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1,200社以上が導入、国内シェアNo.1人材管理ツールカオナビのIPO分析

1,200社以上が導入、国内シェアNo.1人材管理ツールカオナビのIPO分析

「シンプルな仕組みで世の中をちょっと前へ。」

このミッションを掲げ、企業の人材マネジメントに目を付けたカオナビが3月15日にIPOを果たす。カオナビは、労働力の減少や働き方改革など、企業により効率的な人材マネジメントが求められる中、クラウド型人材管理ツール「カオナビ」を提供し急成長している。

2012年の本格的な「カオナビ」事業を開始以来、約7年でのIPOとなった。今回はそんな同社のサービスや軌跡について紹介したい。

人材管理ツールとは

「人材管理」とは一般的に、自社の従業員一人ひとりの能力や実績を管理し、社内における最適な人材配置や評価を実現していくことを意味する。従業員の情報は、資格、性格、業務経験やキャリアプランなど多岐に渡るこれらの膨大な情報はExcelや紙で管理されることがほとんどだった。それゆえ大きな組織になればなるほど、管理作業の複雑さは増し、多くの時間を取られていた。

このような人材管理を、より効率的に行うために誕生したのが人材管理ツールである。人材管理ツールには、インターネット経由でデータを保存するクラウド型やソフトウェアを購入するパッケージ型などがある。

クラウド型人材管理ツールでは、クラウド上にデータを一元管的に理できる点や初期導入コストが低く抑えられるなどのメリットがある。今回紹介する「カオナビ」もクラウド型人材管理ツールのひとつである。

「カオナビ」の魅力

「カオナビ」が他の人材管理ツールと一線を画すのは、その名の通り「顔」を用いて人材を管理できる点にある。2019年1月時点で利用企業数は1,200社を突破し、人材管理ツールのシェアNo.1(*1)を誇っている。

「カオナビ」の魅力をまとめると以下の3つだ。

1, 人材マネジメント業務に特化したツール
2, クラウド型人材管理ツール
3, 社員の顔写真で直感的に操作 が可能

「カオナビ」は評価や採用、人材配置や目標管理など人材管理に特化したツール。そのため勤怠管理や給与計算など労務系の機能は有していない。その分、開発リソースなどの経営資源を人材管理領域に投下し、より充実したものにしていく方針だ。

また、クラウド型人材管理ツールのため、クラウド上で社員の経験や評価、スキルなどの人材データを一元的に管理することが可能だ。個々の能力や性格など、膨大な人材に関するあらゆる情報を、顔写真が並んだシンプルなインターフェースで直感的に管理することができるため、ユーザーにとって扱いやすいツールとなっている。

付随する機能も充実しており、社員のデータ分析や特定項目での並び替え・フィルタリング機能などが備わっている。

これらのことにより、人材評価や配置転換を人事管理者がスムーズに行うことが可能になるのだ。

シンプルでわかりやすいビジネスモデル

「カオナビ」は月額で課金するサブスクリプション型のビジネスモデルとなっている。カオナビ側からするとストック型の収益が積みあがっていく構造だ。

サービスプランは月額料金が低いものから「データベースプラン」「パフォーマンスプラン」「ストラテジープラン」が用意されている。料金が高くなるにつれ、使用できる機能が増え、「ストラテジープラン」では人事戦略の立案まで可能なのだ。

シンプルでわかりやすいビジネスモデル

カオナビの事業はセグメントがひとつのみで、上記のようにシンプルな構造だ。多くの新規ユーザーは広告などの自社のマーケティング活動から獲得しており、紹介パートナーがあいだに入った場合もカオナビから顧客への直接販売を行なっている。詳しくは後述するが、カオナビは広告宣伝にに力を入れている。

また、サービスパートナーとは「カオナビ」と連携した外部サービス提供者のことを表している。具体例としては、リクルートマネジメントソリューションズが提供している適性検査「SPI3」があり、社員は「カオナビ」上で適性検査を受検することができる。

利用企業数は大幅増加。顧客満足度も高い水準。

利用企業数は大幅増加。顧客満足度も高い水準。

サブスクリプション型(月額課金制)のビジネスモデルを展開するカオナビにとって、利用企業数の増加は、会社の成長を目指すうえで最も重要な要素のひとつだ。2013年以降の利用企業数の推移を見てみると上記のグラフのようになる。2013年3月以降、毎年2倍前後でその数を伸ばしている。同社Webサイトによると、2019年1月時点で1,200社を突破しており、利用企業数はいまだ増加傾向にある。

同ビジネスモデルにおいてもうひとつ重要になるのが、継続利用を促すために顧客満足度を高める取り組み、すなわちカスタマーサクセスである。その取り組みの一環として「カオナビのWA」という特徴的なHRコミュニティを運営している。

このコミュニティではセミナーやユーザーミーティングを開催しており、導入サポート支援やカオナビユーザー同士での情報交換の場になっている。オフラインで交流することで、ユーザーは「カオナビ」の導入効果を高めるだけでなく、人事システムに関する情報も交換することが出来る。同社によると94.5%のユーザーが継続利用を希望しているという。

売上高は堅調に伸ばすも、黒字化はまだ先か

売上高は堅調に伸ばすも、黒字化はまだ先か

利用企業数に加えて、売上高も大幅に伸ばしている。第11期第3四半期(2018年12月末時点)で売上高が11億円を突破している。一方で継続して当期純損失が発生しており、黒字化は来年以降になりそうだ。この要因として販売費及び一般管理費の大きさがあげられる。売上高に対し販管費が大きいことで、当期純損失とほぼ同額の営業損失が発生している。

第10期の数字を例に取ってみる。売上高から売上原価を差し引いた売上総利益547,767千円に対し、販管費が791,983千円が発生し、営業損失が△244,215千円となっている。販管費のおおまかな内訳を見ると、給料及び手当が180,267千円、業務委託費が155,877千円、採用費が88,560千円、広告宣伝費が136,073千円となっている。

同社の事業状況にも記されている通り、事業拡大に向けた人材の確保や広告宣伝に積極的な姿勢が確認できる。またストック型のモデルであり、費用が先行して発生している状況のため、ユーザーが拡大し売上がさらに伸びていけば収益性も改善されていくと思われる。

バランスシートと主要財務指標の概観

バランスシートと主要財務指標の概観

貸借対照表と主要な財務指標を示すと以上のようになる。カオナビは当期純損失が発生しているので、収益性などの指標は掲載していない。安全性の指標は、流動比率は158%、自己資本比率は33.3%となっている。短期的な支払い能力は比較的高く、2018年の中小企業全体の平均が40.8%であることを踏まえると自己資本比率は平均的な水準といえるだろう。

効率性を示す総資本回転率に目を移すと、1.08回となっている。一般的にインターネットを用いるビジネスは、ほかの業種と比較すると売上高が大きくなりづらいため、総資本回転率は低めに出やすいといわれる。その点を踏まえると、1.08回という数字は決して悪くないといえそうだ。

外部企業からも一定の評価を得て、中規模クラスのIPO

今回の想定発行価格は1,780円である。調達金額(吸収金額)は17.8億円(想定発行価格 × OA含む公募・売出し株式数)、想定時価総額は94.1億円(想定発行価格 × 上場時発行済み株式総数)となっており、中規模クラスの案件となっている。

外部企業からも一定の評価を得て、中規模クラスのIPO

上位株主の状況は上図になる。代表取締役社長である柳橋氏の42%に続いて、リクルートホールディングスがRSIファンドを通じて21%を保有している。リクルートは2017年より資本参加し、カオナビと協業してきた。

また、他にも大和企業投資や日本ベンチャーキャピタル(NVCC)などのVCや新生銀行も株主に名を連ねており、数々の企業からも一定の評価を得てきたことがわかる。

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