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DX推進支援プラットフォームを提供、Kaizen PlatformのIPOサマリー


企業のDX推進を支援するプラットフォームサービスを提供する株式会社Kaizen Platform(以下、Kaizen Platform)が東京証券取引所マザーズに上場承認された。承認日は2020年11月18日で、同年12月22日に上場を果たす。

Kaizen Platformは「世界をKaizenする」をミッションに掲げ、顧客体験を向上させるDX、UX、動画のソリューションプラットフォームサービスを展開している。2013年3月に米国で創業後、2017年4月に現在の会社を新規設立。創業以来およそ7年9ヶ月での上場となる。

本記事では、新規上場申請のための有価証券報告書Ⅰの部の情報をもとに、同社のこれまでの成長と今後の展望を紐解いていく。

売上高は設立以来上昇傾向に、営業利益は赤字脱却

上図は過去3年と2020年第3四半期までの売上高と営業利益の推移である。売上高は、2017年の設立以来順調に上昇を続けていることがわかる。営業利益は、2018年、2019年と赤字が続いていたが、2020年第3四半期時点においては95.9万円の黒字となっている。

主なサービスはUXソリューション、動画ソリューションの二つ

Kaizen Platformは、Kaizen Platform及び海外連結子会社1社、持分法適用関連会社1社で構成されていおり、DXソリューション提供事業の単一セグメントで事業運営を行っている。ソリューションは大きくUX(サイトソリューション事業)・動画(Kaizen Video事業)の2種に分類され、それらを合わせて発展させたのがDXソリューションである。それぞれに複数のサービスがある。

①サイトソリューション事業
(1)Kaizen Engine
サイトに1行のタグを入れるだけで、高度な分析やABテスト、動画設置などの改善策の実施が可能なSaaS。
(2)Kaizen Team
課題にあわせた最適なチームをアサインし、課題分析・実行・運用までをトータルにサポートするサービス。
(3)Kaizen Sales
営業資料を動画化するとともに、営業活動をデータ化・可視化して一括管理する、クラウド型の営業向けコンテンツ管理システム。
②Kaizen Video事業
(1)Kaizen Video
手持ちの素材から5分で発注、5日で納品、8万円から発注可能の動画作成プラットフォームサービス。
(2)Kaizen Ad
動画広告の効果改善コンサルティングサービス。
(3)Kaizen TV
データドリブンなTVCM動画を提供するクリエイティブ制作プラットフォームサービス。

カテゴリー別売上高ではサイトソリューション事業が7割を占める

カテゴリー別の売上高に注目すると、2020年9月期における全売上高に占める割合は、サイトソリューション事業が約7割、Kaizen Video事業が約3割となっている。

Kaizen Video事業は、2019年12月期から2020年9月期までに売上高を増加させている。この主な要因としては、拡大する顧客の動画広告制作のニーズに加え、新型コロナウイルス感染症の影響拡大による外出自粛により活用が期待されるチラシやパンフレットなどの紙媒体の動画化やオープンキャンパスに代わる学校紹介動画のニーズを的確に捉え、顧客に積極的な営業活動を行ったことが挙げられる。

国内DX市場の展望は明るい。ビジネスモデルの変革と新しいビジネスの創出実現を目指す

International Data Corporation(IDC)の「国内ビジネスコンサルティング市場予測、2020年〜2024年」によると、Kaizen Platformが対象市場と想定している国内コンサルティングサービスの2019年の市場規模は8,217億円であり、2024年には1兆円に達するものと推定されている。

また、サイバーエージェントの「国内動画広告の市場動向調査」によると、国内DX市場は2019年に7,912億円の規模と想定される。さらに、富士キメラ総研の「2020 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」では、国内DX市場は2019年に7,912億円の規模と想定され、2030年には3兆425億円の規模にまで成長すると予測されている。

主要KPIは順調に推移、今後は事業領域の拡大と海外へのサービス展開に注力

同社は、主要KPIとして累計取引社数、累計登録ユーザー数、累計登録GH数(注1)、累計アクティブGH数、ARPU(1顧客あたりの平均売上高)の5つを設定し経営上の目標の達成状況を判断している。

注1:累計登録GH数…プラットフォームを活用する専門人材の累計登録数(GH:グロースハッカーの略称)

2020年第3四半期時点で、累計取引社数は700社、累計登録ユーザー数は1.6万人を突破しており、大企業を中心に順調に顧客基盤が拡大している。それに伴い、取引社数も順調に増加しており、その数は2018年第1四半期から2020年第1四半期までの2年間で約2倍になっている。

また、登録ユーザー数も安定して伸び続けており、2020年の第2四半期から第3四半期までの3ヶ月の間に登録者数は1,000人増加している。

さらに、ARPUは上昇と減少を交互に繰返しており、2020年第3四半期現在で212万4,000円となっている。この増減は、既存顧客の契約継続と新規顧客の獲得に注力したことによる。サイトソリューション事業とKaizen Video事業の取引社数がともに増加したこと、ARPUが低いKaizen Video事業の取引社数が大きく増加したため、希薄化により直近のARPUは低下傾向にある。

また、同社は中長期的な経営戦略として以下の4つを掲げている。

①既存事業の更なる成長
②事業領域の拡張
③直販チャネル以外の新たなチャネルの拡大
④海外への更なる事業展開

現在取り組んでいるWebサイトや動画の改善だけではなく、アプリ・AR・VRやライブコマースなど、DXに関わる様々な領域へ事業を拡大していくことで、今後も成長市場におけるポジションを確立していく見込みだ。また、提供しているサービスが時間・場所の制約を受けないことから、戦略的に海外展開を図っていく方針だ。

今後の成長の鍵は、認知度の向上や内部統制の強化

同社は事業上及び財務上の対処すべき課題として、以下の5つを挙げている。

①サービス認知度の向上、新規顧客の獲得
②グロースハッカーネットワークの健全な拡大
③システムの安定性強化
④情報管理体制の強化
⑤組織体制の強化と内部統制及びコンプライアンス体制の強化

持続的企業価値向上と透明性の高い健全な経営を実現することを経営の最重要課題のひとつとして位置づけ、内部統制及びコンプライアンスの強化に注力している。そのため、従業員のモチベーションを引き出す目標管理制度や福利厚生などの人事制度構築に努めながら、優秀な人材の採用に取り組んでいる。

VCを中心に、累計29億3,180万円の資金調達を実施

これまで6回の資金調達を実施し、累計で29億3,200万円を調達していることがわかる。

2019年3月1日には、デジタルトランスフォーメーションの支援を目的に、大日本印刷との資本業務提携を締結している。動画を活用したマーケティングの強化やスマートフォンなどのモバイルサイトでの体験価値の向上など、共同の取り組みを進めるとしていた。

そのほか出資元には、エヌ・ティ・ティ・アドSBIインベストメントYJキャピタルみずほキャピタル電通イノベーションパートナーズNTTドコモ・ベンチャーズコロプラセゾン・ベンチャーズEight Roads Ventures JapanSTRIVEGMO Venture Partnersサイバーエージェント・キャピタルなどが名を連ね、複数の事業会社とベンチャーキャピタルからの出資を受けていることが分かる。

想定時価総額と上場時主要株主

上場日は2020年12月22日を予定しており、上場する市場はマザーズとしている。

今回の想定価格は、1,100円である。調達金額(吸収金額)は、63.4億円(想定発行価格:1,100円×OA含む公募・売出し株式数:5,760,600株)、想定時価総額は174.7億円(想定発行価格:1,100円×上場時発行済株式総数:15,886,791株)となっている。

公開価格:1,150円
初値:1,170円(公募価格比+20円 1.7%)
時価総額初値:180.46億円

※追記:2020年12月22日

筆頭株主は、同社代表取締役である須藤憲司氏であり、28.95%を保有する。次いで、Japan Ventures Ⅰ L.P.を運営するEight Roads Ventures Japanが16.08%、AT-I投資事業有限責任組合を運営するSTRIVEが8.20%を保有する。

Eight Roads Ventures Japanは、世界有数の規模を誇るベンチャーキャピタルであるEight Roads Venturesの日本支社であり、世界最大級の資産運用会社フィデリティを母体とする。これまでに、ラクスルRettyプレイドヤプリなどへの投資を行っており、上場まで導いた実績を持つ。

事業会社では、NTTの子会社である広告会社エヌ・ティ・ティ・アド、スマホゲーム事業を展開するコロプラ、総合印刷会社である大日本印刷が参画しており、ベンチャーキャピタルとしては、FinTechビジネスイノベーション投資事業有限責任組合を運営するSBIインベストメント、YJ2号投資事業組合を運営するYJキャピタルなどが大株主として名前を並べた。

そのほか、同社共同創業者の石橋利真氏が7.08%、取締役CTO兼Kaizen Platform USA, Inc.CEOの渡部拓也氏が2.27%の保有している。

関連記事:「Kaizen Platform」須藤氏に聞く、事業改善のポイント

※本記事のグラフ、表は新規上場申請のための有価証券報告書Ⅰの部を参考

 

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