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新卒ダイレクトリクルーティング「OfferBox」運営、i-plugのIPOサマリー

就職活動中の学生および企業を対象に新卒ダイレクトリクルーティングサービス「OfferBox(オファーボックス)」と適性検査サービス「eF-1G(エフワンジー)」を提供する株式会社i-plug(以下、i-plug)が東京証券取引所マザーズに上場承認された。上場承認日は2021年2月12日で、同年3月18日に上場を果たす。

i-plugは、“つながりで世界をワクワクさせる”というミッションのもと、“人の成長を加速させるキャリアデータベースプラットフォームをつくる”をビジョンに掲げ、2012年4月に創業された。設立からおよそ9年1ヶ月での上場となる。

本記事では、新規上場申請のための有価証券報告書の部の情報をもとに、同社のこれまでの成長と今後の展望を紐解いていく。

売上高は5年で約10倍、いち早く新型コロナウイルス感染症の対応に成功し、今期も黒字へ

i-plug-sales上図は過去5年間の売上高と営業利益の推移である。2020年3月期の売上高は2016年3月期からの5年間で10.3に成長した。

直近の2021年3月期第3四半期においては、いち早くオンライン選考の普及やオンラインでの営業マーケティング活動への移行に取り組んだ結果、相次ぐ合同説明会の中止などによる採用の母集団形成不足を補う需要やインターンシップ需要の取り込みができたため、売上高は144,968万円を記録し、「OfferBox」の2021年卒の決定人数は3,441となった。

営業利益については、上下があるものの、2018年以降黒字が続いている。直近の2021年3月期第3四半期においては、新型コロナウイルスの感染拡大の影響でオンライン商談に移行していることから営業交通費など経費が減少し、11,300の黒字となった。

また、2019年3月期から2020年3月期にかけて営業利益が減少したのは、営業社員の増員とカスタマーサクセス担当の設置、エンジニアの増員とマッチング効率の改善に取り組む専任チームの新設など、次年度に向けての先行投資に注力したことが影響したためである。

HR領域でふたつのサービスを展開

同社グループは、i-plugと子会社1社(株式会社イー・ファルコン)により構成されており、HR領域の課題を解決する事業を展開している。同社グループの提供するサービスは就職活動中の学生および企業を対象に新卒ダイレクトリクルーティングサービス「OfferBox」と適性検査サービス 「eF-1G」である。

(1)新卒ダイレクトリクルーティングサービス「OfferBox」

新卒採用に特化したダイレクトリクルーティングサービス。登録学生数は2021年卒業予定者で14.5万人で、就活生の約3人に1人が利用する計算だ。企業の多様な採用ニーズに対応し、「待っていても会えない学生に会える」という価値を企業に提供している。

豊富な学生データベースから採用ターゲットを探しやすくするため、多様な検索項目と検索手法を提供。学生のプロフィール情報には1,600字のテキスト情報に加え、写真や動画を掲載。採用ターゲットを見極め、学生と企業が一対一のコミュニケーションを通じて相互理解を深められるようにしている。

「OfferBox」は利用企業の採用計画やダイレクトリクルーティングサービスの経験値に合わせてプランを選択することができるよう、2つの料金プランを展開。

①成功報酬型政府が定める新卒採用スケジュールに合わせた3月1日の採用広報解禁日よりオファー送信ができ、 入社合意に至った時点で費用が発生するプラン。導入費用なしで利用が開始でき、入社までに学生が内定を辞退した場合は成功報酬費用を返金する契約。

②早期定額型大学3年次のインターンシップへの参加促進など、採用広報解禁よりも前からオファー送信ができる料金プラン。契約時に利用料金及び採用枠料金を一括して支払うことで、1名あたりの採用単価を割引している。

(2)適性検査「eF-1G」

細かいメッシュと高い網羅性で、戦力となる人材を選び、育て、活かすという人事活動を一貫して支援する適性検査。

「eF-1G」 の特徴は以下のとおり。

①194個の測定項目
測定項目数が194個あり、就業上必要なストレス耐性や継続力、面接では見極めにくい幼少期から青年期の経験や気質をデータで確認できる。また、既存従業員の適性検査結果を分析することで、個々の企業で活躍し定着する人材の要件を見極めることを可能にしている。

②採用から登用まで一貫して活用できるアセスメント
「eF-1G」を「OfferBox」に標準搭載するだけでなく、単体での販売もすることで、新卒採用だけではなく中途採用や人材登用、人事評価など様々な場面で利用企業の人事課題の解決を図ることができる。

登録学生・利用企業の数、就職決定人数ともに右肩上がりで増加

2016年卒から2021年卒までの5年間で、「OfferBox」の登録者数は5倍以上、登録企業数は7倍以上になった。それに伴い、実際の内定決定人数も右肩上がりで増加している。

新卒採用手法は変化、ダイレクトリクルーティングサービス市場の拡大

同社グループを取り巻く環境変化については、以下のとおり。

新卒採用を含めた「働き方改革」の推進
政府主導の「働き方改革」により、従来の新卒一括採用の在り方や大学教育の在り方についても見直しが進むと推定されている。大学を含む外部連携を加速させることで、周辺領域への事業拡大の機会を獲得しやすい環境になると同社は考えている。

テクノロジーのさらなる進化
ICTを活用したタレントマネジメントや業績評価に加え、ハイパフォーマー分析(注1)などによる活躍人材の再定義を検討する企業は増加傾向にある。経済産業省の新産業構造ビジョンの中でも、「人工知能等の技術を活用した“労働市場の効果的なマッチング”の実現」が明記されており、HR領域におけるテクノロジーの導入は更に進むと予測される。

人口減少による慢性的な人材不足
リクルートの「第37回 ワークス大卒求人倍率調査」によると、日本の大卒求人倍率(2021年3月卒業者)は1.53倍と、前年の1.83倍からはやや下がったものの、依然として高い水準で推移。地方においては行政主導でUIJターン採用なども活発化してきており、都市部に限らず全国的に企業の人材需要は高まりを見せている。

新型コロナウイルス感染症拡大に伴う採用手法の変化
新型コロナウイルス感染症拡大により、オンラインでの選考が急速に普及している。大量に集めて絞り込むという従来の採用手法から、最初から候補者の見極めを行い、丁寧なコミュニケーションを経て採用する手法への移行が進みつつある。

ダイレクトリクルーティングサービス市場の拡大
矢野経済研究所の「新卒採用支援市場の現状と展望(2020年版)」によると、2020年度の新卒紹介サービス市場の成長率は前年度比109.5%、ダイレクトリクルーティングサービス市場の成長率は122.7%と前年度比二桁成長を維持。ターゲット層の学生獲得のために企業が「新しい採用のカタチ」を模索する動きの拡大が予想される。

注1:個々の企業における活躍人材の特定のため、ハイパフォーマーの特徴や情報 を収集・分析し、採用や教育研修等の人材育成の場に組み込むこと。

シェアの拡大と、保有するビッグデータを活用した新規事業の展開を目指す

同社グループは、「つながりで世界をワクワクさせる」というミッションのもと、「人の成長を加速させるキャリアデータベースプラットフォームをつくる」をビジョンに掲げる。テクノロジーとプラットフォームビジネスを駆使し、企業と求職者とのマッチングの観点から労働人口減少という問題を解決することを目指している。

厚生労働省の発表した「新規学卒者の離職状況」によると、入社後3年で約3割が離職しており、新卒採用におけるミスマッチが問題となっている。同社は、新卒ダイレクトリクルーティングサービス「OfferBox」と適性検査サービス「eF-1G」の提供を通じてこの問題に取り組み、個人の成長と企業の発展に貢献、企業価値の最大化を図っている。

同社グループの経営戦略は以下のとおり。

①「OfferBox」の新卒採用市場におけるシェア拡大
②「eF-1G」の収益力向上
③新規事業の展開

ビッグデータを活用し、利用企業と登録学生のマッチング効率をさらに向上させることで、ネットワーク効果を高める方針。クチコミによる学生の登録促進や企業の新規リード獲得につなげ、新卒ダイレクトリクルーティング市場でのシェアの拡大を目指す。

さらに、新規利用企業へのフォロー体制の強化に取り組むことで成功報酬型から早期定額型への流れを一層強め、強固な顧客基盤の形成を目指している。

「eF-1G」は、システムの刷新による利便性向上とオペレーションコスト低減により、収益力を高める方針。併せて、営業・マーケティング活動でのグループ間連携を強め、新規顧客の開拓を強化するとしている。

また、学生の保有経験やパーソナリティデータ、企業とのマッチングデータといったビッグデータの蓄積や多くの企業や大学とのつながりを活かし、新卒採用領域を起点に前後の領域に対しても新規事業の展開に取り組む予定だ。

以上より、同社グループは高い成長性を維持するために積極的な投資を行う方針で、売上高および売上高に直接的に紐づく決定人数を経営上重要な指標としている。

顧客の開拓とビックデータの有効な活用がさらなる成長の鍵

同社グループは、対処するべき課題として以下の4つを挙げている。

①顧客開拓について
②サービス開発・改良について
③ビッグデータの有効かつ適切な活用について
④個人情報の管理について

早期離職解消を目指すために、各企業の活用事例や採用コラム等の良質なコンテンツを発信し、サービスの利用を促進している。また、クチコミ経由の登録数増加を目指し、大学・大学生協との連携を強化することで学生登録者数の拡大を目指す。

学生に対しては、企業からのオファーが届くという機能性や利便性、デザイン性等をアピールしている。企業に対しては、適性検査「eF-1G」との連携強化により、ターゲット学生が探しやすくなっている点、採用決定率が高い点などをセールスポイントとしている。

また、登録学生の属性やインターネット上での行動データ、パーソナリティデータを有効活用することで、利用企業と登録学生のマッチング効率向上に取り組んでいる。就職活動以前の学生に対しても、自身のパーソナリティや変化を可視化できるような新規事業の創造を進めている。

「個人情報保護規程」をはじめとする諸規程の制定・運用、役員・従業員への定期的な社内教育の実施により、情報管理体制の強化、徹底を図ることも重要課題としている。

4回の資金調達で、合計4億2,000万円を調達

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これまで4回の資金調達を実施し、累計で4億2,000万円を調達している。

出資元には、グロービス経営大学院りそなキャピタルシタシオンストラテジックパートナーズニッセイ・キャピタルフューチャーベンチャーキャピタルが参画している。

同社グループは、グロービス経営大学院の卒業生3名が在学中に出会い、起業した企業であるため、出資を通じてセミナーの合同開催などの業務提携関係を一層推進していく方針である。

想定時価総額と上場時主要株主

上場日は2021年3月18日を予定しており、上場する市場は東証マザーズとしている。また、大和証券が主幹事を務める。

今回の想定発行価格は2,470円である。調達金額(吸収金額)は14.5億円(想定発行価格:2,470円×OA含む公募・売出し株式数:588,300株)、想定時価総額は、92.1億円(想定発行価格:2,470円×上場時発行済株式総数:3,732,500株)となっている。

公開価格:2,620円
初値:6,000円(公募価格比+3,380円 +129.0%)
時価総額初値:223.95億円

※追記:2021年3月19日

i-plug-stock

筆頭株主は同社グループ代表取締役社長の中野智哉氏で、62.90%を保有している。次いで、同社従業員の山田正洋氏が10.62%、ニッセイ・キャピタルが8.17%を保有する。

その他、同社グループの取締役である田中伸明氏、直木英訓氏、監査役の阪田貴郁氏、執行役員の青木崇氏が名前を連ねている。

※本記事のグラフ、表は新規上場申請のための有価証券報告書の部を参考

 

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