1. HOME
  2. MEDIA
  3. オンラインでも実店舗以上のサービスを目指すDtoCとは?

オンラインでも実店舗以上のサービスを目指すDtoCとは?

近年、消費者とのタッチポイントをインターネットに置くビジネスが広く知られるようになっている。Amazon、楽天、ZOZOTOWN、ヨドバシカメラなどのBtoCのEC市場規模は年々拡大してきている。また消費者同士で直接簡単に売買ができるメルカリを始めとしたCtoCも勢いは止まらない。

近年、消費者とのタッチポイントをインターネットに置くビジネスが広く知られるようになっている。Amazon、楽天、ZOZOTOWN、ヨドバシカメラなどのBtoCのEC市場規模は年々拡大してきている。また消費者同士で直接簡単に売買ができるメルカリを始めとしたCtoCも勢いは止まらない。

そんな中、まだ日本では馴染みの薄い「DtoC」が海外EC領域で注目を浴びている。DtoCとはDirect to Consumerを略した言葉だ。メーカーが直接消費者に販売する、最近注目されているビジネスモデルのことを指す。

上記のような、ECモールや大手小売が運営するECサイトでは商材ひとつに対し数多くの選択肢が与えられるが、そこでは消費者自身が商品の質や値段の高低を判断することが求められる。対して、メーカーが直接消費者に販売するDtoCでは消費者との信頼関係構築とユーザーエクスペリエンス(UX)が重視され、購入プロセスなどの利便性ゆえに満足度も確保できる。

消費のあり方は急速な時代の変化に伴い年々変わってきている。日本ではこの領域に取り組んでいるスタートアップがまだ多くない。今回は成功事例と日本での市場を紹介しながらDtoCについて解説していく。

メーカー直販と言われるDtoC

冒頭でも述べたようにDtoCとは、メーカーが自社チャネルにて一般消費者へ直接商品を販売するモデルだ。製品企画から生産・販売までのフローを中間業者を一切挟まずに行い、実店舗は持たずECサイトでのみの販売が多い。

DtoC形態を採るメーカーは、中間業者を挟まないことにより余分なコストを削ぎ落とせるため、低価格で高品質な商品の提供が可能である。DtoCで扱われる商材は、データやサービスなどではなくアパレル・美容関係・食品など、従来は店頭にて接客が必要だった商品が多い。たとえばEC市場の売上規模が世界2位であるアメリカでは、2007年創業のメンズブランド「Bonobos」を筆頭にいくつものDtoC企業が注目を集めている。

海外DtoCスタートアップの成功事例

今注目を集めているDtoCの形態を採るメーカーは2000年代後半にアメリカを中心に普及した。ECサイトの利用者数の増加に伴い、DtoC型アパレルブランドは熱狂的なファンも生み出している。

ここからは、年々売上を伸ばし根強い人気を誇るブランドを、それぞれ特色あるサービスに着目してご紹介する。

Warby Parker

2010年にペンシルバニア大学に在学中であった4人の学生が立ち上げたメガネブランド。店舗に足を運ぶことなくオンラインで試着できる仕組みを採用したことで注目を集めている。

https://www.warbyparker.com/

2010年にペンシルバニア大学に在学中であった4人の学生が立ち上げたメガネブランド。店舗に足を運ぶことなくオンラインで試着できる仕組みを採用したことで注目を集めている。
 
また、ユーザーの多くがメガネの購入時に、家族や友達に感想を求める傾向があることから、プラットフォームにてユーザー同士で試着した画像のシェアを促し、ユーザーの購入率向上に成功。2015年にははFast Companyにて”The World’s Most Innovative Companies 2016”に選出、2017年からはオンラインにて視力検査を行うことができるサービスの展開など勢いが止まらない。

Everlane

010年に創業した、アメリカ発祥のアパレルブランド「Everlane」。アパレル業界の常識を覆し反響を呼んだ。   これまで不透明だった、商品開発に関わる原価・材料費・労働費・関税・輸送費・工場リストなどのすべてを自社サイトに公開。ユーザーにとっては、利益率がわかるだけでなく、透明性の観点で安心・安

https://www.everlane.com/

2010年に創業した、アメリカ発祥のアパレルブランド「Everlane」。アパレル業界の常識を覆し反響を呼んだ。
 
これまで不透明だった、商品開発に関わる原価・材料費・労働費・関税・輸送費・工場リストなどのすべてを自社サイトに公開。ユーザーにとっては、利益率がわかるだけでなく、透明性の観点で安心・安全性を保証してくれることから絶大な支持を得た。またセール商品に関しては価格設定が3段階で設けられており、ユーザー自身の判断で値段を最終決定することができる。

Casper

2014年に設立されたマットレスブランド。日本と比べ米国ではマットレス市場が大きく、商品の選択肢の膨大さに創業者が着目し事業がスタート。最初の2年間で約100億ドルを売り上げた。

https://casper.com/

2014年に設立されたマットレスブランド。日本と比べ米国ではマットレス市場が大きく、商品の選択肢の膨大さに創業者が着目し事業がスタート。最初の2年間で約100億ドルを売り上げた。
 
マットレスの選択肢を極限に減らしユーザーのストレスを改善したばかりではなく、100日以内であれば無料で返品可能であることで安心感を提供した。またコンパクトな梱包を実現したことから家に直接配達してくれる仕組みとなっている。またSNSにてインフルエンサーにお金を払い、彼らにプロモーションを担ってもらうマーケティングを行なっている。

Away

2015年に設立、共同創業者は2人ともWarby Parker出身である。同じくDtoC型アパレルブランドで有名になったBonobosの共同創業者が出資、他にもシードラウンドやシリーズAラウンドにて多くの出資者が集ったスーツケースブランドである。シリーズDラウンドでは10億ドルの資金調達に成功し、2019年5月にはユニコーン企業となった。

https://www.awaytravel.com/

2015年に設立、共同創業者は2人ともWarby Parker出身である。同じくDtoC型アパレルブランドで有名になったBonobosの共同創業者が出資、他にもシードラウンドやシリーズAラウンドにて多くの出資者が集ったスーツケースブランドである。シリーズDラウンドでは10億ドルの資金調達に成功し、2019年5月にはユニコーン企業となった。
 
同社サービスの価格帯と機能面にはユーザーの声が反映されている。スーツケースの値段は225ドルからと設定されており、機能面ではスマートフォンなどのUSB充電できる充電池をスーツケースに組み込んでいる。このように、リーズナブルかつユーザブルな新型スーツケースを販売。創業1年目の時点でスーツケース100万台を売上げており、今後も大きな期待が寄せられる。

日本のDtoCスタートアップ

アメリカはすでにDtoCメーカーが多数存在している。従来のSPA企業の低価格競争と同じ構造になりつつあるが、日本ではまだまだニッチな市場である。そんな中でDtoCと掛け合わせてサービスを展開する注目のブランドをご紹介する。

βace

014年に渋谷にて立ち上がったクラフトチョコレート「Minimal」。サードウェーブチョコとも呼ばれる、カカオ豆の仕入れから成形まで全ての製造を自社工場にて行う “Bean to Bar”方式を採用した。店頭には一つひとつの商品に細かすぎるほどのこだわりの説明書を設置するなど、熱狂的なファンを作り出すようなユーザーエクスペリエンスを提供している。

https://mini-mal.tokyo/

2014年に渋谷にて立ち上がったクラフトチョコレート「Minimal」。サードウェーブチョコとも呼ばれる、カカオ豆の仕入れから成形まで全ての製造を自社工場にて行う “Bean to Bar”方式を採用した。店頭には一つひとつの商品に細かすぎるほどのこだわりの説明書を設置するなど、熱狂的なファンを作り出すようなユーザーエクスペリエンスを提供している。
 
また2019年6月時点までガトーショコラ専門店の出店のためにMakuakeにてクラウドファンディングを開始。ユーザーとのコミュニティ作りと限定の会員制度を設けることで更なる期待が寄せられている。

FABRIC TOKYO

元々はLaFabricというサービス名であったがコンセプトと共にリニューアルをし2018年より社名もFABRIC TOKYOとなっている。主にオーダービジネスウェアを取り扱っており、ライフスタイルとテクノロジーを掛け合わせた、「サイズだけでなく生き方にフィットする」アパレルブランドである。

https://fabric-tokyo.com/

元々はLaFabricというサービス名であったがコンセプトと共にリニューアルをし2018年より社名もFABRIC TOKYOとなっている。主にオーダービジネスウェアを取り扱っており、ライフスタイルとテクノロジーを掛け合わせた、「サイズだけでなく生き方にフィットする」アパレルブランドである。
 
銀座店は在庫レス・レジレス・キャッシュレスを実現し採寸のサービス体験を重視、購入はECサイトにて個々で自由に行われる。

BASE FOOD

2016年に設立され、クラウドファンディングの時点から注目を浴びた世界初の「主食」の完全栄養食品を実現。従来の粉末やドリンクタイプのものではなくパスタやパンを提供し、味付けを自由自在にアレンジできる仕組みになっている。

https://basefood.co.jp/

2016年に設立され、クラウドファンディングの時点から注目を浴びた世界初の「主食」の完全栄養食品を実現。従来の粉末やドリンクタイプのものではなくパスタやパンを提供し、味付けを自由自在にアレンジできる仕組みになっている。
 
ユーザー向けのイベント開催、管理栄養士が参加ユーザーに向け、理想の体に向け様々なアドバイスを個別にするなオンラインでの「BASE PASTA CAMP」開催など密なコミュニケーションと信頼関係作りに力を入れる。

成功したDtoCの共通の成功要因とは

上記のように成功したDtoCメーカーにはいくつかの共通した強みがある。ここでは3つに絞って紹介をする。

①上質なユーザー体験の提供

Amazonや楽天で見られるように、ひとつの商材に対して数多くのレコメンドが表示されることは、ECサイトの利便性を高める要素として欠かせないものと考えられてきた。だが選択肢が多すぎるために最終的にどれが自分にとって最適なのか迷いを生んでしまっている。
 
一方でDtoC型ECサイトでは、選択肢が限られる代わりに、クオリティの高い商品を提供することを可能としている。なぜならば、プロダクト自体や品数だけが消費者獲得につながるのではなく、アフターケアも含む全ての消費者への働きかけが顧客獲得並びにエンゲージメントを高めることに関与すると考えているからだ。
 
その結果として、消費者はサイトを開いてから商品使用後まで満足のいくサービスを受けられる。

②圧倒的なスピードを誇る改善

これまで、メーカーは新商品の販売を開始するタイミングで、広告などのプロモーション手法を用いて、はじめて消費者と接点を持つことが主流であった。しかしDtoCにおいては商品の販売開始時には、すでに消費者と連携している傾向がある。
 
たとえば自社サイトを活用して、リリース前から消費者の意見を取り入れることはそう難しくない。それらを反映して幾度も商品の改善を重ね、その後に販売を開始することができるのだ。また、販売開始後もプロダクトの問題を洗い出した上での細かな商品改良も怠らない。それにより、ユーザーからのエンゲージメント確保も可能になった。

③消費者との連携を重視するブランディング

DtoCは、メーカーが「自社の製品らしさ」を持つための、いわゆるブランディングにも効果を発揮する。現在のEC市場では、ユーザーのエンゲージメント獲得の文脈から、商品の利便性のみならずブランドそのものの魅力を伝えることを求められていることが背景にある。
 
たとえば、アメリカのメガネブランド「Warby Parker」はユーザーにメガネを試着している姿の写真・動画をシェアするように促している。それに加えオンラインの眼科受診を可能にし、測定医からの処方せんに基づいたメガネ購入を可能とした。
 
またアメリカのマットレスメーカー「Casper」は商品発売パーティーを事前にSNSにて宣伝。これによりアーリーユーザーの獲得だけでなく、将来的な顧客に向けてユニークなブランドイメージの発信を図った。

このように、ブランド側はユーザーが一体となれるようなコンテンツを提供することで、ユーザーとの関係性の構築、付加価値の創造を進めているのだ。

EC市場での成功に向けて

誰もが気軽にインターネットにアクセスできるようになった昨今。利便性を追求する社会に適応するべく、大手ブランドもチャネルを広げてECサイトでの販売を行うようになった。その後、DtoC型ECサイトの登場により、購買文化に新たな変化が生まれている。店舗に足を運ぶ必要がなく、ユーザーに直接話しかけるようなカスタマーサービスは、満足度の増加に大きく貢献している。

誰もが気軽にインターネットにアクセスできるようになった昨今。利便性を追求する社会に適応するべく、大手ブランドもチャネルを広げてECサイトでの販売を行うようになった。その後、DtoC型ECサイトの登場により、購買文化に新たな変化が生まれている。店舗に足を運ぶ必要がなく、ユーザーに直接話しかけるようなカスタマーサービスは、満足度の増加に大きく貢献している。

大手メーカーはEC領域におけるDtoCの急成長に着目しており、傘下に置いて自社への投資をするところも少なくない。Business Insiderのデータによれば、EC領域は2022までに世界全体の小売において17%を占めることになる。また多くの有力なCPG(一般消費財)メーカーもライバル会社と競争するためにDtoCメーカーに興味を示している。従来の企業が生き残るためにも、著しい成長を続けるDtoCに期待が寄せられているのだ。

ただ、たとえDtoCの特徴であるメーカー直販の一点に集中しても、それが必ずしも成功につながるとは限らない。上記に挙げたような、プロダクト以外のカスタマーサービスまで含めたユーザー体験に加え、エンゲージメントを確保するために迅速な商品改良やコンテンツ作りが欠かせなくなっている。これらを総じて、ブランドの魅力をいかに消費者に伝えられるかが鍵になってくるのではないか。

今後DtoCが日本のEC市場でどのような動きを見せるのか、新たに挑戦する企業の誕生にも注目しておきたい。

シェアする