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企業のクラウド化を加速させるHENNGEのIPO分析

企業のクラウド化を加速させるHENNGEのIPO分析

業務効率化を図る旗手として、クラウドサービスが世界で注目されている。クラウド型のビジネスチャットツールを運営するSlackとChatworkは2019年6月と2019年9月に相次いで上場を果たした。国内では働き方改革に伴い、一部企業でリモートワークを容認、または推進する流れがあるなど、クラウドサービスの普及に拍車が掛かっている。

しかし、いくつものクラウドサービスを導入した結果、各サービスのID/パスワードや、蓄積されている情報の管理に追われてしまったり、またどのデバイスからでもアクセスができるというメリットがある反面、なりすましなどによる不正アクセスのリスクを排除しきれない。

そんななか、その懸念に対するソリューションを提供しているのが、HENNGE株式会社(以下、HENNGE)だ。同社は2019年9月2日に東京証券取引所マザーズ市場への新規上場が承認され、同年10月8日に上場を果たす。

本記事では、SaaSに続くIDaaS市場やHENNGEの特徴に触れながら、同社の動向を探る。

SaaSに続くIDaaSへの注目

クラウドサービス市場は年々拡大を続けており、IHS Technologyによると、世界の市場規模は2019年に2594.5億ドル、更に2020年には3047億ドルに達すると推測されている。

企業におけるクラウド利用が当たり前になる中で注目されているのが、IDaaS(Identity as a Service)だ。これは、クラウド経由でID認証やパスワード管理、シングルサインオン、アクセス制御などを提供するセキュリティサービスを指す。

HENNGEは主要なクラウドサービスを横断するクラウドセキュリティサービス「HENNGE One」を開発し、情報漏洩リスクと戦うソリューションを提供している。株式会社富士キメラ総研によると、同社は、国内IDaaS市場において、2017年度の出荷量ベースで65.4%でトップシェアを獲得した。

HENNGE Oneの特徴

「HENNGE One」では、Office 365やG Suiteなど複数の主要クラウドサービスを横断し、ひとつのIDで管理することが可能だ。入力や管理の手間を省き、セキュリティの強化に貢献する。また、あらゆるOSで利用することができ、更に会社支給デバイスや、私用デバイスでのアクセス制限にも対応する。

標準プランは年間契約でユーザーひとりあたり月額500円。このプランではシングル・サインオンと端末制御機能に加え、メール誤送信対策を利用することができる。

ビジネスモデルはサブスクリプション型で、収益は直接顧客から、もしくは販売代理店を通して得ている。また台湾に子会社を持ち、アジア圏へIDaaSサービスを販売する拠点になっている。

月次平均解約率はわずか0.13%

契約金ベースの月次平均解約率は、2019年4月時点でわずか0.13%。SaaS型のサービスは、顧客のニーズに見合った価値を提供できていないと、直ぐに解約されてしまう。月次平均解約率を見る限り、現時点では顧客のニーズに応えていることが伺える、また、既存ユーザーの声をしっかりと収集し、サービスに反映する体制が整っていることも予想される。

契約金ベースの月次平均解約率は、2019年4月時点でわずか0.13%。SaaS型のサービスは、顧客のニーズに見合った価値を提供できていないと、直ぐに解約されてしまう。月次平均解約率を見る限り、現時点では顧客のニーズに応えていることが伺える、また、既存ユーザーの声をしっかりと収集し、サービスに反映する体制が整っていることも予想される。

「HENNGE One」の顧客は、企業数ベースで国内上場企業全体の10%(2019年7月末日時点)を占め、1契約企業あたりの平均契約ユーザー数は1000を超える。規模の大きい企業であるほど綿密な検討や運用ルールの整備をしたうえで導入されるため、今後急激に解約率が上がるリスクはないだろう。

今後はSaaS型サービスの一つの理想形である、ネガティブチャーン(解約に伴う減少収益を、既存顧客における増加収益が上回った状況)を目指す。

年額の収益モデル

契約企業数とARR(年間経常収益)も右肩上がりで、解約率を低く保ちつつ、順調に新規顧客を伸ばしている。2018年9月期末には契約件数が1000件、ARRが25億円を突破した。

契約企業数とARR(年間経常収益)も右肩上がりで、解約率を低く保ちつつ、順調に新規顧客を伸ばしている。2018年9月期末には契約件数が1000件、ARRが25億円を突破した。

「HENNGE One」の収益は、年額の定期課金によって得られるため、契約更新時に解約されない限り継続的に売上高が積み重なる。そのため多くのSaaS企業が採用している月額モデルに比べ、安定的な収益基盤を保ちつつ、将来に向けた積極的な投資が可能だ。

国内では首都圏から西日本地域まで徐々にターゲット市場を拡大しており、更に台湾子会社を中心に、アジア圏への拡販に向けた積極的な活動を行っている。

安定した資金繰り

流動比率からは、短期的な安定性があることが見て取れる。対して自己資本比率は低い値を示しているが、低い解約率で着実に新規顧客を獲得していることを踏まえると、遠くないうちに長期的な安定性も確保できると推測できる。

流動比率からは、短期的な安定性があることが見て取れる。対して自己資本比率は低い値を示しているが、低い解約率で着実に新規顧客を獲得していることを踏まえると、遠くないうちに長期的な安定性も確保できると推測できる。

マザーズ上場とその後

今回の想定発行価格は1,040円である。調達金額(吸収金額)は13.6億円(想定発行価格:1,040円 × OA含む公募・売出し株式数:1,308,000株)、想定時価総額は160.0億円(想定発行価格:1,040円 × 上場時発行済み株式総数:15,388,000株)となっている。

参考:株式売出届出目論見書今回の想定発行価格は1,040円である。調達金額(吸収金額)は13.6億円(想定発行価格:1,040円 × OA含む公募・売出し株式数:1,308,000株)、想定時価総額は160.0億円(想定発行価格:1,040円 × 上場時発行済み株式総数:15,388,000株)となっている。 参考:株式売出届出目論見書

上位株主は以上の通り。代表取締役の小椋氏から始まり、役員3名の所持株式数が全体の半分以上を占める。

2019年にはG20サミットが、2020年にはオリンピックが国内で開催されることもあり、サイバー攻撃対策の必要性が高まっている。IDC Japanによると、SaaSの過熱と相まり、国内のセキュリティソフトウェア市場は14.2%の成長率で拡大していくと予想される。

未だIDaaS市場に参入している企業は少ないが、今後HENNGEがどのようにして市場を広げ優位性を保っていくのか、注目が集まる。

※本記事のグラフ、及び表は新規上場申請のための有価証券報告書Ⅰの部を参考にSTARTUP DB編集部にて作成いたしました。

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