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セキュアIoTプラットフォームを提供する、サイバートラストのIPOサマリー

トラストサービス事業を展開するサイバートラスト株式会社(以下、サイバートラスト)が東京証券取引所マザーズに上場承認された。承認日は2021年3月12日で、同年4月15日に上場を果たす。

トラストサービスとは、IoTをはじめとする先端分野における新たな価値を生み出す先駆者として、「ヒト」「モノ」「コト」の正しさを証明することで、顧客が提供するサービスの信頼性を支えるサービス。

2000年6月にミラクル・リナックスとして創業、2017年10月に旧サイバートラストを吸収合併、社名変更しサイバートラストとなった。創業からおよそ21年での上場となる。

本記事では、新規上場申請のための有価証券報告書Ⅰの部の情報をもとに、同社のこれまでの成長と今後の展望を紐解いていく。

過去5年間で売上高は約5倍に成長、経常利益も堅実に増加

上図は過去5年間の売上高と営業利益の推移である。2020年3月期の売上高は2016年3月期の4.9倍に成長している。2021年12月には、売上高が既に前年度の75%を達成しており、さらなる成長が見込まれる。

また、2020年3月期の経常利益は前年度比で1.2倍と着実に成長しており、こちらも今後増加する傾向にあるといえる。

トラストサービス事業を支える3つのサービス

同社グループは、同社と連結子会社4社および持分法適用関連会社2社で構成されており、トラストサービス事業を主たる業務としている。

トラストサービス事業を構成する主要なサービスの内容は、下記のとおり。

(1)認証・セキュリティサービス
①パブリック証明書サービス
認証局を国内に持つ認証事業者として、SSL/TLS証明書「SureServer」を提供。

②デバイス認証証明書サービス
あらかじめシステム担当者が許可したモバイル端末だけを社内ネットワークにアクセスできるようにするサービス「サイバートラストデバイスID」を提供。

③電子認証サービス
電子取引の信頼性を高めるための電子署名、eシール、タイムスタンプなどを含む包括的な本人確認・電子署名サービス「iTrust」を提供。
(2)OSSサービス
①サーバーOS
Linux OS「MIRACLE LINUX Asianux Inside」ソフトウエアを、企業向けLinuxサーバー用途に加え、産業用コンピューターなどの特定業務用機器への組込み用途で提供。国内のエンジニアによる10年にわたる長期サポートも提供し、基幹サーバーに求められる安定運用や特定業務用機器への組込みに必須となる柔軟なカスタマイズまで対応している。
(3)IoTサービス
①EMLinux
IoTなどの組込み機器の開発向け、組込みLinux「EMLinux」を提供。リアルタイム性や起動の高速化、省リソースなどの課題をLinuxのチューニングによって解決し、デバイスレベルからのセキュリティソリューションも備えている。

②セキュアIoTプラットフォーム
暗号化による機密性の保持や電子署名による改ざん防止・安全性確保等の機能を備え、OSやソフトウエアをセキュアに更新する仕組みを一括して提供するシステム基盤を提供。半導体設計から廃棄処分工程まで、IoT機器のセキュリティ状態を一気通貫で管理することができる。

③EM+PLS
IoT・組込み機器専用のLinuxとIoT機器の真正性を担保するプラットフォーム、IoT機器の脆弱性を検査するツールをメニュー化し、IoT製品の継続的な開発と長期利用を支援するサービス「EM+PLS(イーエムプラス)」を提供。

④Warp!!
同社グループ会社のリネオソリューションズ社によりIoT機器向けの高速起動製品を提供。「Warp!!」により、LinuxやAndroid OSで構成されているシステムを最短、1秒から数秒の高速での起動を実現している。

認証・セキュリティサービスが売上全体の60%を占める

カテゴリー別の売上高を見ると、「認証・セキュリティサービス」が全体の約6割を占めていることがわかる。

それぞれのカテゴリーは、自社の製品(Linux/OSS製品など)を提供するライセンス、製品のカスタマイズや導入支援、セキュリティコンサルティングなどを提供するプロフェッショナルサービス、電子証明書サービスや自社製品のサポートサービスなどを提供するリカーリングサービスに分類される。

2024年にはIoT市場は約12兆6,000億円の規模に達する予測

IDC Japanの「国内IoT市場産業分野別予測とユースケース別の事例考察」によると、国内IoT市場におけるユーザー支出額は2019年の実績は7兆1,537億円であり、2019年~2024年は年間平均成長率12.1%で成長し、2024年には12兆6,363億円に達すると発表している。

今後もIoT市場の成長が予測される一方、IoT機器を狙ったサイバー攻撃は近年増加傾向にある。IoT機器は性能が限定されており管理が行き届きにくいことやライフサイクルが長いことなど、サイバー攻撃に狙われやすい特徴を持つ。

セキュリティソリューションや組込みIoT機器の真正性を担保しセキュリティ脅威から守る共通プラットフォームを提供する同社は、独自の価値を強みに成長が見込めると考えられる。

人材の確保と新規事業の立ち上げが今後の成長の鍵

同社は事業上および財務上の取り組むべき課題として、以下の4つを挙げている。

①新型コロナウイルスの感染拡大の影響に対する対策
②同社グループ事業を支える人材の獲得と育成
③合併会社と被合併会社の経営資源統合を通じたシナジー発揮
④事業機会をとらえた新規事業の立ち上げと育成

新型コロナウイルスの世界的感染拡大に伴い、テレワークに必要となるデバイス認証サービスに注力しつつ、その他の製品・サービスについても顧客の需要の変化に対応した事業戦略、販売戦略の見直しを図っていく必要があるとしている。その中で、IoT機器市場の特徴やトレンドを捉え、同社の独自の価値を提供することで事業規模の拡大を図っていくことが今後も必要であると考えている。

IT人材の需要が高まる中で、情報サービス業界は常に革新的な技術・サービスが求められる。既存製品の機能向上と市場の技術革新に速やかに対応しながら、より先進的な技術を創出するべく、新規事業領域への展開を含め、高度な専門知識とスキルを有した優秀な人材の育成・定着に力を入れていく方針だ。

また、合併に伴う内部統制システムの再構築が必要であると同社は認識している。経営戦略や人事・評価制度などの各種社内規程を整備し、社内管理体制の強化を継続して進めていく。

2回の資金調達を実施、累計で2億8,032万円を調達

これまでに2回の資金調達を実施し、累計調達額は2億8,032万円となっている。出資元にはセコム大日本印刷が参画している。

想定時価総額と上場時主要株主

上場日は2021年4月15日を予定しており、上場する市場はマザーズとしている。また、みずほ証券が主幹事を務める。

今回の想定発行価格は1,660円である。調達金額(吸収金額)は10億4,000万円(想定発行価格:1,660円×OA含む公募・売出し株式数:632,500株)、想定時価総額は、64億9,000万円(想定発行価格:1,660円×上場時発行済株式総数:3,910,600株)となっている。

公開価格:1,660円
初値:6,900円(公開価格比+5,240円 +315.6%)
時価総額初値:269.83億円

※追記日:2021年4月16日

筆頭株主は同社の親会社であるSBテクノロジーで、全体の64.83%を保有している。次いでSPCトラストの保有する9.85%の株式は有限会社SPCトラストを受託者とする信託に割当てられた新株予約権を指し、交付基準日に同社が指定した役職員等に交付される。

その他、日本電気オービックビジネスコンサルタントラックエヌ・ティ・ティ・データ日立製作所サンブリッジコーポレーションセコム大日本印刷が名を連ねている。

※本記事のグラフ、表は新規上場申請のための有価証券報告書の部を参考

 

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