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ファミリーデータプラットフォーム展開、カラダノートのIPOサマリー

ライフステージに応じたファミリーデータプラットフォーム事業を展開する株式会社カラダノート(以下、カラダノート)が東京証券取引所マザーズへの新規上場承認を受けた。承認日は2020年9月23日で、上場は同年10月27日に予定されている。

カラダノートは、「家族の健康を支え 笑顔を増やす」というビジョンを掲げ、2008年12月に佐藤竜也氏(以下、佐藤氏)によって創業。設立からおよそ12年での上場となる。

本記事では、新規上場申請のための有価証券報告書Ⅰの部の情報をもとに、同社のこれまでの成長と今後の展望を紐解いていく。

上高は5年前比で9倍に成し、利益も継続的に字化

上図は、過去5年間の売上高と営業利益の推移である。売上高では、2015年7月期に比べて2020年7月期では約9倍に成長していることがわかる。また、営業利益は、公表されている2018年7月期より3年間で着実に成長しており、前年期を上回る値を更新し続けている。2020年7月期には、設立以来で最高値となり営業利益1億円を突破した。

子育てママに特化したファミリタプラットフォ

カラダノートは、家族を軸とした様々な社会課題をテクノロジーやマーケティングで解決できる会社を目指し、ライフステージに応じたファミリーデータプラットフォーム事業を展開している。

事業の流れは、主に妊娠育児層のママを対象として、自社コンテンツや外部広告を通じて応募するとプレゼントがもらえるアンケート付きキャンペーンページに誘導する。そこで取得したユーザーの生活状況などを含む個人情報をパーソナルデータとして預かり、蓄積。蓄積したパーソナルデータをもとに、ユーザーのニーズに沿ったサービスを提案し、当該サービスを提供する企業に合致するパーソナルデータを提供し、家族の意思決定を支援していくとともに、企業のマーケティングの効率化に関しても支援している。

ファミリーデータプラットフォーム事業の主な特徴は、以下の通りだ。

(1)自社コンテンツ
主要アプリとして、5つのサービスを提供している。

①プレママ向け情報提供コンテンツ「ママびより」
②陣痛間隔計測ツール「陣痛きたかも」
③授乳の記録管理ツール「授乳ノート」
④離乳食管理ツール「ステップ離乳食」
⑤予防接種管理ツール「ワクチンノート」

妊娠中から1歳未満の子供を持つ親におけるアプリの年間ダウンロード率は87%となっている。これらアプリケーションはママの課題に応じて、機能を切り出すことにより、ユーザーのニーズに合った機能をシンプルに提供し、ユーザー満足度の向上へつなげている。アプリケーション以外にノベルティの自社開発なども行い、妊娠育児ママ層への認知率の拡大を推進している。

また、創業初期から中高年向けの健康をサポートするヘルスケアアプリとして「血圧ノート」、「お薬ノート」、 「通院ノート」なども運営。2020年8月末時点で累計ダウンロード数は230万件となり、各分野でNo.1となっている。 現在は自社コンテンツを有効活用しつつ家族全体へのユーザー層拡大を進めており、今後は、アプリケーション間での連携をより強化し、シームレスに提供することでユーザーとのコミュニケーションの強化を図る。

(2)ファミリーデータベースの構築
主に妊娠育児層のママを対象として、自社コンテンツや外部広告を通じて、子供との暮らしにあると嬉しいプレゼントがもらえるキャンペーンに誘導し、アンケートの回答によりパーソナルデータを保管している。主なアンケート項目としては、子供の年齢、住所、氏名、世帯年収、妊娠育児層ママ向けサービスの検討状況となり、毎月4万件程度のパーソナルデータが同社のデータベース(ファミリーデータベース)に登録される。プレゼントとして利用しているオリジナルグッズについては同社でデザイン制作を実施しており、家族を迎える暮らしに役立つものを制作している。

(3)継続的な収益モデル
主に妊娠育児ママ層向けのサービスを展開している企業に対して、ファミリーデータベースを活用したプロモーションの支援を行っている。同社の保有するパーソナルデータから、クライアント企業の希望する条件に合致するユーザーを抽出し、データ提供を行うことなどで収益を獲得。 妊娠育児ママ層の関心度の高い企業の商品・サービスを選定することにより、ユーザーと商品・サービスとの相性を高めることができ、最終的な成約数が多く見込め、クライアントの収益拡大に貢献している。提携している企業の商材は、保険、食材宅配、幼児教育をはじめとして複数扱っており、保険および食材宅配が売上の大半を占める。

未就学世代の主要市から3世代消、シニア関連

同社は「家族の健康を支え 笑顔をふやす」というコーポレート・ビジョンのもと、家族の中心であるママを起点にしていくことで、現在同社が属する未就学児世代の主要市場(想定市場規模:3.2兆円)から3世代消費市場(想定市場規模:3.8兆円)、さらにはシニア関連市場(想定市場規模:50.5兆円)へ市場領域が拡張する可能性を有していると考えている。

上記事項を念頭に、ファミリーデータプラットフォーム事業の拡大に向けて、「ファミリーデータベースの拡大」と「収益性の向上」のふたつの方向性から注力している。

ファミリーデータベースは、2020年8月末時点で継続的に接触可能なアクティブファミリーデータベース件数が約80万件(各期期末実績:2018年7月期333,522件、2019年7月期571,520件、2020年7月期795,140 件)となっている。今後、子育てアプリの充実化によるアプリユーザー数の拡大、妊娠中や育児初期だけでなく未就学児期全般にも紹介可能な商材の充実化によるアクションユーザー数(注1)の拡大、ヘルスケアアプリの充実化による初孫世代ユーザーの拡大により、子育て世代を軸に世代の輪を広げ、孫育て世代の中高年まで拡大していく方針だ。最終的には日本の全5,300万世帯への拡大を目指していくとのこと。 

収益性の向上に関しては、新規提携先の拡充、クライアント向けのコールセンター業務効率化及びマニュアル支援並びにECをはじめとする自社事業領域の拡大により、ひとり当たりの平均アクション数(注2)の拡大を検討している。

株主価値向上のため、中長期的にはROE(自己資本利益率)を最大化していく方針とし、現在、短期的には売上を増加させ利益を安定的に出す体制の構築に注力している段階である。

注1:同社の収益につながる行動をしたユーザー(2020年7月期第3四半期期間実績:月間2.7万人)
注2:同社の収益につながった行動件数(2020年7月期第3四半期期間実績:ユーザーひとり当たりの平均アクション数1.5案件)

カラダノトが取り9つの課題

対処するべき課題として以下の9点を挙げている。

①認知度の向上とユーザー数の拡大
②継続的な事業の創出
③プロダクトやサービスの拡大
④ユーザーのアクセスログの蓄積、解析体制の強化
⑤優秀な人材の確保と育成
⑥M&Aの活用
⑦内部管理体制の強化
⑧システムのセキュリティ管理体制と安定化
⑨技術革新や事業環境の変化への対応

特に同社は、インターネット関連事業は、サービス等の新陳代謝が激しく、一般的にプロダクトライフサイクルが短い傾向にあると考え、こうした環境の中で継続的な成長を実現するために、既存事業の成長を図るだけではなく、様々な新規事業に取り組み続けることが重要であると考えている。

そのため、ファミリーデータプラットフォーム事業で構築したビジネスモデルを、現在のターゲットのみならず、 中長期的には家族全般へのターゲットを進めるべく、横展開を実施していく。今後も中長期の競争力確保につながる事業開発のノウハウの蓄積を積極的に行い、インターネット市場向けの新規事業開発に取り組むことで、将来にわたる持続的な成長に寄与させる方針だ。

ロコガイド代表田誉氏から4,000の出を受ける

有価証券報告書Ⅰの部企業サイトを参考にすると、過去に累計4,800万円の資金調達を行っている。累計資金調達回数は2回である。

出資元が確認できる1回の資金調達は、同社の公式noteによると、穐田誉輝氏(以下、穐田氏)から調達していることがわかった。代表の佐藤氏と穐田氏はボランティア活動での出会いを通じて、4,000万円の出資が決まったという。穐田氏は、2018年10月まで7年間、社外取締役・出資者として同社をサポートしてきたという。穐田氏は、2020年6月24日に、チラシ買い物情報サービス「トクバイ」を提供するロコガイドをマザーズへ上場させたほか、カカクコムクックパットくふうカンパニーの経営に携わってきた日本を代表する実業家である。

想定総額と上場時主要株主

上場日は10月27日を予定しており、仮条件の決定日は10月7日。上場する市場はマザーズとしている。

今回の想定価格は430円である。調達金額(吸収金額)は7.4億円(想定発行価格:430円×OA含む公募・売出し株式数:1,723,800株)、想定時価総額25.8億円(想定発行価格:430円×上場時発行済株式総数:5,996,000株)となっている。

筆頭株主は、代表取締役である佐藤氏で73.15%を保有する。次いで、穐田氏が19.01%を持つ。また、GYAO代表取締役とヤフーの執行役員、同社社外取締役を務める田中祐介氏が2.66%、取締役CFOの平岡晃氏が0.74%を保有しており、そのほか従業員が多く株主となっている点も特徴的である。

株主には、ベンチャーキャピタルや金融機関、事業会社は含まれておらず、個人投資家の出資のみによって上場へ到達した。

※本記事のグラフ、表は新規上場申請のための有価証券報告書Ⅰの部を参考

 

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