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「学び」をテクノロジーで革新する、KIYOラーニングのIPOサマリー

ビジネスパーソン向けのオンライン資格講座「STUDYing(スタディング)」や社員教育クラウドサービスを展開している株式会社KIYOラーニング(以下、KIYOラーニング)が東京証券取引所マザーズへの新規上場承認を受けた。

承認日は2020年6月12日で、上場は2020年7月10日に予定されている。同日には、GMOファイナンシャルゲートアイキューブドシステムズの上場も控えており、いずれもマザーズへの新規上場となっている。

KIYOラーニングは、「学びを革新し、誰もが持っている無限の力を引き出す」というミッションのもと、綾部貴淑氏によって2010年1月に創業され、設立からおよそ10年での上場となる。

本記事では新規上場申請のための有価証券報告書の部の情報を元に、同社のこれまでの成長と今後の展望を紐解いていく。

売上高は順調に成長、営業損失は減少傾向へ

売上高に関しては年々成長を続けており、2019年12月期には、2015年12月期の約10倍に成長していることが分かる。

2018年12月期から公表されている営業利益に関しては、未だ損失は出ているものの、徐々に縮小していることがわかる。損失の要因は、優秀な人材の確保、学習システムやコンテンツの開発、及び来期以降の売上増の基盤となる無料会員を獲得するための広告宣伝費の先行投入などによるものだとしている。

「スタディング」と「エアコース」の二本の柱

KIYOラーニングは、個人向け資格取得支援事業「スタディング」と、法人向け教育事業「エアコース」のふたつの柱を持つ。

個人向け資格取得支援事業「スタディング」
「スタディング」は、個人向けのオンライン資格講座だ。
ビジネスパーソンに人気がある資格を中心に、「ビジネス・経営」「法律」「会計・金融」「不動産」「IT」「ビジネススキル」「公務員」「語学」の8カテゴリー、全26講座(2020年5月現在)を提供している。

同サービスの強みは、以下の通りである。

・スマホやタブレットを活用して、すきま時間に学べる
・効率よく勉強できるよう、様々な学習支援システムを完備している
・図を多用した動画講座を通じて、テキストなし・スマホで完結できる学習コンテンツの構築
・低価格

法人向け教育事業「エアコース」
「エアコース」は法人向けの社員教育クラウドサービスで、プランは「ベーシック」と「コンテンツ・プラス」の二種類に分かれている。「ベーシック」では、各企業独自の集合研修の動画や業務内容のマニュアルを、eラーニングのコースとして社内に配信できる。「コンテンツ・プラス」では前述の機能に加え、KIYOラーニングが作成した各種の社員教育動画を受け放題(2020年5月時点で109コース)で提供している。

同サービスの強みは、以下である。

・充実した研修コンテンツ
・企業個別の動画作成がスマホなどから簡単に行える
・社内教育の進捗や結果を一元管理できる
・「スタディング」との連携を通じて、社員が取得すべき資格の講座を社内研修として受講できる

個人向け事業が売上の約90%を占める

売上構成比では、個人向け資格取得支援事業「スタディング」が大部分を占めており、2019年12月期の売上高における割合は95.6%、2020年12月期第1四半期では88.6%である。今後は中長期にわたり、法人向け事業において、機能をさらに充実させるとともに、法人向けにも資格対策講座を提供することで、個人向け資格取得支援事業と同等の売上を確保する方針だ。

また、主力事業「スタディング」における、新規有料登録会員数(ユニーク)の推移は、以下の通りである。

「スタディング」では、講座の新規開発と既存講座の改良を通じて、新規有料登録会員数を増加させ続けており、サービス拡大は順調だといえる。また、2020年2月時点における有料会員数は累計6万人を突破した。

法人向け社員教育市場の規模は拡大傾向

矢野経済研究所によれば、2018年度の教育産業全体の市場規模は前年度比0.9%増の2兆6,794億円である。また、2019年度については、0.6%の伸びとなる2兆6,968億円との予測が出ている。少子高齢化が進む一方で、生涯に渡る教育の重要性と企業向けの人材育成のニーズは高く、今後も教育産業の市場規模は堅調に推移することが予想される。

・「スタディング」が該当する、個人向け資格取得市場

「資格取得学校市場」の市場規模は、2018年の1,850億円から微減が続いており、2019年度は1,810億円と予想(注1)されている。しかしながら、この減少の要因は、教室型の大手資格スクールの売り上げ減少によるものであり、web講座は存在感を増していると考えられる。

また、「スタディング」を受講可能な端末のうち、メインターゲットであるスマートフォンの保有率は増え続けており、2018年時点での保有率は前年4.1%増となる79.2%に上昇している。

上記のことから、スマートフォンを使用したweb講座の視聴・受講は、今後主流となっていく可能性を秘めているといえる。

注1:「矢野経済研究所 教育産業白書2019年度版」より

・「エアコース」が該当する、法人向け社員教育市場

「エアコース」の事業領域は、教育産業のうち「eラーニング・映像教育市場(B2B向けネットワーク・ラーニング)」に該当し、2018年の市場規模は前年比4.8%増の650億円となっている。増加の要因としては、企業の人材育成ニーズの活性化により、eラーニングや動画を使った教育関連サービスへの投資が増加傾向にあることが挙げられる。

また、「企業向け研修サービス市場」についても、2018年度の市場規模は前年比1.2%増となる 5,230億円と、数年来の拡大を続けている。

さらに直近では、新型コロナウイルスの感染拡大やテレワークの推進を受け、企業内の集合研修の代替手段としてeラーニングを活用する動きが見られることから、今後もeラーニング市場のさらなる活発化が期待できる。

人材育成の新たなスタンダードになるべく、事業展開を行う

同社は持続的な成長と企業価値向上を目指しており、全社的な主要な経営指標として売上高、営業利益を置いている。「スタディング」事業では、資格取得に興味がある個人が主なターゲット顧客であり、無料講座を試してもらった上でコースを購入してもらう販売形態となっている。そのため、事業運営上重視する経営指標としては、会員による受講料の支払い額の総額となる売上高、新規有料登録会員数(ユニーク)の2つとしている。

10年以上に渡って蓄積してきた、人や組織の「学習」を変革する「ラーニング・テクノロジー」を基盤として組織能力と、そこから生み出される学習コンテンツや学習システムを同社は強みとしている。今後は、過去の受講者の学習履歴データを分析し、AIを用いることで、個別に最適な学習プランを提供することなどに力を入れていく見込みだ。

収益源の多様化、人材・技術への投資が今後のキーとなる

同社は事業上の対処するべき課題として、大きく4点を挙げている。

①安定的な収益基盤の強化
②収益源の多様化
③技術革新への投資
④優秀な人材の確保及び育成

同社は、上場後も収益源の多様化などを図り、収益基盤の強化を進め、技術革新や人材確保・育成に投資を行っていく見込みだ。特に、収益源の多様化のために、2018年7月より開始した法人向け教育事業「エアコース」のさらなる改善を進め、競争力向上や海外展開を実現していく方針だ。

9回の調達により、累計調達額は約7.6億円に

有価証券報告書を元にしたSTARTUP DBのファイナンス情報によると2012年以降の調達が記載されている。2012年から上場に至るまで、9回の調達を行っており、累計約7億6,610万円の資金を集めている。

表を見てみると、ベンチャーキャピタルからの出資が多く、事業が成長していくにつれ割合が高まっている。また、フューチャーベンチャーキャピタルはウィルグループファンド投資事業有限責任組合から出資している。そのほか、マイナビぐるなびなどの事業会社が出資していることも特徴として挙げられるだろう。

想定時価総額と上場時主要株主

上場日は2020年7月10日を予定しており、仮条件の決定日は6月29日だ。上場する市場はマザーズとしている。

今回の想定価格は1,980円である。調達金額(吸収金額)は7.74億円(想定発行価格:1,980円 × OA含む公募・売出し株式数:391,200株)、想定時価総額は42.4億円(想定発行価格:1,980円 × 上場時発行済み株式総数:2,145,000株)となっている。

筆頭株主は代表取締役である綾部貴淑氏で48.95%を保有する。次いで、管理部門・士業特化型転職エージェントを展開するMS-Japan、みらい創造ファンドを運営するみらい創造機構がそれぞれ7.6%を保有し、第2位株主に名を連ねる。そのほか、イノベーションエンジングローブアドバイザーズフューチャーベンチャーキャピタルSMBCベンチャーキャピタルフリービットインベストメントなどのベンチャーキャピタルが多く参加している。

※本記事のグラフ、表は新規上場申請のための有価証券報告書Ⅰの部を参考

 

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