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安心安全なサイバー空間を、サイバーセキュリティクラウドのIPOサマリー

サイバーセキュリティクラウド IPOサマリー

あらゆるサービスがインターネットを通じて普及し、日常生活やビジネス面での利便性が格段に向上する中、サイバー攻撃の数は年々増加傾向にあり、過去10年間で約58倍にまで急増している。

この問題を解決するため、「世界中の人々が安心安全に使えるサイバー空間を創造する」を経営理念に掲げ、Webセキュリティ事業を展開するのが株式会社サイバーセキュリティクラウド(以下、サイバーセキュリティクラウド)だ。

2020年2月20日に東京証券取引所マザーズ市場への新規上場が承認され、2020年3月26日に上場を果たす。

サイバーセキュリティクラウドは、18歳で環境事業を手掛ける株式会社ユニファクトを創業した大野氏が、2016年に代表を引き継いでいる。2018年9月にはシアトルに子会社を設立し、従業員31人と少ない人数ながら、設立から10年目で上場に至った。

本記事では、有価証券報告書を元に同社のこれまでの成長と今後の展望を紐解いていく。

サイバーセキュリティクラウドの「二本の事業柱」

サイバーセキュリティクラウドが展開する事業には主にふたつのサービスがある。

・クラウド型WAF「攻撃遮断くん」

Webアプリケーションに対するサイバー攻撃を検知・遮断・可視化する、クラウド型のセキュリティ・サービス。

・AWS WAF(*1)の自動運用サービス「WafCharm(ワフチャーム)」

AWSが提供するAWS WAFを利用するユーザーに対して、「攻撃遮断くん」で培ったセキュリティノウハウを元に、AWS WAFのルールを自動運用するサービス。これは、Webアプリケーションに対する攻撃パターンをAIによって学習することで実現している。

ビジネスモデル同社の主要サービス「攻撃遮断くん」は、顧客に対し提供するサービスの対価を、使用した期間に応じて受領するサブスクリプション(月額課金)型モデルとなっており、継続したサービス提供を前提としている。収益構造は、ストック収益である月額課金額と、初期導入費用、個別サービスの登録や切替などのスポット費用で構成され、2018年12月期において、月額課金額がサイバーセキュリティクラウドの「攻撃遮断くん」売上高全体に占める比率は94.9%となっている。 

*1:AWS WAF = Amazon Web Services Web Application Firewallの略語

AIを用いた世界トップレベルのセキュリティ技術

サイバーセキュリティクラウドは、最先端のAI技術開発や世界トップレベルの脅威インテリジェンスの活用により、日々進化し続けるサイバー攻撃に対応する。

以下のような精度の高い技術を保有する。

1、AIによるWeb攻撃検知技術 Cyneural(サイニューラル)

ディープラーニング(深層学習)を用いた攻撃検知AIエンジンCyneuralは、Webアクセスや多くの攻撃手法の研究で培ってきた知見を活用した特徴抽出エンジンを用いている。エンジンにおける複数種類の学習モデルを構築することで、一般的な攻撃の検知はもちろん、未知の攻撃の発見、誤検知の発見を高速に行う。

2、AIによるルール自動運用最適化技術 WRAO(ラオ)

Webサイトに対するルールの自動運用技術WRAOを開発し、WAFのルール運用にかかるコストを縮小する。WRAOは、ユーザーのWebアクセスデータからWebサイトの通常時におけるアクセス傾向を学習するとともに、そのWebサイトへの攻撃特徴を予測する。これにより、モデル化されたWebアプリケーションと攻撃モデルに適合した柔軟なルールの自動選択を可能にした。

3、セキュリティリサーチャーによる脅威情報監視チーム Cyhorus(サイホルス)

サイバー脅威情報の収集とその評価、受信データのパターンであるシグネチャへの反映スピードへの要求は日々高まっている。世界有数のサイバー脅威インテリジェンス情報からの最新の情報、提携したイスラエル企業、インターネット上の情報などから効率的に情報収集を行い、正確な評価とシグネチャ作成までを同社独自チームが一貫して行う。

これらの技術を基盤とし、サイバーセキュリティサービスを開発・提供している。

需要の高まり、成長する売上高と当期純利益

同社の売上高と当期純利益の過去6年間の推移が次の図である。

売上高と当期純利益

売上高に関しては、2014年6月期から比較すると、2018年11月期で約22.6倍の成長している。この成長の背景には、主要事業である「攻撃遮断くん」の機能強化として、Webサイトからの申し込み自動化機能の開発などを実現したことが要因とみられる。

加えて、2017年12月より提供開始した「WafCharm」においても、世界のクラウド市場で47.8%のシェアを持つAWS (Amazon Web Services)に搭載されたAWS WAFの自動運用を可能にした。導入と運用の手軽さだけでなく、AWSとの連携によるAWS WAFの新機能リリースに迅速に対応した「WafCharm」の新機能の開発もあり、販売開始より多くのユーザーに利用されている。

また、売上の著しい成長が見られた2018年から2019年においては、Webセキュリティの啓蒙も含めた広告宣伝活動にも注力していた。同社サービスの認知度向上及び市場の拡大に向けた先行投資として、タレントを起用したWeb動画広告、情報セキュリティEXPOへの出展のほか、同社セキュリティエンジニアによるセキュリティレポートの強化などに取り組んでいることも一因となる。

国内クラウド型WAF市場でNo.1シェアを誇る

下のグラフは、2018年と2019年9月期までの同社サービスにおける販売高を表している。販売高直近2年の販売高は「攻撃遮断くん」、「WafCharm」のどちらも順調に増加しており、「WafCharm」は、1年足らずで約4倍と大きな実績を残した。

同社が開発したクラウド型WAF「攻撃遮断くん」は、クラウド型WAF市場で累計導入社数と導入サイト数が国内No.1となっており(2019年6月時点 ESP総研調べ)、官公庁や金融機関をはじめ、大企業からベンチャー企業まで業種や規模を問わず様々な企業で採用されている。また、2017年以降の月次平均解約率は1.1%と低い数値を維持している。

収益性・安全性が高い財務的特徴

B/Sと主要経営指標から作成した、財務状況を示した図が以下になる。財務指標の概観図を見て分かるように、売上高営業利益率とROEの高さから、収益性指標が高いことが分かる。特に注視していただきたいのが73.19%のROEだ。一般的に10%〜20%を超えていると優良企業と言われているが、サイバーセキュリティクラウドはこれをゆうに超えており、非常に高い収益指標となっている。また、安全性に関しても、流動比率が約170%で、自己資本比率が42.12%と高い水準を維持している。また、売上の成長が継続しているため、成長性も高いといえる。

資金調達情報

有価証券報告書Iの部の情報によると、同社は過去に総額約3.76億円を調達している。投資情報この資金調達により、「攻撃遮断くん」や2017年12月に発足した「WafCharm」の推進における更なるシステム開発、人材採用、マーケティングの強化を行い、利益向上の手立てとなった。

想定時価総額と主要株主

今回の公募価格は仮条件の上限となる4,500円である。調達金額(吸収金額)は3.15億円(公募価格:4,500円 × OA含む公募・売出し株式数:70,000株)、想定時価総額は103.7億円(公募価格:4,500円 × 上場時発行済み株式総数:2,305,000株)となっている。

所有株式数

上位株主は上図の通りである。総合PR会社ベクトルの香港現地法人であるVector Group International Limited(ベクトル香港)が筆頭株主であり、全体の約16%の株式を保有する。次いでオークファンGMCM Venture Capital Partnersが名を連ねた。

同社の代表取締役である大野氏は第六位株主となり、全体の約5%の株式を保有する。また、第四位株主である西江肇司氏はベクトルの代表取締役、第五位株主の武永修一氏はオークファンの代表取締役を務める。

我々の生活において、インターネットが分かつことのできない関係にある中、サイバーセキュリティの需要は今後も高まり続けるだろう。クラウド型WAF市場において日本No.1シェアを保持する同社によって、Webセキュリティ対策が当たり前に行われる世の中が来る日も、そう遠くはない。

持続的な成長が見込まれる領域において事業展開を行うサイバーセキュリティクラウド同社が上場後にどのように成長していくかに期待したい。

※本記事のグラフ、表は新規上場申請のための有価証券報告書Ⅰの部を参考

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