1. HOME
  2. MEDIA
  3. 「第2のシリコンバレー」となるか?アメリカ国内注目のテックハブ3選

「第2のシリコンバレー」となるか?アメリカ国内注目のテックハブ3選

「第2のシリコンバレー」となるか?アメリカ国内注目のテックハブ3選

イノベーションの聖地、シリコンバレー。IT業界に身を置かずとも、AppleやFacebook、Googleなどのグローバル企業が本社を構えている地域と言えば、その特異性が分かるだろう。

だが、近年シリコンバレーから起業家が少しずつ去り始めているのはご存知だろうか。2017年の最後の3ヶ月でアメリカ国内のどの都市よりも多くの住民が転出しており、2018 Edelman Trust Barometerの調査によると、サンフランシスコからの転出を検討している住民は49%もいた。

その理由は、単純にシリコンバレーの生活コストが高すぎるからだ。プロダクティビティスタートアップ「WNDYR」のCEOであるクレア・ハイダル氏によると、誕生したばかりのスタートアップがベイエリアで活動するには、米国内のほかの都市に比べ少なくとも4倍の費用がかかるそうだ。

シリコンバレーから去る起業家たちが増える中、新たなテックハブとして注目を集めているアメリカの都市がいくつもある。有名な所だと”Silicon Beach”といわれるロサンゼルスやニューヨーク、シアトルなどが注目されている。本記事では日本国内ではまだそこまで知られていない、「第2のシリコンバレー」の候補地として注目を集めている3つの都市を紹介する。

南フロリダ

「第2のシリコンバレー」となるか?アメリカ国内注目のテックハブ3選 南フロリダのスタートアップ

まずはじめに紹介するのが、南フロリダだ。国内外にも展開している銀行業者を多く抱える南フロリダは、モバイル決済やビットコイン技術、個人金融管理、融資、クラウドファンディングに焦点を当てたFinTech企業にとっての理想的な都市

ラテンアメリカへのゲートウェイとしてのポジションを取り続けてきたフロリダ州は、才能ある移民と共に新しいアイディアももたらしてきており、多様なカルチャーをつくっている。

また、所得税がなく、生活コストが安いことからも人気を集めている。シリコンバレーやニューヨークに移転するよりも気軽に移転することができるので、起業したばかりで資金に困っている若い起業家にとって特に魅力的な場所だ。

南フロリダ発の最大のスタートアップは、Magic Leapだ。デジタルな情報や3Dモデルをまるで現実にあるかのように見せるMRデバイスを開発している企業である。情報をほとんど表に出さないことで知られており、謎に包まれたスタートアップだが、これまででGoogleなどから累計23億ドル以上を調達し注目を集めている。

テキサス州オースティン

ネクストシリコンバレー オースティン発スタートアップ

オースティンは、テクノロジー、ビジネス、そしてクリエーティブの祭典「SXSW」の開催地として有名。ライブミュージックやアートのハブとして知られている一方、近年スタートアップにも人気のスポットとなっている。

生活コストが低く、地方税がないことや低い犯罪率なども多くの人を惹きつけている。またシリコンバレーとは違いオースティンはVCに溢れているわけではないため、スタートアップは早い段階で財務的に独立しなければいけないという意識を自然と持っているようだ

2018年現在、6500以上のスタートアップやテック企業がオフィスを設ける同地域の技術雇用は2000年以来ほぼ80%増加し、ソフトウェア雇用は2010年以来約30%増加した

オースティンを代表するスタートアップは、不動産領域においてバイヤーと売り手のよりよいマッチサービスを展開しているOpcityだ。Opcityは、機械学習と不動産データを使用して住宅購入者、住宅の売り手、不動産業者を結びつけることで、不動産売買プロセスを効率化している。これまでに5,000以上の仲介業者と40,000を超える代理店がOpcityを利用している。2018年8月には、大手不動産業者に2億1,000万ドルで事業を売却した。

アリゾナ州フェニックス

ネクストシリコンバレー フェニックス発スタートアップ

アリゾナ州フェニックスも、スタートアップに人気の都市だ。フェニックスは古くから宇宙航空、軍事産業などのハードウェア製造業に注力する企業が多かったが、近年ではソフトウェア事業を展開する企業も増えている。

バイオテクノロジーやヘルスケア領域においても強く、高学歴の技術者が多いことやアリゾナ大学などの研究機関も揃っているためスタートアップにとっては魅力的な場所だ。

「2012年から2017年までの5年間で新たに起業、もしくは移転してきたIT関連企業の数は4倍に増えた」と、フェニックスの市長であるグレッグ・スタンソン氏は言う

また2017年11月にはビル・ゲイツ氏が8,000万ドル(約85億円)を投資してフェニックスに新たな「スマート・シティ」を作り出すという計画を発表した。 住民たちは「スマートシティ」で高速なデジタル通信ネットワークやデータベース、自律走行車、自動配送センターを利用できていくことと予想される

フェニックスに本社を置くスタートアップには、中古車売買のオンラインプラットフォーム運営のCarvanaがある。アメリカの中古車市場は、年間4,500万台を販売する大きな市場であるが、中古車市場で最大のシェアを持つCarMaxのシェアは2%に過ぎない。Carvanaは、中古車販売における販売プロセスをオンライン化することで市場シェアを伸ばしているスタートアップだ。これまでに7億ドルに及ぶ資金を調達している。

他にも、クラウドマーケティングソフトウェアを提供するIntegrateなどが本社を構えている。Integrateのソフトウェアはマーケティングにおける手動タスクのほとんどを排除し、SalesforceなどのCRMプラットフォームと連携することで、マーケティング活動における業務を効率化している。同社はこれまでに4,300万ドルを調達するなど、注目を集めている。

暮らしやすく、ダイバーシティ溢れる環境

今回紹介した都市に共通して言えることは、生活コストがリーズナブルかつ、ダイバーシティが溢れるカルチャーが存在しているということではないだろうか。

もちろん、第2のシリコンバレーは完全に元祖シリコンバレーに取って代わることはないだろう。

エンジニアリングの専門技術、活気あふれるビジネスネットワーク、潤沢な資金、優秀な大学、そしてリスクをいとわない文化に恵まれたことで、シリコンバレーは他にまねすることのできない存在となった。模倣しようとする試みは何度もあったが、世界最高の革新のハブとしての地位を脅かす見込みのある都市はない

だが、元祖シリコンバレーにおいても、新たなテックハブとして注目される都市でもイノベーションが今後も起こりつづけることは間違いないだろう。

シェアする