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数々の有力スタートアップを生み出す電子国家エストニア

数々の有力スタートアップを生み出す電子国家エストニア

エストニアは電子国家として世界から注目を集めている。1991年にソ連から独立した後、国策としてIT化を進めてきた。この政府の電子化する方針を「e-estonia」という。その方針が起因し、行政手続きの99%は電子化されている。

また、国民のITリテラシーも非常に高く、7歳からプログラミングを義務教育である初等教育で学んでいる。このような背景からIT先進国として一歩リードしている。

スタートアップも盛んで人口1万人当たりのスタートアップ企業の割合はヨーロッパで54ヵ国の中で3位だ。

なぜe-estoniaを進めているのか

エストニアはフィンランド湾に面する、バルト三国の北の国に位置する。人口約132万人、面積約4.5万平方キロメートル(沖縄を含めて九州と同程度)と小さな国だ。

エストニアは歴史上、近隣他国に侵略され続けてきた。物理的な国境を脅かされてきた背景から、領土を取られてもデータがあれば再生可能だという考えのもと、ソ連からの独立後サイバー空間で国を発展させるという国策を取ったのだ。主力産業もなく、資源も限られているため、少ないリソースを最大限活用しなければならない。そのために国としてIT化を後押しした。

e-estoniaの取り組み

e-estoniaの取り組み

エストニアでは住民票の変更や確定申告、投票などの行政手続きや公的サービスの99%はインターネット上で完結できる。インターネット上でできないことは結婚、離婚、土地売買の3点のみだ。

また、会社を設立するのもわずか30分で完了するというのだから驚きだ。これらの情報はすべて1つの個人IDカードで管理されている。日本でいうところのマイナンバーカードだ。免許証や国民健康保険証、個人IDカードは公共交通機関のプリペイドチケットとしても使えるなど、住民にとっての利便性の高さが伺える。

経済政策としては「e-residency」という制度が導入されている。「e-residency」はエストニアの電子国民になれる制度だ

e-residencyによって、エストニア政府が提供する電子行政サービスの一部を世界中のどこからでも、外国人でも利用できる。海外からでも銀行振込や税金を納めることが可能で、最大の特徴はエストニア現地に行かなくても会社を設立できる点だ。つまりエストニアにある会社を外国人でも経営・運営することができる。

デジタルネイティブの育成

エストニアは90年代からIT教育を推進し、2012年にはプログラミング教育を初等教育(7歳)で導入を開始。JavaやC++などのプログラミング言語やロボット工学などを学習する。

エストニアは90年代からIT教育を推進し、2012年にはプログラミング教育を初等教育(7歳)で導入を開始。JavaやC++などのプログラミング言語やロボット工学などを学習する。

学校によっては「国防」という科目があり、インターネットセキュリティ、サイバーディフェンス、ハッキングなどを学ぶ。 ITスキルだけでなく、プログラミングを通してロジカル思考を学ぶことにも重点を置いている。

同国ではロジカル思考は基礎スキルの一つとして捉えられており、3年ごとに15歳を対象に行われるPISAと呼ばれる国際的な学習到達度に関する調査ではヨーロッパ1位を獲得している(2015年度)。

エストニア発スタートアップ累計資金調達金額トップ3

国民の起業意欲も高く、人口当たりのスタートアップの数はヨーロッパ平均の6倍あり、起業率は欧州No.3だ。

あまり知られてないが世界的インフラ企業である無料通話のskypeもエストニア発祥の企業だ。

同国はスタートアップビザ制度を導入していることも特徴だ。これは、欧州域外の起業家を対象にエストニアで企業を新規設立するか、会社を海外からエストニアに移転する際に、欧州域外の従業員を通常より簡単な手続きでエストニアに呼び寄せれる制度だ。これらの取り組みからエストニアではスタートアップが盛んなのである。

スタートアップが盛んなエストニアで、資金調達金額のトップ3の企業を紹介しよう。

Taxify
資金調達金額:$177.3M
CtoCの配車サービスを東欧・アフリカを中心に展開。アプリをインストールしてから数分でサービスが使える。
ピックアップ地点と目的地を入力すれば、アプリが目安の金額を計算され、その後車両をリクエストするだけで車が迎えにくる。サインアップも容易で、個人情報とクレジットカード情報のみでサインアップが完了できる。ヨーロッパとアフリカを中心に27ヵ国で展開中。また、自社で使っている車両管理システムをタクシー会社にも提供している。
Pipedrive
資金調達金額:$81.3M
複雑で面倒な販売プロセスを簡単に管理できるように設計された進行管理ツールを提供。プロジェクト管理を迅速に行うためのサポートに加え、営業活動の具体的な目標を設定することができる。営業チーム全体、または各メンバーの営業進捗状況を簡単に共有、監視ができ、カレンダーやEメールと同期できる点も特徴的だ。2018年8月時点で75,000社、10万人以上が利用している。
Skeleton Technologies
資金調達額:$51M
エネルギー貯蔵ソリューションの研究・開発を行っている。ウルトラキャパシタ(*1)「SkelCap」シリーズは、独自の特許技術を活用し、グラフェン(*2)を材料とすることで性能を高めた。同社によると「SkelCap」シリーズは他社のウルトラキャパシタに比べて、2倍のエネルギー密度(体積、重量当たりの蓄電容量)と4倍のパワー密度(一瞬で放電できる電力量)を誇る。また2~3秒で充電でき、100万回以上の充放電が可能という特徴もある。電気自動車への応用が期待されている。

*1:電気二重層コンデンサのこと。コンデンサは電気を蓄えたり放出したりする電子部品。
*2炭素(=カーボン)原子が網目のように六角形に結びついてシート状になっているものをグラフェンと呼ぶ。

エストニアが切り開く未来の国家

このようにエストニアは政府が主導して国民をデジタルネイティブに育成することに成功した。

このようにエストニアは政府が主導して国民をデジタルネイティブに育成することに成功した。

エストニアは「デジタルノマドビザ」の発行も検討している。同ビザは外国人がエストニア国内の長期(365日)滞在・仕事を可能にし、90日間のEU諸国旅行を可能にするビザだ。これにより世界中の優秀な人材が場所にとらわれずに自由に働くことができるようになることを目指している。

今後、世界で活躍したいという情熱を持つ人々が、エストニアを拠点にして活躍するようになるだろう。世界の優秀な人材が集まる環境を整え、国をさらに発展させようとするエストニアが今後も注目を集め続けるだろう。

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