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AIソリューション事業を展開するヘッドウォータースのIPOサマリー

Pepperをはじめとする人型ロボット向けアプリケーション開発などのAIソリューション事業を手がける株式会社ヘッドウォータース(以下、ヘッドウォータース)が東京証券取引所マザーズへの新規上場承認を受けた。承認日は2020年8月24日で、上場は2020年9月29日に予定されている。

ヘッドウォータースは、「エンジニアからビジネスパーソンへ」という企業理念を掲げ、2005年11月に篠田庸介氏によって創業。設立からおよそ15年での上場となる。

本記事では、新規上場申請のための有価証券報告書Ⅰの部の情報を元に、同社のこれまでの成長と今後の展望を紐解いていく。

安定した売上高を継続し、当期純利益は3年連続で黒字に

売上高は2016年から2019年にかけて成長を続けている。当期純利益は、2017年に黒字化した後、継続して利益を上げており、年々上昇していることがわかる。2020年6月期は、2019年12月期の約1億円の当期純利益を半年間で超えていることから、成長を続けている。上場後のさらなる成長に期待したい。

AIソリューション事業として提供するサービスとは? 

ヘッドウォータースは、AIソリューション事業の単一セグメントである。提供サービスは、企業の経営課題をITやAIのシステム開発を通して解決する「インテグレーションサービス」とインテグレーションサービスで開発したシステムの改善・保守を行う「OPSサービス」のふたつである。

①インテグレーションサービス
インテグレーションサービスには、AIインテグレーションサービスとDXサービス、プロダクトサービスの3つが含まれる。
AIインテグレーションサービスは顧客の業務を分析しAIの活用部分を抽出することで、概念実証後にAIを既存の業務に組み込み運用するまでを一括して行うサービスである。
DXサービスは顧客企業の業務全体のデジタル化を目指し、業務分析やDX計画の策定、システム開発、AI活用を見越したデータの蓄積及び解析を提供する。
プロダクトサービスにおいては、同社が有するAIプロダクトの「SyncLect」や「Pocket Work Mate」などを顧客に提供することで顧客の経営課題を解決している。 
②OPSサービス
DXサービスのシステム運用に加え、AIインテグレーションサービスでは常に学習を続ける必要のあるAIの機械学習サポートを行う運用サービス。

DXサービスが売上高全体の50%以上を占める 

インテグレーションサービスに含まれる3つのサービスとOPSサービスを合わせた4つの売上構成比を表した図が以下になる。

業務効率化のためのAI導入や業務可視化及び最適化設計・導入を進めるAIインテグレーションサービスについては、売上構成比が2倍以上に成長していることがわかる。

またDXサービスについては、複数のAIを組み合わせることで必要なサービス・機能を実現するマルチAI化や、ロボットやスマートスピーカーを含むマルチデバイス化の実現に成功し、ロボットによる翻訳サービスや受付サービス、レジ機能サービスなどのリリースに成功。この実績により多くの注目を集め、ロボット活用だけではなく、デジタルトランスフォーメーション(DX)やAI化を検討している、企業からの問い合わせが増加しており、企画・提案フェーズから発注へと繋がっている。このため、DXサービスに占める割合が最も高くなっている。

「SynLect」や「Pocket Work Mate」などの提供を行うプロダクトサービスでは、2018年から2019年にかけては売上構成比が横ばいになっている。OPSサービスは、インテグレーションサービスにおいて構築したシステムの保守や運用を行うサービスであり、インテグレーションサービスの売上に追随して売上が上がる傾向がある。 

年率25%以上の成長を続ける国内AI市場をターゲットに

同社の主軸事業分野である情報通信産業は、急速に進化し、特にAI分野は大きな成長が見込まれる。富士キメラ総研が実施した国内AI市場の調査によると、2017年度の市場規模は3,921億円となっており、業種別では金融業、組立製造業、情報通信業でAIを導入済みとする企業が多い状況である。

国内AI市場は年平均25.3%の成長が予測されていて、2022年度には1兆2,109億円になると予測されている。そのなかで、同社がターゲットとするAIソリューションのなかの構築サービスは年平均23.2%の成長が予測されており、2022年度には6,600億円になると予想されている。 

重要経営指標とする売上総利益率も目標値を上回る結果に 

同社は「エンジニアからビジネスパーソンへ」をミッションに掲げ、エンジニアが最新のテクノロジーを使い、さまざまな社会課題を解決し、日本社会をよりよい未来に導くことを同社の存在意義としている。

また、受注生産方式での売上計上が中心となるため、生産性を向上させ、効果的に外注の協力を得ること、安価かつパフォーマンスの高いサービスを仕入れることにより、原価を抑えながら売上高を上げていくことを重要視している。そのため、売上総利益率が重要な経営指標になることを認識し、これを最も重要な経営指標として位置づけている。

同社が重要経営指標と位置づけている売上総利益率は、最近3年間では順調に成長を続け、売上高に対して売上原価を抑制することに成功しているといえそうだ。2020年6月期では、45.8%の目標値に対して、52.3%と目標を上回る成果をあげている。

AIに特化したR&Dを強みに、AI導入顧客数のさらなる拡大を図る

対処するべき課題として以下の4点をあげている。 

①費用対効果が求められるAI実用の時代への対応
②AI導入顧客数の拡大
③優秀な人材の確保・育成
④コーポレート・ガバナンス体制及び内部体制管理の強化

同社はAIの研究に特化したR&Dチームを有しており、技術トレンドの検証も行っているため、画像認識、自然言語処理、機械学習によるデータ分析を活用したソリューションの開発を行い、AI実用時代へ対応していく見込みだ。また、同社は案件の規模にかかわらず、多くの業種・業務においてAIの活用事例をつくるために、AI導入顧客数の拡大に注力していく。

4回の資金調達で、累計調達額は4億円以上

有価証券報告書Ⅰの部と企業サイトを参考にすると、過去に累計4億6,773万円の資金調達を行っている。累計資金調達回数は4回である。

出資元が確認できる2回の資金調達は、投資事業組合の運用・管理を行うプライムロック・インベストメントからいずれも出資を受けており、他にはベクトルROBOT PAYMENTオークファンIBJトリプルワンなど幅広い業種の事業会社から資金を調達していることがわかる。個人投資家としては、スガシタパートナーズ代表取締役社長で投資家の、菅下清廣氏が出資を行っている。 

想定時価総額と上場時主要株主 

上場日は2020年9月29日を予定しており、価格の仮条件決定日は9月7日である。上場する市場はマザーズとしている。

今回の想定価格は、2,240円である。調達金額(吸収金額)は2.57億円(想定発行価格:2,240円×OA含む公募・売出し株式数:115,000株)、想定時価総額20.67億円(想定発行価格:2,240円×上場時発行済株式総数:922,800株)となっている。

筆頭株主は代表取締役である篠田庸介氏で、59.98%を保有する。次いで、プライムロックインベストメントが運用する投資事業有限責任組合1号・2号が合わせて18.04%の株式を保有。ベクトルが6.75%、トリプルワンが2.28%、チェンジが1.73%、IBJが1.12%と事業会社が多く株主となっている点も特徴的である。

個人では、取締役兼経営企画部長の疋田正人氏が1.58%、監査役の萱沼武広氏が同じく1.58%、ALH代表取締役の畠山奨二氏が0.95%の株式を保有する。 

※本記事のグラフ、表は新規上場申請のための有価証券報告書Ⅰの部を参考

 

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