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『パネイル』が日本にもたらした、電力小売り革命

日本の電力自給率をご存知だろうか?

日本のエネルギー自給率は先進国と比較して、8%と非常に低いのをご存知だろうか。

大きな要因として、エネルギー資源が少ないことにあるが、それに拍車をかけているのが「電力小売りの生産性」の低さだ。

日本では2016年4月に電力小売りが全面自由化されたものの、複雑な登録申請プロセスへの対応、数億円の大規模基幹システムの導入、24時間の運用体制構築など参入障壁が高く、生産性は欧米諸国よりも低い水準となっている。

原因の一つには、IT技術をうまく取り込むことができずに既存の管理体制を貫いてしまい、時代の変化に取り残されてしまったことがあった。そこにメスをいれ、IT化を促進し業界全体の業務効率化を図るスタートアップがある。それがパネイルだ。

同社は、AI、ビッグデータの技術を導入したほか、これまで自動化できていなかった電気料金の請求などを自動化したことで、電力小売りにかかる販売管理費率を業界平均の3分の1にまで低下させることに成功した

そして、2017年時点で社員数35人ながら売上高80億円を記録。代表の名越氏は『Forbes JAPAN』の「日本の起業家ランキング2018」ベスト10に選出されるなど、現在注目を集めている人物だ。

本稿では、日本の電力問題の解決に貢献し、急成長するパネイルの中身を明らかにしていく。

 

パネイルのビジネスモデル

パネイルには二つの収益源が存在している。一つは、電力小売会社への業務効率化ソリューション「Panair Cloud」の提供。そして、もう一つは電力販売だ。自社のグループ電力会社から、企業や家庭に対しての電力供給も行っている。パネイルのビジネスモデル

「Panair Cloud」は、後述する電力供給予測システムから、顧客管理システムまで多くの機能を含むものであり、パネイルのビジネスにおいて最も重要な役割を果たしている。

以下では、主力のプロダクトである「Panair Cloud」の特徴を説明していく。

 

AIとビッグデータの活用

従来の電力小売会社では、エクセルにデータを記入し、電力の供給量と消費電力量を人の目で管理するのが当たり前であった。そのような非効率を、AIとビッグデータを活用して可能な限り自動化をするのが「Panair Cloud」の一つの特徴。

これまで活用されていなかった、電力業界のビッグデータを集め、AIで解析することによって電力供給の最適化を実現しているのだ。

「Panair Cloud」はいくつかのシステムから成り立っており、基盤となるのは独自に開発した、電力需要データ、天候、気温などのビッグデータを高速処理するシステム「Panair BigData」、膨大な量のデータを解析するAI「Panair Gungnir」の二つだ。この二つを基盤として、多くの機能を展開している。

「Panair BigData」によって処理されたデータを「Panair Analytics」によって解析し電力料金プランの最適化などを行い、一方で「Panair Forecast」によって電力の市場価格および電力供給量の予測を行っている。そして、これら解析の頭脳をになうのが「Panair Gungnir」だ。

 

自動化する顧客管理機能

自動化する顧客管理機能
「Panair Cloud」が低コスト化を実現している要因はビッグデータの活用以外にもある。それは、顧客の管理を可能な限り自動化してくれる機能だ。

例えば、「Panair Billing」は顧客の電力使用量から電気料金を算出し、請求処理や請求書の発送までを自動で行う、これにより業務の効率化を実現。他にも自動で顧客管理を行い顧客対応の質を向上させている「Panair C.I.S」や、電気料金の見積書を作成し、顧客への迅速な提案を可能にする「Panair Estimation」などがある。いずれも人件費の削減に大きく貢献している。

このように、顧客管理からサービス提案、適正価格による電力供給までを一気通貫で行い、且つ自動化していることにより、従来の電力小売りにかかる販売管理費を3分の1にまで圧縮するという圧倒的なコスト削減を実現しているのである。

電力業界全体の底上げという挑戦

パネイルが電力業界にもたらした革新は、電力供給の自動化・低コスト化の実現だけにとどまらない。

パネイルは、自社で導いた検証結果やビッグデータを、新規参入を図る他の電力小売り事業者に提供している。
一方で、すでに参入済みの事業者に対しては電源調達のサポートも行っている。今後は、ファイナンス支援も行っていく予定だという。
新規参入・既存事業者の両方をサポートすることで「電力業界全体の底上げ」を目指しているのだ。

このように、パネイルは開発に成功した技術独占的に使用するのでなく、同業者と共有することで、電力業界への影響力を強めつつ、自社のネットワークを広げてサービスをより充実したものへと成長させている。

化石燃料などの資源に乏しい上に電力消費量が多い日本では、生産性の高い電力小売りがもっと普及していてもおかしくなかった。

そんな電力業界で、電力の小売自由化を皮切りに、業界全体の電力供給体制改善に向けてパネイルの果たしている役割は大きい。 

まだまだ課題の残る、日本の電力小売業界を牽引していく存在として今後も目が離せないだろう。

 

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