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【設立から4年でのIPO】人工知覚のパイオニア「Kudan」のIPO分析

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Kudanとは

Kudan株式会社(以下、Kudan)はArtificial Perception(以下、AP)と独自に提唱している人工知覚の研究開発と、それに係るソフトウェアライセンスの販売を行っている企業である。外資系コンサルティング企業で経験を積んだ大野智弘氏によって、2014年11月に東京都千代田区に設立され、2018年12月に上場を果たす。Kudanが設立される3年前から、同社の技術の基礎となる研究開発をイギリスにて行っていたKudan Limited(現在はKudanの完全子会社)と併せても、設立からわずか7年でKudanはマザーズに上場を果たすこととなった。

従業員数わずか14名(2018年9月30日段階)で上場を果たすKudanとはいったいどんな企業なのか。そして、同社が提唱するAPとはいったいどういうものなのだろうか。情報をまとめた。

AP(人工知覚)とは

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同社が開発・提唱しているAPの近しい概念として Artificial Inteligence(人工知能)がある。近年我々の生活にとって身近なものになったAIは、人間の身体でいうところの脳を代替するものとされている。一方、APは眼を代替するものとしている。つまりAPはAIを補完する機能を持ち、AIが適切な判断を下せるように周囲の状況を理解する役割を果たすということだ。これによりAIを搭載したロボットはより人間のコントロールを離れ、自分で周囲から情報を取得し、判断し行動を起こすことが出来るようになる。さらに自律したAIロボットの実現である。

同社はAPの基幹技術やその他関連アルゴリズムをソフトウェアライセンス化した「KudanSLAM」を販売している。顧客はこのソフトウェアを利用することで様々なハードウェアにAPを搭載することが出来る。搭載されたロボットはカメラから得た二次元の情報から周囲の三次元の立体地図やその地図における自己位置、姿勢の推定を行うことが可能となる。

この技術はカメラが付く多様な機器に必須となる可能性がある。たとえば次世代自動車やドローンといったロボットの自動制御やARやVRの空間認識が応用先としてあげられる。実際に同社はこれらの領域において顧客開拓を実施している。さらに将来的なAIやIoTとの技術統合に向けた研究開発も行っており、APは非常に大きな可能性を秘めているといえそうだ。

Kudan のビジネスモデル

Kudanのビジネスモデルを見てみよう。以下のように同社はソフトウェアライセンス「KudanSLAM」を販売している。半導体やセンサー、カメラを開発している工程の上流の企業から下流のアプリ開発企業などのユーザーまで、幅広い企業に販売して利益を得ている。以下ではさらに主要な取引先をみてみよう。

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新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)より編集部作成

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※新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)より編集部作成

Ⅰの部に掲載されている主要な取引先をまとめると以上のようになる。カメラで有名なニコンやザクティ、地理空間情報技術の国際航業などがある。そしてVR/AR界隈で2018年大きな話題を呼んだMagic Leapも取引先に含まれている。Magic LeapはGoogleやAlibabaからも資金調達をしており、ARヘッドセット「Magic Leap One」の開発者版も発売した。Kudanが確かな技術力を持っていることの証明である。

近年の業績推移

続いてKudanの近年の業績の推移を見ていきたい。以下は売上高と当期純利益の設立から直近までの推移である。

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新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)より編集部作成
※第3期より連結会計

2014年の設立以来、売上高を順調に伸ばしていることがわかる。当期純利益も前年度より黒字化、直近の第2四半期までで2億円近くと大幅に成長していることがわかる。この近年の成長には第4期より提供開始した「KudanSLAM」の存在がある。特に直近の四半期ではライセンス提供数の増加と大口の契約締結が大きな要因となった模様だ。

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新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)より編集部作成

上のグラフは第4期の地域別売上高である。前身企業がイギリスにあったこともあり、日本に縛られず多様な国の企業と取引していることがわかる。

IPOに関する情報

今回、上場するにあたっての想定発行価格は3,260円となっている。想定価格をベースにした時価総額は約223億円、吸収金額は約6.4億円となっている。一般的に吸収金額が10億円未満のものは小型案件とみなされるので、そこまで規模の大きなものとはならなそうだ。続いてKudanの大株主の状況を見てみる。

新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)より編集部作成

代表取締役を務める大野氏が約53%の株式保有割合となっている。また子会社を含めたほとんどの従業員にストックオプションが配られており、彼らも今回の上場の恩恵を受けることが出来そうだ。

Kudan が切り拓く未来

以上のようにKudanは高い技術力を誇り、世界中の企業から評価を集めていることが分かった。またその中でも、近年は大きく業績を伸ばしており今期もさらなる成長が見込める。
2018年12月19日は、IPOにおいて2018年で最も注目を集めているソフトバンクも上場を果たす。同日上場のため、Kudanはその陰に隠れる形になるかもしれない。しかし、今後より大きな成長が見込めるAIやIoTの分野において、他社にない独自の技術を持つ同社がさらに成長していく可能性は大きそうだ。

APという技術は、今後のAIやIoTの成長のカギを握っていると言ってもいいかもしれない。我々の未来を支えているのは、Kudanが述べるように眼と脳を持ったロボットかもしれない。

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