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クラウドファンディング「Makuake」運営のマクアケのIPO分析

クラウドファンディング「Makuake」運営のマクアケのIPO分析記事

生まれるもの、広がっているもの、残っているもの。あらゆるものは、世界中で日々、誰かによって取捨選択されている。

ただ、その取捨選択は、拡大一辺倒な資本主義の論理や、一部の強力な政治の論理などによってのみ決定されることが益々増え、本当に生まれるべきものが生まれ、広がるべきものが広がり、残るべきものが残っているかというと、残念ながら大きくかけ離れている。

現状の世界をこのように捉え、”世界をつなぎ、アタラシイを創る”をミッションにクラウドファンディング事業「Makuake」を開発・運営するのが株式会社マクアケ(以下、マクアケ)だ。

マクアケは実行者、支援者、サポートする企業など、多くのパートナーに支えられ、旗艦事業の「Makuake」を中心に、「Makuake Incubation Studio(MIS)」事業や、流通小売との連携、100社を超える金融機関との連携を推進してきた。その結果、”アタラシイ”が生み出される生態系は着実に強化され、企業としても順調に成長を続けてきた。ミッションの達成に向けて、これからも成長を続けるため、2019年11月8日に上場申請が正式承認され、同年12月11日に東証マザーズへ上場を果たす。

本記事では、同社のこれまでと今後の動向を紐解いていく。

クラウドファンディング事業として展開する3つのサービス

マクアケは「生まれるべきものが生まれ、広がるべきものが広がり、残るべきものが残る世界の実現」のビジョンのもと、「世界をつなぎ、アタラシイを創る」をミッションとして掲げている。

世にまだない新しいものが最初に見つかり、手に入る場所を提供することを目的に、購入型クラウドファンディングプラットフォーム「Makuake」を運営している。

また、事業展開を通じて、様々な企業や個人に対してマーケティング、PR及びファンの創出、資金獲得の手段や機会を提供していくことを目指している。

マクアケが運営するクラウドファンディング事業は3つのサービスから成り立っている。

①Makuake
クラウドファンディングプラットフォーム。新しいアイデアや優れた技術などを用いた製品、又はサービスの実現、及びその加速を希望する企業や個人(プロジェクト実行者)と、そのプロジェクトを支援する複数の個人など(プロジェクト支援者)とを、インターネット上でマッチングするサービス。
プロジェクト支援者からプロジェクト実行者への支援金提供の決定方式には、ふたつの方式がある。
(1)All-in方式
プロジェクト掲載の終了期日までに集められた支援金がプロジェクト実行者に提供(支援総額が目標額に達していない場合を含む)される。
(2)All or Nothing方式
支援総額が設定された目標額に達した場合にのみプロジェクト実行者に支援金が提供される。
②Makuake Incubation Studio
企業などが有する研究開発技術を活かした新事業を創出するため、新製品の企画、企画を実現するためのパートナーマッチング、プロジェクトの戦略立案や事業計画、マーケティングレポートの作成など、製品開発領域における各種インキュベーションサービス(*1)を提供している。

*1:新事業を創出するための支援業務

③その他
●EC(電子商取引)サイト運営サービス
「Makuake」において創出されたプロダクト(商品)を「Makuake ストア」にて販売取次するサービスであり、プロジェクト終了後もプロジェクト実行者に対してプロダクトを販売する機会を提供している。
●広告配信代行サービス
「Makuake」における獲得支援額の拡大を目的に、プロジェクト実行者に対してFacebookやTwitterなどのSNS広告及びCriteo広告を利用した広告配信代行サービスを提供している。
●Makuake SHOPサービス
「Makuake」においてプロジェクトが成立した後、ビジネスの広がりをサポートするため、全国各地の様々な業態のパートナー企業と連携し、「Makuake」発の製品をリアル店舗で展示・販売するMakuake SHOPへの紹介サービスを提供している。
●販路紹介サービス
プロジェクト実行者の事業拡大及びプロモーション強化に資するべく、「Makuake」においてプロジェクトが成立した後、同社が提携している販売業者を販路として紹介するサービスを提供している。

購入型クラウドファンディングのビジネスモデル

購入型クラウドファンディングのビジネスモデル

マクアケは「Makuake」、「Makuake Incubation Studio」、「その他」でそれぞれマネタイズを行っている。本記事では、「Makuake」と「Makuake Incubation Studio」のマネタイズを紹介する。

「Makuake」は、プロジェクト実行者が予め設定した、支援額に応じたリターンを目的としてプロジェクト支援者が支援(購入金額の前払い)を行う仕組みだ。これは新製品・新サービスの予約購入の側面を有している。プロジェクト支援者がプロジェクト実行者へ支援金を提供することが決定(プロジェクト成立)した場合に、プロジェクト実行者から一定のサービス利用料を受領している。

「Makuake Incubation Studio」は、「Makuake」サービスの運営を通じて蓄積した顧客ニーズのデータやノウハウなどを活用し、企業の有用な技術を活用した新しい発想の製品開発をサポートすることで、報酬を受領している。

複数市場を巻き込みながら成長する「Makuake」

「Makuake」は、新しいアイデアや優れた技術などを用いた製品、又はサービスの実現のための購買型クラウドファンディングである特性上、クラウドファンディング市場、新製品販売におけるEコマース市場、新サービスにおける予約販売市場など複数の市場の動向に影響を受けている。

特にクラウドファンディング市場は、比較的新しく、成長過程にあり、今後も定義や形を変えながら進化していくと予測される市場だ。

また野村総研研究所作成「ITナビゲーター2019年版」 によると、B2C Eコマース市場も拡大傾向であり、2019年度においては前年比+6%の20.5兆円規模、2020年に21.7兆円、2021年に23兆円と今後も市場拡大していくと見込まれている。

この環境下でマクアケの売上高は成長し続けている。主力サービスである「Makuake」の成長を支えるのは、リピート決済率(*2)だ。

*2:「Makuake」における決済金額のうち、過去1年間において決済実績があるプロジェクト支援者の決済金額の割合

決済総額のグラフ

リピート決済率のグラフ

「Makuake」におけるプロジェクト支援者のリピート決済率は、継続的に成長している。また、リピート率と決済総額の成長に概ね相関があるため、新製品分野に高い関心又は購買意欲を示すユーザー層を獲得できていると言える。

さらに、もうひとつ会員UU(*3)の成長も見て欲しい。「Makuake」の顧客が年々しっかりと成長しており、この拡大による会員のリピート利用及びリピート決済の増加に繋がっているとも言えるだろう。

*3:特定期間中における、会員登録したユーザー中アクティブであるユーザーの数

会員UUのグラフ

有価証券報告書では、これら顧客及びそのリピート決済率の成長は、以下3つにより実現されていると述べられている。

a)同社キュレーターによるコンサルティングサポートにより良質なプロジェクトが提供されていること
b)同社サービスが、市場にない新製品・サービスを魅力的なプロジェクトとして提供しているとの評価及び認知向上が図られていること
c)プロジェクト支援者が支援プロジェクトに対する応援体験を通じてプロジェクト実行者のファンになることを促していること

売上高と純利益が約2倍以上に。売上高と当期純利益の推移

売上高と純利益が約2倍以上に。売上高と当期純利益の推移

毎年150%前後で売上高、純利益ともに成長を続け、2017年9月期には黒字化を達成している。2017年当時国内クラウドファンディング支援金の最高記録を樹立したプロジェクトを含め、調達金額が1億円を超えるプロジェクトも登場し始め、一気にサービスの拡大が始まった。

マクアケのサービス別の売上高は以下である。

このグラフは2018年9月期通期決算(*4)と2019年9月期第3四半期(*5)までの決算を比較したグラフだ。2019年9月期第3四半期決算では、第4四半期の決算を含んでないにもかかわらず、2018年9月期通期決算に迫る売上高を誇っている。

このグラフは2018年9月期通期決算(*4)と2019年9月期第3四半期(*5)までの決算を比較したグラフだ。2019年9月期第3四半期決算では、第4四半期の決算を含んでないにもかかわらず、2018年9月期通期決算に迫る売上高を誇っている。

*4:2017年10月1日 〜 2018年9月30日
*5:2018年10月1日 〜 2019年6月30日

より成長を遂げるため、「Makuake」のさらなる認知度向上とブランド力の強化を課題としている。

有価証券報告書では、ユーザーに選ばれるプラットフォームであり続けることが重要であると記載されている。そのため、魅力あるプロジェクトの継続的な発掘、ユーザーの満足度の向上を図るとともに、積極的なPR活動などによる、「Makuake」のさらなる認知度向上とブランド力の強化に取り組んでいくようだ。

さらに、これらの取り組みにより1次流通市場に潜んでいる新製品・新サービスのマーケットデビュー市場「0次流通市場」を創出、拡大していく。また、小売業者や大手流通業者との連携も進め、マーケットデビューを行った製品の販路拡大についても提供していくことを想定している。

効率経営、ROE50%超え。マクアケのB/S分析

効率経営、ROE50%超え。マクアケのB/S分析

B/Sでまず見てもらいたいのは、ROEだ。一般的に10%〜20%を超えていると優良企業と言われているが、マクアケは50%を超えている。つまり、自己資本を効率的に運用して利益を生み出せている。

続いては成長性だ。売上高成長率は100.02%、当期純利益伸び率は約160%と前期から大幅に成長していることが伺える。売上高に関しては、2104年9月期からしっかり伸びてきているので、IPO後も売上の成長が見込めるだろう。

本田圭佑氏も出資!想定時価総額と主要株主

本田圭佑氏も出資!想定時価総額と主要株主

今回の想定発行価格は1,550円である。調達金額(吸収金額)は45.4億円(想定発行価格:1,250円 × OA含む公募・売出し株式数:2,926,700株)、想定時価総額は169.9億円(想定発行価格:1,550円 × 上場時発行済み株式総数:10,966,000株)となっている。

上位株主の割合はサイバーエージェントの子会社であるため、サイバーエージェントが最も多くなっている。続くのは、元日本代表MF本田圭佑氏の個人ファンド「KSK Angel Fund」で13.71%保有している。その後は経営陣が名を連ねている。

さらに歌舞伎界のスターも出資している。堀越寶世氏に注目してもらいたい。これは歌舞伎俳優、市川海老蔵氏の本名であり、Yahoo!ニュースでも取り上げられていた。

投資家のリターン予測は、KSK ANGEL FUNDが約23億円、堀越寶世氏が約3億円となっている。

※本記事のグラフ、表は新規上場申請のための有価証券報告書Ⅰの部を参考にSTARTUP DB編集部にて作成

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