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高画質な防犯カメラのクラウドサービス「Safie」運営、セーフィーのIPOサマリー

クラウド録画型映像プラットフォーム「Safie」の開発・運営を手がけるセーフィー株式会社(以下、セーフィー)が東京証券取引所マザーズに上場承認された。承認日は2021年8月25日で、同年9月29日に上場を果たす。

セーフィーは“映像から未来をつくる”をビジョンに掲げ、家から街まであらゆるビジネスシーンの映像をデータ化することで、人々の意思決定を支援するため、クラウド録画型映像プラットフォーム「Safie」を提供している。2014年10月の創業からおよそ7年での上場となる。

「Safie」はサブスクリプション型で提供される録画サービスであると同時に、録画以外に様々な映像分析サービスや連携サービスを追加することができるプラットフォームとなっており、直販および様々な販売パートナー経由でサービスを展開している。

本記事では、新規上場申請のための有価証券報告書の部の情報をもとに、同社のこれまでの成長と今後の展望を紐解いていく。

5年で売上高は191倍に。営業利益も黒字化を達成

上図は過去5年間の売上高と営業利益の推移である。売上高は2016年3月期から2020年12月期のおよそ5年間で、191に成長している。営業利益は2021年第二四半期時点で9,541万円の黒字に転換しており、2021年通期においても更なる増益が見込まれる。

新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言(2020年4月発令)以降、小売・飲食業をはじめとする直販チャンネルでは受注が減少したが、遠隔需要の高まりから2020年7月にリリースした「Safie Pocket2」をはじめとする建設業向けの商品が好調に推移し、同サービスの受注が増加。

また、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、飲食・小売業の休業・閉店による受注減といった厳しい局面が予想されたため、上半期においては新規採用を抑制し、並行して生産性向上の取り組みを行い、販売費および一般管理費のコストを抑制を進めた。しかし、「Safie Pocket2」の好調をうけて、下半期からは、積極的な人員採用と広告宣伝、新サービス開発投資を行った。

2021年第二四半期の業績については、遠隔監査や遠隔臨店、工場内でのポイント監視、警備などの遠隔業務の需要の高まりから「Safie Pocket2」や「Safie GO」などの商材が建設業界のみならず、他の業界での導入も広がり、全社の業績が好調な推移をみせた。

また、課金カメラ台数および月次売上高の拡大に向けて、人材採用をはじめとした営業体制の強化のほか、新機能のリリース、様々な業界の現場のデジタルトランスフォーメーション推進に向けたプロモーション施策の取り組みに注力した。この結果、当該会計期間の経営成績は、売上高3,808,826千円営業利益95,411千円となった。

あらゆる映像のデータ化を実現、多様な顧客課題に合わせた6つの機能を展開

同社は、家から街まであらゆるビジネスシーンの映像をデータ化することで人々の意思決定を支援することを目指し、クラウド録画型映像プラットフォームを開発・運営している。

事業は「Safie」の単一セグメントであり、現場ごとに屋外型の「Safie GO」やウェアラブル型の「Safie Pocket2」、建設現場向けの重機取付型セーフティカメラシステム「ドボレコJK」などの機種を展開している。さらに、多様な顧客課題を解決するために、同サービスに追加できる機能の開発も進めている。以下に機能の概要を示す。

①Safie Visitors
顔認証技術による年齢性別属性分析機能

②Safie Entrance
顔認証によりオフィスの鍵の開閉や勤怠管理システムとの連携が可能になる機能

③Safie POSジャーナル連携オプション
顔認証情報と店舗のPOSレジ情報を連携できる機能

④Safie AI People Count
来店人数を把握する人数カウント機能

⑤YouTube Live連携オプション
YouTubeに録画映像を配信する機能

⑥オートスナップショット
自動で定点撮影した画像を保存・配信する機能

監視カメラ市場は今後も拡大傾向に。産業用IoTデバイス分野にも注目

少子高齢化社会や新型コロナウイルスの影響により。労働力を機械やロボットで代替するサービスや監視・検知などにおけるカメラの活用や映像分析、遠隔臨店などの現場の見える化やDX化のニーズが拡大している。

さらに様々な産業において大容量の映像をAIで分析する需要が出ており、他拠点・大容量の映像を即時に共有し、APIで他社のシステムや開発環境とつなげることができる映像プラットフォームの活用余地が広がってきている。

矢野経済研究所「2020年度版監視カメラ市場予測と次世代戦略」によると、2024年の日本国内における監視 / モニタリングカメラ稼働台数は660万台程度、グローバルでは4億台程度になると推計(注1)されており、今後もさらに成長していくと見られる。

また、ドライブレコーダーやドアホン、ロボットなど様々な映像デバイスへの「Safie」の搭載が可能であるため、潜在的な市場はカメラ以外にも見込まれている。その1つが総務省「令和二年版情報通信白書」によると2022年時点でグローバルに約92.7億台が存在すると推計されている産業用IoTデバイスであり、照明やエネルギー関連、検査・計測機器などオートメーション以外の工業・産業用途の機器への連携が可能となると見込まれている。

注1:国内の総稼働台数に係る矢野経済研究所の算出方法を参考に、過去5年間の矢野経済研究所の推定による出荷台数の合計値として算出した同社の社試算値を参照

KPIARRMRR、課金カメラ台数など

同社のサービスの起点となるカメラ1台あたりの収益構造として、導入時にスポット収益が発生し、その後毎月クラウド録画サービスや画像解析サービスなどのリカーリング収益が発生する仕組みとなっている。そのためカメラが継続利用されると最終的な収益はリカーリング収益のほうがスポット収益よりも大きくなる。

よって同社はリカーリング収益をより重視しており、その達成状況を判断するための経営上の指標をARR(注2)としている。また、ARRに関連する指標としてMRR(注3)と課金カメラ台数(注4)を注視している。

既存の契約あたりの平均MRRの向上のために、顧客ニーズを直接把握し、効果的且つ継続的なアップデートを行っていく方針だ。また、AIによる画像解析はユーザーが増えるほど精度が上がり、新たな画像解析サービスを生み出すことにもつながるため、顧客の満足度向上による解約防止が見込まれている。

注2:Annual Recurring Revenueの略称。該当月のMRRを12倍して算出する。
注3:Monthly Recurring Revenueの略称。対象月の月末時点における顧客との契約において定められたID単位で毎月課金される月額利用料の合計額(一時収益は含まない)。
注4:各四半期に販売したカメラ台数ではなく、各四半期末時点で稼働・課金しているカメラ台数

ユーザー基盤の拡大とプラットフォームの価値向上が今後の経営戦略

同社は保有する5つの強みを活かした、主にふたつの中長期的な会社の経営戦略を策定している。5つの強みは以下である。

①商品の優位性とそれを支える技術力
②販売力
③顧客基盤と拡張性
④高い安定性を誇る財務・収益モデル
⑤企業文化

また、ふたつの中長期的な会社の経営戦略は以下である。

ユーザー基盤のさらなる拡大

同社は2020年12月期において新規で5万台の契約を獲得、2021年6月末における課金カメラ台数は12.9万台に達するなどと創業以来順調に拡大し続けているものの、日本国内に存在するカメラ台数における「Safie」の導入率は未だ低水準である。また、世界各国での映像デバイスの広がりを鑑みると「Safie」接続デバイス数および課金カメラ台数の増加余地は膨大に存在していると同社は考えている。

現在「Safie」が活用されている業界は飲食業や小売業、建設業を中心に、製造業における現場のIoT化やスマートシティ構築のための公共や警備、金融市場など新しい業界へも広がりをみせている。

同社は直販営業によって顧客ニーズの把握と販売手法を確立し、業界ごとの販売パートナーと協議して洗練して展開。今後は、対象業界を広げることで様々な現場のソリューションやアプリケーションを増やすことで成長を加速させていく方針だ。

クラウド録画型映像プラットフォームとしての価値向上

拡大したカメラユーザー基盤から同社のクラウドに保存される膨大な映像データを活用して、さらに便利なサービスを顧客に提供する好循環を生み出すことができる。

同社のクラウドに保存される映像データを活用することで、AIによる新しい画像解析サービスを生み出したり、画像解析の精度をあげたりすることを可能にしている。エンドユーザーは利用する「Safie」サービスに継続的に新しい機能が追加される拡張性に魅力を感じる。これがよりユーザーが増え、より多くの映像データが集まるというネットワーク効果を生み出している。

つまり、ユーザーの拡大がソリューションの拡大につながり、それがさらなるユーザーの拡大につながるという好循環をもたらし、セーフィーの成長を支えているのだ。

技術力の強化と追加サービスを通じて、利益の向上を図る

同社は事業上および財務上の対処すべき課題として以下の4点をあげている。

優秀な人材の採用と育成
顧客ニーズを適切に把握できる営業や開発の人員を強化していくために、積極的な採用活動を進めるとともに、高い意欲を持って働ける環境や仕組みの構築に取り組む。
情報管理体制の継続的な強化
同社は多くの個人情報を扱っていることから、情報管理体制を継続的に強化していくため、社外有識者との会議を含め、社内体制や管理方法の強化・整備を行っていく。
技術力の強化と追加サービスの展開
同社の競争力の源泉である、大量の映像データの処理と解析にかかる技術力は、事業の成長を支える基盤でもあることから、継続的な改善・強化が重要だとしている。このため、優秀な技術者の採用や先端技術への投資・モニタリングなどを通じて、技術力の向上に取り組むとともに、映像プラットフォームとしての価値向上のために、自社サービスの追加開発や、他社のソリューションが提供しやすい仕組みを継続的に開発していく。
利益およびキャッシュ・フローの創出(収益化)
同社の収益の中心は、サブスクリプション方式でユーザーに提供しており、継続して利用されることで収益が積みあがるストック型の収益モデルだ。一方で開発費用やユーザーの獲得費用が先行して計上される特徴があり、短期的には赤字が先行することが一般的である。同社は事業の拡大に伴い、ストック収益が順調に積みあがることで、先行投資として計上される開発費用やユーザーの獲得費用が売上高に占める割合は低下傾向にあり、利益体質へ改善しつつあるものとしている。

4回の資金調達で累計322,200万円を調達

同社はSMBCベンチャーキャピタルNTTドコモ・ベンチャーズベンチャーラボインベストメント池田泉州キャピタルなどのベンチャーキャピタルから多く出資を受けている他、NECキャピタルソリューションキヤノンマーケティングジャパンからも大型の資金調達を実施している。

また、投資家として三井不動産のCVCで三井不動産グローバル・ブレインが共同で運営する31VENTURES-グローバル・ブレイングロースも参画している。

想定時価総額と上場時主要株主

上場日は2021年9月29日を予定しており、上場する市場は東証マザーズとしている。また、SMBC日興証券が主幹事を務める。

今回の想定価格は、2,280円である。調達金額(吸収金額)は161.0億円(想定発行価格:2,280円 × OA含む公募・売出し株式数:7,062,300株)、想定時価総額は、1,120.5億円(想定発行価格:2,280円 × 上場時発行済株式総数:49,147,700株)となっている。

筆頭株主は同社代表取締役社長の佐渡島隆平氏で、全体の29.27%の株式を保有する。次いで同社取締役下崎守朗氏が12.45%、ソニーネットワークコミュニケーションズが11.04%の株式を保有している。

その他、オリックスキヤノンマーケティングジャパン関西電力といった事業会社、NTTドコモ・ベンチャーズが運営するNTTインベストメント・パートナーズ3号投資事業有限責任組合、三井不動産グローバル・ブレインの合同会社である31VENTURES-グローバル・ブレイングロースが名を連ねている。

※本記事のグラフ、表は新規上場申請のための有価証券報告書の部を参考

 

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