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『未来投資戦略2018年』から読み解く、「医療・介護」ビジネスの今後

医療

毎年政府が発表している『未来投資戦略』をご存知だろうか。これは、政府が今後注力していく領域が網羅されているため、起業家や投資家にとってはビジネスチャンスを探すのに最適である。また、成長見込みのある会社でプレイヤーとして活躍したい就職・転職希望者にとっては、今後伸びていく市場を見極める際にも役に立つ。

2018年のテーマの1つは「Society 5.0」。

「Society 5.0」とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)のことを言う。狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において日本が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されたものである。(*1)

Society 5.0で実現する社会は、情報社会(Society 4.0)が持っていた、知識・情報共有や分野横断的な連携が不十分であるという問題点を、IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながることによって解決するとされている。

政府はSociety 5.0実現に向けて、「交通」「医療・介護」「ものづくり」「農業」「食品」「防災」「エネルギー」の7つの分野での経済発展を想定している。

今回はその中で「医療・介護」に注目する。

*1:「未来投資戦略 2018(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/miraitousi2018_zentai.pdf)」より

次世代ヘルスケア・システムの構築プロジェクトとは

ヘルスケア

『未来投資戦略2018』では、「医療・介護」領域で「次世代ヘルスケア・システムの構築プロジェクト」と称し、医療機関や介護事業所による個人に最適なサービス提供や、保険者や個人による予防・健康づくりを進め、次世代ヘルスケア・システムの構築と健康寿命の延伸を目指すと述べている。

具体的な施策は以下3点だ。

1.個人に最適な健康・医療・介護サービス
・個人の健診・診療・投薬情報が医療機関等の間で共有できる全国的な保健医療情報ネットワークの本格稼働
・個人の健康状態や服薬履歴等を本人や家族が随時確認でき、日常生活改善や健康増進につなげるための仕組みの提供
・官民連携プラットフォームを構築し、自治体、研究者、企業等が連携し、「認知症の人にやさしい」新たな製品やサービスを生み出す実証フィールドを整備
2.医療・介護現場の生産性向上
・ICT化を徹底推進し、介護現場の生産性を飛躍的に高める
・健康増進や予防に資する公的保険外のサービスの活用を促進
・行政コストを抑えつつ、民間ノウハウを活用して社会課題解決と行政効率化を実現
3.遠隔・リアルタイムの医療とケア
・安心して在宅で医療やケアを受けられるよう、服薬指導を含めた「オンラインでの医療」全体の充実
・ユーザー目線で、現状を更に前進させる取組

以上より、今後「医療・介護」領域においては専門技術を活用して得た個人の生体データを個人に還元するモデルや場所や時間に制限されずに治療を享受することができることが本領域のビジネスにおいてポイントとなるだろう。

参考:https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/index.html
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/miraitousi2018_zentai.pdf

注目の「医療・介護」領域スタートアップ企業

企業、ヘルスケア、医療

最後に、「医療・介護」領域におけるスタートアップを紹介する。

トリプル・ダブリュー・ジャパン

排泄予想デバイス「DFree」を開発し、個人向け、企業向けに提供する。DFreeは人体に無害な超音波センサーで膀胱の大きさの変化を捉え、データをクラウドで自身のアルゴリズムにより解析し、排泄の前後のタイミングを通知してくれる。
排泄は介護する側される側両方にとって大きな負担であり、それをテクノロジーで解決しようとしている。

カケハシ

電子薬歴システム「Musubi」を提供する。Musubiの特徴の1つは、薬局での大幅な業務軽減を実現することである。薬剤師が患者とともにタブレット画面を見ながら服薬指導する際に、システムが薬歴を自動記入する。従来、薬剤師が1日2〜3時間かけて、薬歴情報をパソコンに入力してきた手間を一気に省ける。
さらに患者に対して、薬の効果や飲み方の指導に加え、健康的な生活を送るためのアドバイスも提案する。レセプト(診療報酬明細書)作成用のコンピュータと連携し、処方箋や生活習慣の情報を入力すると、年齢や性別、疾患、過去の薬歴などひとりひとりに合わせた生活アドバイスを自動生成できる。

メドレー

「MEDLEY」、「CLINICS」、「JobMeldey」、「介護のほんね」という4つのサービスを提供する。MEDLEYは500人以上の医師の監修したオンライン医療辞典である。またCLINICSは、インターネットを通じて予約からビデオチャットでの診察、決済や薬・処方せんの配送までを提供できるオンライン診療システム。病院に通うのが困難な人でも診療できる。
そしてJobMedleyは医療介護の求人掲載数業界No. 1を誇る求人サイト。最後に「看護のほんね」は医療に強い介護施設を調べられる。

MICIN

健康診断の結果や手術動画など、これまであまり使われずに埋もれていた、医療に関する情報をAIで解析する。それは個人の生活習慣と将来かかる病気との関係、熟練の医師の技術や見識までにのぼる。
こうした暗黙知や因果関係をAIで明らかにし、より適切な治療法などをソリューションとして提供する。

エルピクセル

医療、製薬、農業などライフサイエンス領域における画像解析・画像診断技術「IMACEL」を研究開発して、医療画像診断支援技術の研究開発に注力している。
近年、CTやMRI、内視鏡などの医療機器の高度化に伴い、医療現場で取扱う医療画像のデータ量は急増し、医療画像診断支援技術を提供することで、読影を行う医師をサポートし、見落としや誤診を防ぎ、効率的な医療の実現を目指している。

かつて、医療分野は専門性が高くプレイヤーの参入は容易ではなかった。しかし、近年は情報のオープンソース化や技術の発展により異業種の企業が加わり、新たな医療サービスが次々と生まれている。

国が重点的に投資をする領域でもある「医療・介護」は、行政が保有する膨大なデータのオープン化により、データを活用したイノベーションや新ビジネス創出、次世代ヘルスケア・システムの構築など様々な展開が見込まれるので、成長市場の企業で働きたいと考えている人にとって注目すべき業界だと言える。

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