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井上内閣府特命担当大臣、関西のスタートアップと意見交換

大阪・関西万博の開催テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。
2020年代、ふたつの世界的イベントが日本で開催される。
ひとつは2021年に延期された東京五輪、そしてもうひとつが2025年に大阪で開催予定の大阪・関西国際博覧会(以下、万博)だ。日本政府は、万博の経済効果を全国で約2兆円と試算、21年東京五輪・パラ五輪後の日本の景気浮揚策に位置付けている。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、少子高齢化や貧困、エネルギーなどの課題を解決するため、国内と世界から最先端技術や英知を集め、国連が掲げる「持続可能な開発目標」(SDGs)にもつなげる狙いだ。この万博を契機に、新しいテクノロジーやサービスの事業化で社会貢献する日本のスタートアップの更なる活躍を期待したい。

2020年10月に発足した菅内閣の国際博覧会担当大臣である井上信治大臣(以下、井上大臣)は、内閣府特命担当大臣(科学技術政策)としてスタートアップ・エコシステムの形成も担当する。
折しも、東京一極集中の様相を呈しているスタートアップ領域において、大阪を中心とした関西エリアが、政府から「スタートアップ・エコシステム拠点都市」として指定された。大阪大学、京都大学、神戸大学などの最先端技術の事業化を目指すスタートアップが増加し、周囲の支援環境も活気を帯びてきている。

今般、井上大臣が、関西のスタートアップとの交流・意見交換のために大阪を訪れた。その背景には万博のテーマである「未来社会のデザイン」の推進のため、スタートアップの動きを後押ししていく狙いがある。
この記事では、当メディアを運営するフォースタートアップス株式会社(以下、for Startups)が、スタートアップ・エコシステム形成の動きをフォローするため、井上大臣の視察に内閣府スタッフと同行し、その概要をレポートする。

大阪スタートアップの拠点を視察

白い大きなモニュメントが圧巻の「The Lab.」

井上大臣が最初に訪れたのはナレッジキャピタル内の「The Lab. みんなで世界一研究所」。JR大阪駅直結のグランフロント大阪北館2,3Fにあるこの施設は、訪れた誰もが先端技術に触れ、体験し、語り合い、楽しめる交流施設。独創的な発明を見る、触れるだけではなく、“つくる”ことにも参加できる、まさに「ラボ(研究室)」だ。井上大臣は、そんな最先端の取り組みを展示する「The Lab.」で、大学や企業の取り組みなど様々なブースを視察。展示されている新しい技術の説明に、好奇心を持って時折笑顔を見せながら質問する井上大臣の姿が印象的だった。その後、OIH(大阪イノベーションハブ)のイベントに立ち寄り、イノベーションのアイディアを練る参加者を激励した後、今回視察のメインとなる、関西スタートアップとの意見交換会に向かった。

飛び出す絵本『キシマン』
本を開くとセンサーが絵を認識、プロジェクションマッピングでセリフの吹き出しが現れ、同時に多言語の音声でもセリフが読み上げられる。

関西スタートアップ9社がピッチを実施

関西スタートアップとの意見交換会は、コロナ対策のアクリル板や換気・配席に配慮されたナレッジサロン内のプレゼンテーションラウンジで大阪、京都、神戸のスタートアップの代表と支援者が集まり開催された。

冒頭、井上大臣から、
「スタートアップは、機動的でチャレンジ精神に富んでいるところが売り。イノベーションを牽引するキープレイヤーです。大企業が取り組みにくい、リスクを伴う新しい分野に積極的に取り組み、新しい価値の創造に貢献しています。世界に向けて日本の魅力を発信する絶好の機会である「万博」をきっかけに、スタートアップの新技術・新サービスの社会実装や日本スタートアップの魅力の発信を強化していきたい」とあいさつ。

続いて、大阪産業局理事長(大阪商工会議所副会頭) 立野純三氏が
「京阪神がスタートアップ支援拠点に選ばれたことは大変嬉しく感じている。『5G X LAB OSAKA(ファイブジー・クロス・ラボ・オオサカ)』での実証実験など新しい動きも加速。万博開催に向け、まずは2021年2月に開催される国際イノベーション会議でスタートアップ・エコシステムの盛り上がりを図り、京阪神連携による支援ネットワークを広げていきたい」とスピーチし、
近畿経済産業局長 米村猛氏が「J-startup KANSAIとして31社の有望なスタートアップを選定し、支援を強化していく。関西は国の独立行政法人の支部がだいたい揃っている珍しい都市でもあり、この力を結集して支援策ネットワークを作っていきたい」と、意気込みを語った。

そして、関西スタートアッププレゼンがスタート。各社とも新しい事業の意義や社会インパクトを熱く語った。(※敬称略)
                  
①【大阪】Payless Gate株式会社 代表取締役 足立安比古
「タッチレスな本人認証」技術でゲート通過や決済に革新を。

 

②【大阪】PGV株式会社 取締役兼技術開発責任者 水原善史
脳で考えることを言葉を介さずに読み取る新技術。

 

③【大阪】株式会社DG TAKANO 創業者・CEO 高野雅彰
圧倒的な節水技術で地球環境に貢献。

 

④【大阪】株式会社i-plug 代表取締役CEO 中野智哉
学生のダイレクトリクルーティング。大阪スタートアップのリーダー。

 

⑤【大阪】一般社団法人i-RooBO Network Forum 副会長 松出晶子
ロボットビジネスの創出を目指す企業等が集まっている会員ネットワーク。ロボットコミュニティを形成。

⑥【京都】株式会社データグリッド 代表取締役社長CEO 岡田侑貴
斬新なAI技術で、クリエイティブAIの新領域を開拓。

 

⑦【京都】株式会社Atomis 代表取締役 浅利大介
「多孔性配位高分子」の技術でプロパンガスボンベが一辺30cmのキューブ容器に?

 

⑧【神戸】株式会社バイオパレット 取締役 山本一彦
独自のゲノム編集技術で細菌・バクテリアを活用。

 

⑨【神戸】株式会社T-ICU 代表取締役社長 中西智之
集中治療専門医の不足に遠隔医療で対応。

 

意見交換会のテーマは「関西スタートアップの発展と万博における貢献のために何が必要か」

各社のプレゼンに続いて、参加者による意見交換がスタート。テーマは「関西スタートアップの発展と万博における貢献のために何が必要か」。以下のような様々な意見や提言がなされた。

i-plug 中野氏
「関西圏のスタートアップ関連プレーヤーは増えてきてはいるが、エコシステム形成にはもう1桁上の数が必要。万博が開催される5年後には今の高校生や大学生が会社を作ってやっていこうと思える雰囲気作りが大切。例えば、リアル万博とバーチャル万博を並行して実施するだけではなく、万博後のスーパーシティ構想にもつながるような都市づくりのバーチャル連動を進めていくことができれば機運が盛り上がると考えている。また、万博開催までの期間についても色々と実験していけるといいという意見もある。2025年まで待てない、ボランティアでもいいから何か始めたいという想いを持ったメンバーも関西には多い。旗だけ立てていただければ、それ目掛けて毎年何かやっていくということを国と一緒に取り組みたい。そういった活動の中で若手が活躍できるチャンスが生まれてくれば、万博後の関西も活気づくのではないかと考えている。」
バイオパレット 山本氏
 「万博というせっかくの機会なので、次の産業革命につながるような何かテーマを提示していただけるといいのではないか。現在の第4次産業革命であるAI・IoTに関してはある程度実現できているが、次の第5次産業革命として挙げられているSDGsを含むバイオエコノミー、人類と地球環境の持続可能な経済発展を実現するにあたり、中核技術としてデジタルとバイオが掛け合わされた圧倒的な科学技術が挙げられる。これを科学技術のテーマの一つの柱として注力していただきたい。」
DG TAKANO 高野氏
 「当社の節水技術は、世界一の節水能力を持っており各国の政府の方と直接交渉している状況である。レストランや病院など水を大量に使用する場所への導入が進んではいるが、大阪万博の施設にこの節水技術を導入した場合にどれだけの節水効果があるかというデータが取れれば、そのデータを持って世界各国の水がない都市をまわることができる。SDGsど真ん中の技術であるし、せっかく大阪で生まれた技術なので、万博での評価を官民一体となって取り組んでいただきたい。」
Payless Gate 足立氏
「政府対応のスピードアップをお願いしたい。特に万博において、個人認証導入について顔認証なのか、QRなのか、スマートフォン認証なのかの議論に参加できる場をオープンに設置いただきたい。」
大阪産業局 立野氏
「万博のパビリオンへの出展費用が高く、スタートアップやベンチャー企業にとっては負担が大きい。そのあたりをどうされるか、例えば政府もしくは府・市がパビリオンを作ってあげるなど是非検討していただきたい。

この他にも、資金調達の支援や規制緩和、新たなルール作りによる産業創出など多様な意見が述べられた。

井上大臣はこれらの意見を受け、「今回、皆さんから大変良いご意見、ご要望が聞けました。スタートアップにとって、万博をひとつのチャンス、大きな成長の機会として捉えていただければありがたいと思っています。今後共よろしくお願いいたします」と、スタートアップの活動と万博を繋げていきたい意向を示した。

スタートアップのグローバル展開を見据えた拠点「GVH#5」

井上大臣は、意見交換会の後、そのまま阪急アネックスビルの「GVH#5」を視察。大学の新技術を活用した大企業の若手のイノベーション創出プロジェクト「T-CEP」のワークショップ会場を訪れ、参加者のショートピッチに耳を傾けた後、シェアオフィスを視察した。

大企業若手のオープンイノベーション・プロジェクトT-CEPの参加者と。

「GVH#5」は大阪・関西を拠点とし、新たなビジネスの立ち上げを目指すスタートアップを応援する会員制のワークプレイス。コワーキングスペース、プライベートオフィスといったオフィス空間だけでなく、新たなビジネスパートナーとの出会いの場づくりなど様々な支援サービスを提供している。
諸冨阪急阪神不動産代表取締役社長より「関西には多くの素晴らしい研究をしている大学や大企業が集積しており、双方の出会いの場を提供していくことで(デベロッパーとして)新しい産業構造の構造化の役割を果たしていきたい。『GVH#5』を実証実験の場として機能させることができれば、来たる万博でプレゼンスを発揮し、その後のうめきた二期開発の各施設にも実装していく、そういう未来への発展を見据えて取り組んでいきたい」と説明がなされた。

終始和やかな雰囲気で視察される井上大臣

万博のテーマとスタートアップの親和性は非常に高い

視察を通じて、井上大臣は、
「今回、関西のスタートアップの方々、並びにスタートアップ支援の方々との意見交換を通じ、関西のみなさんの元気なパワーを感じた。若い方、女性の方も多く活気がある。改めてこの関西エリアをスタートアップ・エコシステム拠点都市に選ばせていただいて、『間違いなかった』と確信している。2025年の万博については、スタートアップとスタートアップ支援の皆様に是非この機会を活用して頂き、関西の力を全国、そして世界にも発信していってもらえればと考えている。万博のテーマでもある『未来社会のデザイン』と、近未来的なテクノロジーを事業化しようとする『スタートアップ』の親和性は非常に高いと認識している。まずは政府としていち早くコロナ禍収束に繋がるように取り組みつつ、コロナ禍においても、スタートアップ・エコシステムの形成や万博の成功に向けてできることは取り組んでいく」と締め括った。

筆者は、今回の大臣視察同行で、数年前に比べて関西スタートアップの熱量が格段に上がっていると感じた。万博に向けて、大阪独特の「やってみなはれ」という機運も高まっている。
一方で関西出身である筆者の欲目でいうと、それぞれのスタートアップや支援者が置いているモノサシのバラツキがまだまだ大きく、まずは基準をどこに置くかの解決を目指して欲しいと考えた。それにより地域の潜在力が更に発揮され関西スタートアップが世界にグロースするのではと思う。政府の支援や産学官の活発な交流を繰り返しながら、今後より高い次元で全体のモノサシが統一されていく流れになるよう応援しようと考えている。
「万博とスタートアップ」、「未来のデザインとエコシステム形成」を、STARTUP DB及びfor Startupsも支援していきたい。

視察同行・執筆:for Startups,inc. 泉 友詞
編集:BrightLogg,inc

 

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