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2兆円規模の「au経済圏」はどう築き上げた?KDDIの投資・買収の歴史

2兆円規模の「au経済圏」はどう築き上げた?KDDIの投資・買収の歴史

「お客さま体験価値を提供するビジネスへの変革」。これは大手通信事業会社KDDI株式会社(以下、KDDI)が中期目標 (2016~2018)として打ち出した事業運営方針だ。それを実現するために「国内通信事業の持続的成長」「au経済圏の最大化」「グローバル事業の積極展開」の3つの事業戦略を掲げ、事業の多角化を進めている。

KDDIと言えば、国内通信事業が基盤事業である。しかし、近年格安スマホのシェア拡大や、政府による料金値下げの圧力など、事業環境は楽観視できない状況に置かれている。

だからこそこの多角化戦略は、国内通信事業に依存した経営から脱却するうえで非常に重要な意味合いを持っている。

そして、この多角化戦略のプラットフォームとして機能しているのが「au経済圏」だ。

「au経済圏」とは、auを契約している顧客が、KDDIが提供する通信以外のサービスを利用することにより新たに創出される成長領域を表す概念である。

現在、au契約顧客は約3,900万人。通信サービスだけではなく、総合ショッピングモール「Wowma!」を通じた商品の販売や、生命保険・損害保険・住宅ローンといった金融商品、さらに、電気サービスや電子商取引(EC)、動画配信まで領域を拡大している。各種サービスはIDを結びつけることでポイントを付与し、利用料金の割引に使えるようにしている。これが「au経済圏」である。

今回は、「au経済圏」を築き上げたKDDIによる投資と買収の歴史を紐解いていく。

企業が投資・買収する目的

2兆円規模の「au経済圏」はどう築き上げた?KDDIの投資・買収の歴史

そもそも企業が投資や買収を行う目的は何なのかをまず前提として共有したい。

企業に投資する目的の一つは、投資先企業が成長すれば単純に利益になる点だ。また、地名度は低いが埋もれている価値ある企業の成功に関与でき、社会に大きな変化をもたらすことも期待できる。

一方、企業買収の目的としては、既存事業の拡大・新規事業への参入・自社にない技術をとりこめるといった点が挙げられる。

どのタイミングで、どの企業に、いくらかけて投資や買収を行うのかは重大な経営戦略の一つである。

では、今日に至るまでのKDDIによる投資と買収、それぞれの経緯を見ていこう。

KDDI 投資先企業一覧

2兆円規模の「au経済圏」はどう築き上げた?KDDIの投資・買収の歴史
<2012年>
6月 ジモティー*(メディア)
8月 TOLOT*(フォトブック作成)
<2013年>
1月 3rdKind* (ゲーム)
2月 Hailo Network Holdings (タクシー配送)
4月 Origami*(金融/決済)
6月 レアジョブ*(英会話)
7月 Mutations Studio*(ゲーム)
7月 MONOCO*(EC)
7月 nanapi*(メディア)
8月 5Rocks* (解析)
9月 Plumzi*(メディア)
9月 Moxtra* (データ共有)
9月 アイリッジ*(IoT)
10月 ルクサ* (EC)
<2014年>
1月 つみき*(メディア)
1月 AppBroadCast*(ゲーム)
6月 クリーマ*(EC)
7月 Issuu* (パブリッシング共有サービス)
7月 Edmodo*(教育)
7月 Pogoseat*(EC)
7月 Venture Beat* (メディア)
<2015年>
1月 Mist technologies*
2月 Monohm*(IoT)
3月 ソフトギア*(ゲーム)
3月 August Home*(IoT)
8月 Jibo*(ロボット)
11月 葵*(教育)
12月 ログリー*(アドテク)
<2016年>
4月 Loco Partners*(EC/旅行)
5月 ハコスコ*(VR)
11月 運動通信社*(メディア)
<2017年>
2月 ナノエッグ*(バイオ)
3月 イタンジ*(不動産)
5月 XSHELL*(IoT)
5月 Telexistence* (ロボット)
8月 REPLAY*

*)KOIF投資案件。KDDI Open Innovation Fundのことで、KDDIのVCによるもの。

KDDI 買収先企業一覧

2兆円規模の「au経済圏」はどう築き上げた?KDDIの投資・買収の歴史
<2006年>
1月 パワードコム
3月 ジャパンケーブルネットHD(CATV)
<2007年>
1月 東京電力の光ネットワーク・カンパニー(FTTH)
4月 Servision(レンタルサーバー)
<2008年>
1月 中部テレコミュニケーション(CATV)
不明 ネットワーク・サポート・サービス
<2009年>
4月 JCN関東(CATV)
4月 川越ケーブルビジョン(CATV)
9月 DMX Technologies(SIer)
<2010年>
1月 沖縄通信ネットワーク(FTTH)
2月 ケーブルテレビ足立(CATV)
12月 KKBOX(コンテンツ)
<2011年>
6月 ウェブマネー (金融/電子マネー)
7月 ノボット(アドテク)
7月 エボルバビジネスサポート(人材派遣)
<2012年>
1月 Telehouse Deutschland(データセンター)
1月 Kleyer Real Estate(データセンター)
4月 熊谷ケーブルテレビ(CATV)
9月 北ケーブルネットワーク(CATV)
10月 ジュピターテレコム(CATV)
不明 Beijing KKbar Co
<2013年>
7月 エボルバーコールアドバンス(コールセンター)
8月 スケールアウト(アドテク)
8月 アイピー・パワーシステムズ(電力)
不明 ビットセラー (コンテンツ)
不明 UBIK do Brasil Solucoes em Tecnologia
不明 UBIK Japan
<2014年>
3月 YourGolf Online(メディア)
8月 ナターシャ(メディア)
10月 nanapi (メディア)
<2015年>
4月 ルクサ(EC)
9月 アップベイダー(アドテク)
9月 Socket (アドテク)
12月 ジュピターショップチャンネル(メディア)
<2016年>
4月 AppBroadCast(ゲーム)
6月 Connehito(メディア)
10月 モバオク(EC/モール)
12月 ビッグローブ(ISP)
<2017年>
1月 アイレット(クラウド)
2月 Loco Partners (EC/旅行)
7月 Momentum(アドテク)
8月 ソラコム(IoT)
11月 イーオンHD(教育)

「au経済圏」は、いよいよ2兆円超えに

2兆円規模の「au経済圏」はどう築き上げた?KDDIの投資・買収の歴史

一連の投資および買収は、この「au経済圏」をさらに盤石なものにし、かつ新たな収益源を増やすために行われているのだ。事実、2018年3月期決算説明会では、目標として掲げている「2019年3月期2兆円超」としていたau経済圏流通総額は達成見込みだと言う。

KDDIは、2019年3月期までに3年間累計で5,000億円規模をM&Aに充てると発表している。1件あたり100億円超のものが大型案件と呼ばれるなか、単純計算で大型M&Aが50件実施可能な予算だ。

2018年9月末時点では、すでに2,000億円に到達したようだ。次の投資先、買収先はどこなのか。今後も目が離せない。

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