。

また、スマレジは全国4箇所にショールームを運営している。ショールームを運営すると同時に販売店の役割も果たすフランチャイズ(パートナー企業)も存在する。

関連機器販売事業においても、同様に販売チャネル拡大に努めている。代理店などのパートナーを通して、クラウドサービスと同時に関連機器の販売を促進。ECサイトにおいても、受注が入ったのち外部委託倉庫より商品を発送する仕組みで、効率化のための動きにも余念がない。

登録店舗数と累積取扱高の成長

「スマレジ」のこれまでの成長を振り返る。

まずは「スマレジ」で処理された累積取扱高だが、直近数年の伸び幅は非常に大きなものとなっている。2018年の4月段階で累計1兆円を突破しただけでなく、わずか半年後の10月にはさらに3,000億円増加している。

また登録店舗数でも、同様に近年その数を大きく伸ばしている。2018年4月に50,000店舗を突破し、さらに半年後には8,000店舗増加した。2016年3月で18,000店舗だったものが2018年10月には58,000店舗と、約2年半で3倍以上という驚異的な成長を遂げている。

また登録店舗数でも、同様に近年その数を大きく伸ばしている。2018年4月に50,000店舗を突破し、さらに半年後には8,000店舗増加した。2016年3月で18,000店舗だったものが2018年10月には58,000店舗と、約2年半で3倍以上という驚異的な成長を遂げている。

これらの大幅な成長の背景にはビジネスモデル図で示したような、販売チャネル拡大に勢力的に取り組んでいることがあるだろう。またこうした主要事業の重要指標が伸びていることが、IPOに踏み切るのひとつの要因になっていると考えられる。

売上高と純利益の推移

売上高の推移を見てみるとこちらも大きく伸ばしてきている。2018年10月時点においても前年を上回るペースで成長しており順調といえる。当期純利益は第11期に数字を下げてはいるが、営業利益も当期純利益とほぼ同じように成長しており、直近3年で安定した黒字化に成功しているといえそうだ。

売上高の推移を見てみるとこちらも大きく伸ばしてきている。2018年10月時点においても前年を上回るペースで成長しており順調といえる。当期純利益は第11期に数字を下げてはいるが、営業利益も当期純利益とほぼ同じように成長しており、直近3年で安定した黒字化に成功しているといえそうだ。

貸借対照表と良好な財務指標

第13期の貸借対照表を図にすると上記のようになる。また以下は主な財務指標である。図からも見て取れるように、自己資本が充実している。

第13期の貸借対照表を図にすると上記のようになる。また以下は主な財務指標である。図からも見て取れるように、自己資本が充実している。

40%が安全圏の目安と一般的に言われる自己資本比率が62.6%、流動比率も200%越えと安全性は十分にあるといえる。ROEが50%以上、営業利益率も20%以上と非常に高い収益性も兼ね備えているといえるだろう。

40%が安全圏の目安と一般的に言われる自己資本比率が62.6%、流動比率も200%越えと安全性は十分にあるといえる。ROEが50%以上、営業利益率も20%以上と非常に高い収益性も兼ね備えているといえるだろう。 

想定時価総額は100億超え

IPOについても簡単に情報を示しておく。今回は想定発行価格が1,370円に設定されている。この金額をもとに計算すると想定時価総額は124億円(想定発行価格 × 上場時発行済み株式総数)、資金調達額(吸収金額)は24.1億円となる(想定発行価格 × OA含む公募・売出し株式数)。

また、株式は同社の取締役と彼らの持ち株会社によって大半が保有されているが、VCも数社が保有している。三菱UFJキャピタルは約8%、SMBCベンチャーキャピタルは約2%の保有割合となっている。そのほかにもわずかではあるが、ぐるなびやオークファンも株式を保有している。

そして、ストックオプションは59名の従業員に配布している。会社全体の従業員数が昨年末時点で79名のため、多くの従業員が今回の上場により恩恵を受けることになりそうだ。

2019年序盤のIPO

スマレジは2005年設立ではあるが、スマレジに事業を集中させたのは最近のことである。「スマレジ」リリースから約8年という短期間で大幅な成長を遂げ、上場まで辿り着いたのは、サービスの質や販売チャネル拡大などの施策、そして事業自体の成長性があるだろう。今回の上場をきっかけとして、さらに国内で重要な地位を築いていくことに期待したい。

今年は識学、リックソフトがすでにマザーズに上場しており、スマレジは3社目となる。

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