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国内主要ピッチコンテスト優勝スタートアップの傾向から2018年を振り返る

ピッチイベント,ピッチコンテスト

スタートアップと聞いて、どのような企業が思い浮かぶだろうか。日本国内であればメルカリ、海外であればUberなど、とくにここ1〜2年で誰もが名前を知るほどのスタートアップも増えてきた。ニュースでも、スタートアップに関する話題を目にする機会は多い。

そんなスタートアップだが、ニュースに取り上げられるきっかけのひとつとして「ピッチコンテストでの優勝」が挙げられる。

そもそも、ピッチとはスタートアップが投資家やベンチャーキャピタルなどに対して自社のサービスをプレゼンテーションする機会を指す。短い時間で自社のサービスや将来性を売り込み、資金を獲得することが目的だ。

また、コンテストの優勝によって、メディアに取り上げられる機会は急増する。資金獲得のみならず、企業やサービス全体の認知も上がる。

そこで本記事では、まず主要大型ピッチコンテストの紹介と合わせて、2018年優勝企業の傾向を解説していく。注目領域などから読み取れる、現在のトレンドを見ていこう。

国内主要ピッチコンテスト5つと優勝企業

1 . Industry Co-Creation ™ (ICC)  サミット

ICCサミット

Industry Co-Creation ™ (ICC) サミットは、「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場だ。年に2度開催され、毎回200名以上が登壇、700名以上が参加している。参加者同士も真剣に議論を交わし、学びを得るためのカンファレンスとして認知も高い。

2018年に開催されたピッチコンテストは、「スタートアップ・カタパルト」と「リアルテック・カタパルト」のふたつである。

ICC サミット in FUKUOKA(2018年2月19日 〜 2月22日)

・優勝企業
①スタートアップ・カタパルト:Mellow(2016年2月設立)
日本最大級のフードトラック・プラットフォーム「TLUNCH」を運営する。モビリティ領域の強みである機動力を活かして、シェフこだわりの料理をどこでも楽しめる世界観を実現している。

②リアルテック・カタパルト:
アクアサウンド(2012年3月設立)
水中音響に関連するプロダクト「AUSOMS-mini」などを開発する。海洋、ひいては人類の食糧問題などの解決に向けて、海洋研究の促進を技術の面からサポートしている。

ICC サミット in KYOTO(2018年9月3日 〜 9月6日

・優勝企業
①スタートアップ・カタパルト優勝:オプティマインド(2015年6月設立)
SaaSモデルによるAI最適配車クラウドサービス「Loogia」を開発・運営する。組合せ最適化、機械学習、統計などの技術を用いて、「どの車両が、どの訪問先を、どの順に回るか」という配送計画の領域を中心に事業を展開している。

②リアルテック・カタパルト:
エアロネクスト(2017年4月設立)/スペースリンク(2004年5月設立)
エアロネクストはUAV(無人航空機)やマルチコプターの機体フレームのあるべき姿を実現する、ドローン・アーキテクチャ研究所である。同社が実現を目指すドローン・ アーキテクチャの中心テーマを「姿勢制御」とし、重心制御技術(4D Gravity™)に強みを持つ機体開発を行なっている。

スペースリンクは、技術で暮らしを豊かにすることをビジョンに掲げる先端技術カンパニーだ。
カーボンナノチューブキャパシタとその応用製品の開発を行う次世代蓄電デバイス事業、高精度測位受信機とその応用システムの開発を行う高精度測位システム事業を展開している。

2 . B Dash Camp

BDashCamp

B Dash CampはB Dash Venturesが運営する国内外のインターネット業界のキーパーソンとスタートアップが参加する招待制イベントだ。

国内外のインターネット業界の第一線で活躍する経営者や業界関係者たちによる講演やセッション、ネットワーキングを通じ、参加する皆様のビジネスがグローバルに飛躍する場になることを目的としている。春/秋と、年に2度開催されている。

B Dash Campで行われるピッチコンテストへの応募資格は3つ。「創業3年未満」「資金調達2億円未満」「デモが可能なプロダクトがある」だ。まさにこれから大きな成長を望むスタートアップにとって、自慢のプロダクトを披露するのに最適なピッチコンテストである。

B Dash Camp 2018 Spring(2018年3月14日 〜 3月16日

・優勝企業:
カケハシ(2016年3月設立)

「医療と患者さんを繋ぐカケハシ」「医療と明るい未来を繋ぐカケハシ」になるというミッションを掲げている。患者さんに真剣に向き合う薬剤師をサポートする、完全次世代型のSaaS型電子薬歴システム「Musubi」を開発・運営している。

B Dash Camp 2018 Fall(2018年10月3日 〜 10月5日)

・優勝企業:
エアロネクスト(2017年4月設立)

ICC サミット in KYOTOに続いての優勝。

3 . Infinity Ventures Summit(IVS)

IVS

Infinity Ventures Summit(以下、IVS)は主にインターネット業界のトップレベルの経営者・経営幹部が一堂に集まって業界の展望や経営について語る、年2回の招待制オフサイト・カンファレンスだ。

IVSでは新サービス発表の場であるピッチコンテスト「LaunchPad」が行われる。応募対象スタートアップはIT全般とし、デモンストレーションが可能な製品やサービスがあれば応募可能だ。

2次審査、最終審査は6分のプレゼンテーションで競われ、事前デモンストレーションのトレーニングおよびメンタリングが用意されている。新製品・サービスのブラッシュアップにも有効であるため、スタートアップの登竜門と称されている。

IVS2018 Spring in 台北(2018年6月6日 〜 6月8日

・優勝企業:
ReCactus(楽傑科創)

リアクション動画の撮影・編集・投稿ができるモバイルアプリ「ReCactus」の開発・運営をする台湾のスタートアップ。2017年10月にローンチ後、月ごとのユーザ成長率は30%に達している。北米と南米がそれぞれ3割程度ずつ、残りの4割をロシアや東南アジアからのアクセスが占める。

IVS2018 Winter in Kanazawa(2018年12月17日 〜 12月19日

・優勝企業:
エアロネクスト(2017年4月設立)

ICC サミット in KYOTO、B Dash Camp 2018 Fallに続き3冠を達成。

4 . TechCrunch Tokyo

TechCrunch Tokyo

今年ローンチした(もしくはローンチ予定)プロダクトをプレゼンで競い合い、最も優秀なスタートアップを決めるコンテスト形式のピッチコンテスト。

書類審査に通過した約20社が参加する「ファーストラウンド」を2018年11月15日に、ファーストラウンドを勝ち抜いた猛者たちが優勝を競う「ファイナルラウンド」を2018年11月16日に開催した。優勝チームには賞金100万円が贈呈される。

スタートアップバトル(2018年11月15日 〜11月16日

・優勝企業:
ムスカ(2016年12月設立)

「食糧のインフラを技術と理念で支える企業」という理念のもと設立されたスタートアップ。ハエの一種であるイエバエによる「畜産糞尿を有機肥料や飼料に100%リサイクルする循環システム」を用いて、人口増加による食糧危機の解消を目指している。

2018年優勝スタートアップの傾向

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ピッチコンテストやその優勝企業の詳細などをご紹介してきた。1年間を通して、定期的に大型のコンテストが開催され、スタートアップが自ら発信できる機会も増えている。

ここで、最後に優勝したスタートアップから傾向を分析してみる。2018年の優勝企業から見る注目の領域は、以下のふたつだ。

傾向1:ドローン領域
エアロネクストがピッチイベント3冠を達成し、2019年注目間違いなしの企業であることは一目瞭然だ。ロボットやAIなどのリアルテックに注目が集まった1年だったと考えられ、今後も同領域のスタートアップが増えていくことが予想される。2019年、エアロネクストはもちろんのこと、ドローン領域全体にも注目してほしい。

傾向2:SaaS領域
Mellow、オプティマインド、カケハシのビジネスモデルSaaS(Software as a Service)が近年話題になってきている。ここ2〜3年でSaaS型ビジネスモデルのスタートアップは増えており、大型の資金調達も実現している。

ちなみに、STARTUP DB調べでは、2018年、5億円以上の資金調達を実現した例は119件だった。領域別に見てみると、B Dash Camp 2018 Spring優勝のカケハシが提供する「医療・介護」領域は、119件のうち14件で、領域としては2位に位置する。
ICC サミット in KYOTO優勝のオプティマインドの領域である「自動車」は10件で4位に位置している。資金調達にまつわるデータからも、VCや投資家の目線から見た注目領域が見てとれるだろう。

国内の主要ピッチコンテストは、メディアも注目するイベントのひとつだ。そのため、それらで優勝を飾ると、必然的にメディアへの露出も増え、企業の注目度が高まる。同時に、VCや投資家の目に触れる機会も増え、資金調達の実現がよりリアルなものとなる。

つまり、ピッチコンテストでの優勝は、スタートアップにおいての成長の第一歩ともいえるのだ。

本記事でご紹介したスタートアップが、今後どのような成長を見せるのか。また、2019年はどのような企業が登場し、ユニークなプロダクト/サービスを披露するのか。今年の動きに、さらなる注目が集まっている。

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