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スタートアップにとってデメリットなし?「官民ファンド」とは

スタートアップにとってデメリットなし?「官民ファンド」とは

新たにスタートアップを立ち上げたいとき、あるいは新規事業を行いたいときに資金調達を検討するだろう。その方法の一つに、投資ファンドや企業から投資を受けて、資金調達をするケースがある。この場合、投資資金の代わりに株式を渡す。投資する側は、会社が成長したり、経営改善が図られたりした段階で株式を売って利益を上げる仕組みだ。

投資ファンドの中には政府系ファンドがあり、これは各国の政府が出資する政府系投資機関が運営するファンドのことをいう。

今回は、国の政策に基づき日本政府と民間で出資する日本の政府系ファンド「官民ファンド」について紹介する。

官民ファンドとは?

官民とは政府と民間企業のことをいう。そして、ファンドとは投資家などからお金を集めて、それを何かに投資して収益を投資してくれた人達へ還元するものだ。

つまり、政府と民間企業が共同でお金を出し合っているものが官民ファンドなのである。出資の際は政府の成長戦略の実現、地域活性化への貢献、新たな産業・市場の創出という政策に基づき判断している。民間が取ることの難しいリスクを政府が取ることによって、民間の投資を活発化させ、民間主導の経済成長の実現を目的としている。

従来からある政府系ファンドは破綻企業や経営危機にある企業の支援・救済を行うという性格が強かったが、官民ファンドは成長支援を目的として、民間活力を引き出すための触媒機能を果たすこと、またハードだけではなくソフトへの投資も重視していることが特徴であるとされている(*1)。

*1:川村雄介『官民ファンド活用ガイド』(一般社団法人 金融財政事情研究会、平成27年)

民間ファンドとの違い

官民ファンドと民間ファンドの相違点を以下にまとめた。

なお、IRRとは、内部収益率法のことで、「投資期間内における1年あたりの利回り」を指す。

官民ファンドの投資方針

官民ファンドの投資方針はどのようなものか。内閣官房の「官民ファンドの運営に係るガイドライン」によると以下に留意して決定されているという。

①投資方針、チェック項目は、政策目的に沿って、適切なものか(業種、企業サイズ、事業ステージ、リスク選好度等から見て、当該ファンド全体としての運用対象は政策目的に沿ったものか(標準類型等))。

②投資に当たって、その定性面と定量面から以下の点は検討されているか。
・成長戦略への貢献の度合い、成長戦略との整合性の評価
・民間資金の呼び水機能
・民業圧迫(民間のリスクキャピタルとの非競合の担保等)の防止や競争に与える影響の最小限化(補完性、比例(最小限)性、中立・公平性、手続透明性の原則の遵守等)
・投資採算(投資倍率、回収期間、IRR等)、EXIT実現可能性の確認
・利益相反事項の検証と確認(ファンドへの出資者との関連取引のチェック、案件の共同出資者との条件の公平性等)

スタートアップにとってのメリットとデメリット

スタートアップにとってのメリットとデメリット

スタートアップにとって官民ファンドのメリットは、民間金融機関では対応できない領域や、政策的に育成を要するスタートアップ企業、事業再生、海外展開、雇用機会の確保に繋がる新規投資の喚起等に官民ファンドがリスクマネーを供給することができるので、スタートアップでも出資してもらえる点だ。

また、民間ファンドが投資収益の最大化を目的に投資検討、実行を行うのに対して、官民ファンドは政策的な投資目的や社会的な影響力を考慮し過度なリターンを追及しないため、既存経営者や株主によっては、資金調達手法の選択の幅を広げることになる。

そして国がリスクを背負ってくれているので、官民ファンドが潰れることはないため得られれば資金は安定する。

一方デメリットだが、官民ファンド自体のデメリットはあるが、出資される側のデメリットの情報がほとんどない。

官民ファンド自体の問題点は、集めたお金を投資せずに赤字決済になっているところである。また、本来なら市場から退出すべき企業の延命に手を貸し、新たなに投資すべき領域やベンチャー企業に未だ投資しきれていない点が挙げられている。

さらに税金の無駄使いや民業圧迫などの批判も多く、官民ファンド自体の評判がよくないため官民ファンド自体がどうなるか、今後の展開に左右される。

以上をまとめると、批判は多いものの投資される側がこれから伸びるであろう分野に着手するスタートアップにはメリットがかなり多い。

官民ファンドの今後の展望

日本の官民ファンドはアメリカと比べ、新産業の創出のためのベンチャー企業への投資が少ない点も指摘されている。民間ファンドは投資の失敗は存亡そのものに関わるが、官民ファンドでは万が一投資が失敗しても基本的にファンドが潰れることはないので、今後より積極的にベンチャー投資を進める方針をとっていくことを期待したい。

資金調達の手段として官民ファンドを検討する可能性があるならば、その機運が高まってきたときに備えて官民ファンドの投資方針について念頭に置いておくことが有用であると考える。

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