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地元の情報プラットフォーム「ジモティー」のIPOサマリー

近年、地域での付き合いは希薄化しており、居住する市区町村で親しい付き合いをしている人は減少し続けている。実際に平成29年度国土交通白書の地域での付き合い程度に関する調査では、町村での親しい付き合いをしている人の割合は2018年で21.1%であり、低下している。一方で、国立社会保障・人口問題研究所「生活と支え合いに関する調査」によると、76.9%の人が地域での相互協力を必要としていると回答している。

このような状況下で、生活の中で生まれる問題を地域の人々で補い合える仕組みを作るべく、全国の地元情報のプラットフォームを運営するのが株式会社ジモティー(以下、ジモティー)である。同社は、2019年12月26日に東京証券取引所マザーズ市場への新規上場が承認され、2020年2月7日に上場を果たす。

本記事では、有価証券報告書を元に同社のこれまでの成長と今後の展望を紐解いていく。

ユーザー数を拡大するジモティーのふたつの特徴は?

同社は「地域の今を可視化して、人と人の未来をつなぐ」という理念のもと、生活の中で生じる問題を地域の人・お店同士で補い合える仕組みを提供するために、地元情報のプラットフォーム「ジモティー」を運営している。「ジモティー」は、クラシファイドサイトという形態をとっている。クラシファイドサイトとは、地域や目的によって分類された募集広告を一覧形式で掲載する広告媒体の一つである。掲載料が無料で、誰でもユーザーとして利用することができて、誰でも広告掲載が出来る点が特徴である。

次に「ジモティー」の特徴をふたつにまとめる。

①日本全国を網羅した地域と、細分化されたカテゴリー
地域の情報(掲載広告)が47都道府県の市区町村によって分類されていて、目的に対応したカテゴリーに分かれて表示されるため、ユーザーのニーズに即した地域の情報が見つけやすい形態になっている。具体的に表示される大カテゴリーとしては、「売ります・あげます」(物品の売買に関する情報)、「メンバー募集」(個人の各種メンバー募集に関する情報)、「不動産」「中古車」などが存在する。
②ユーザー間のマッチング機会の提供
ユーザーに対して「投稿・問い合わせ」機能の提供も行っている。ユーザーは「投稿」によって地域の情報、掲載された情報に関する「問い合わせ」を行うことが可能であり、ユーザー間でマッチングの機会が提供されている。また、マッチング後のユーザー間の取引を円滑にできるようなチャット機能やフォロー機能も充実している。評価機能により、投稿者・問い合わせ者がお互いの取引を評価することができ、取引の参考として利用することも可能である。また、取引でトラブルが起こった場合に備え、保険機能も提供している。

ふたつの収益の柱とは?

「ジモティー」はユーザーの「投稿」によりサイトのコンテンツが生成されるため「投稿」の増加によるSEOが強化され、投稿数とSEOによる流入が相関するモデルとなっている。そんなジモティーにはふたつの収益の柱がある。

①広告の自動配信
アドネットワーク広告枠を提供し、広告がクリックされた回数や、表示された回数等に応じて、収益を得る仕組みになっている。
②マーケティング支援
・機能課金
主に法人利用を目的とした、ユーザー同士のマッチング向上を図るための「投稿オプション」など、ユーザーが希望する機能を有償販売することで収益機会を得ている。
・成果報酬
提携サイトと連動した投稿などの掲載も行っている。ユーザーがそれらの投稿をクリックすると提携先の外部サイトへ進み、資料請求や契約などのユーザーアクション件数に応じて収益を得る仕組みとなっている。

具体的な「ジモティー」のビジネスモデルは以下の図のようになる。「ジモティー」は中期的に、自動配信による収益を事業の基盤、マーケティング支援による収益を成長事業として捉えていて、法人向け施策の実施に注力していく見込みだという。

3年前と比較しPV数・投稿数共に約2倍に

同社は、月次平均PV数と月次平均投稿数を収益基盤構築における重要指標として公表している。具体的な数値の推移を以下のグラフとなる。上記グラフより、2019年第2四半期の数値を見ると、平均PV数・平均投稿数共に2017年第2四半期と比べて、2倍前後まで成長を遂げていることが分かる。

売上高は成長を続け、純利益は黒字化を達成

同社の売上高と当期純利益の過去5年間の推移が次の図である。売上高に関しては、5年間で約17倍に成長をしている。また、当期純利益に関しては年によってばらつきがあるが、2018年12月期には黒字化を達成。広告費を中心とした成長投資を継続しながらも当期純利益が黒字化していることから、上場後の成長が注目される。

安全性・成長性が高い財務的特徴

B/Sと主要経営指標から作成した、財務状況を示した図が以下になる。図を見て分かるように、流動比率と自己資本比率の高さから、安全性指標が高いことが分かる。流動比率では、300%を超えて、自己資本比率でも67%と非常に高い安全指標となっている。収益性に関しては、投資を継続しているために現在は低くなっているが、グロース後の成長には期待がかかる。また、売上の成長が継続しているため、成長性も高いと言える。

30%以上の株式をオプトホールディングスが保有

今回の想定発行価格は960円である。調達金額(吸収金額)は14.02億円(想定発行価格:960円 × OA含む公募・売出し株式数:1,461,300株)、想定時価総額は54.1億円(想定発行価格:960円 × 上場時発行済み株式総数:5,641,365株)となっている。

株主構成に関しては以下の図のようになる。株主構成では、事業会社が上位株主を占めている。株式会社オプトホールディング株式会社NTTドコモ株式会社プロトコーポレーションの上位3社で総株式の57.61%と過半数を占める。また、第4株主のIVP Fund II A,L.P.などのVCからの出資が総株式の約25%となっている。

2020年最初の新規上場企業となったジモティー。地域のつながりが不足している現代社会の改革を目指す同社が上場後にどのように成長していくのか注目したい。

 ※本記事のグラフ、表は新規上場申請のための有価証券報告書Ⅰの部を参考

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