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恋愛課金型ゲームアプリ&Webメディア事業を展開、colyのIPOサマリー

恋愛課金型ゲームアプリ「ドラッグ王子とマトリ姫」や女性向けシナリオ×パズルゲーム「スタンドマイヒーローズ」などを運営する株式会社coly(以下、coly)が東京証券取引所マザーズに上場承認された。承認日は2021年1月21日で、同年2月26日に上場を果たす。

colyは、“もっと、面白く”という企業理念を掲げ、人間の精神を、延いては社会をより一層豊かにするために面白いものを集め、知り、創り出すという使命のもと、モバイルオンラインゲームを軸とした女性向けコンテンツ開発を行っている。

双子の姉妹である外資系証券会社出身の中島瑞木氏と産業経済新聞社出身の中島杏奈氏によって2014年2月に共同創業され、姉の瑞木氏はビジョン戦略および組織戦略を統括し、妹の杏奈氏はマーケティング戦略およびコンテンツ戦略全般の統括をしている。創業からおよそ7年での上場となる。

本記事では、新規上場申請のための有価証券報告書の部の情報をもとに、同社のこれまでの成長と今後の展望を紐解いていく。

売上高は右肩上がり。過去5年間で24倍に成長

上図は過去6年間の売上高と営業利益の推移である。2020年1月期の売上高は2016年1月期からの5年間で約24倍に成長した。さらに、2020年10月期の時点で売上高40億3,814万円と、前年通期の数値を大きく更新していることがわかる。

新型コロナウイルス感染症の蔓延による緊急事態宣言発出の影響で、MD(マーチャンダイジング)の対面販売イベントの一部中止や縮小、経済活動そのものの低迷など市場環境の悪化があったものの、対面販売イベントの通信販売を用いたオンライン化などの対策を迅速に講じ、変化に対応した。また、早期に在宅勤務体制に移行したことでモバイルオンラインゲームの開発・運営に大きな影響を受けず、安定して事業運営を継続することに成功した。

営業利益については、情報が開示されている2019年1月期から継続して利益を上げており、2020年10月期時点では、12億1,065万円となっている。2019年1月期から2020年1月期にかけての営業利益の減少は、新規タイトルの開発にかかる研究開発費や広告宣伝費など、将来の収益獲得に向けて積極的に先行投資を行ったことによるものである。

女性向けモバイルオンラインゲームの開発・運営が事業の柱

同社はエンターテインメント系ネットメディアの運営を目的として2014年に創業された。現在はモバイルオンラインゲームの企画、開発および運営を軸に事業を展開しており、コンテンツ事業を単一セグメントとしている。

(1)モバイルオンラインゲーム開発・運営
主にAppleおよびGoogleが運営する各プラットフォームにおいて、モバイルオンラインゲームの提供を行う。基本的にダウンロードや月額基本料は無料で提供し、一部アイテム課金制を採用している。

同社の主な提供タイトルは、以下の通り。

ドラッグ王子とマトリ姫:新人マトリ(麻薬取締官)である女性主人公(ユーザー)とパートナーである男性捜査官との恋愛サスペンスストーリー。好みのパートナーごとにストーリーを選択して購入する、「夢女子」層向けノベルゲーム。

スタンドマイヒーローズ:新人マトリである女性主人公(ユーザー)が、捜査組織に男性キャラクターをスカウトし、未解決事件に挑む内容がメインストーリーとなっている。主人公とキャラクターとの恋愛ストーリーをパズルをクリアすることで読み進める、「夢女子」層向け恋愛パズルゲーム。

オンエア!(注1):声優養成学校の特待生として入学する女性主人公(ユーザー)が登場キャラクターとともにスター声優を目指して学園生活を送る内容がメインストーリーの育成ゲーム。男子中高生の青春を意識した世界観から、男性キャラクター同士の恋愛・友情要素を嗜好する「腐女子」と呼ばれる層をメインターゲットとしつつ、「夢女子」層も惹きつけるコンテンツとなっている。

魔法使いの約束:魔法使いと人間が共存する異世界に辿り着いた主人公(ユーザー)が、賢者として魔法使いとともに世界を守る内容がメインストーリーのファンタジー育成ゲーム。女性向けモバイルオンラインゲームにおいて本格ファンタジーを冠する作品が少ない中、ファンタジーが好きな層の受け皿になっている。また、主人公を女性男性の選択制としたことで、「腐女子」層をメインターゲットとしつつも、幅広い層からの支持を獲得している。

(2)MD(マーチャンダイジング)

グッズ販売:同社が開発したモバイルオンラインゲームに登場するキャラクターを使用し、グッズの企画、販売などを行う。通信販売だけではなくゲーム・アニメ関連イベントにおける対面販売、実店舗を有する企業との契約による委託販売や卸販売も展開している。

IP利用許諾:同社が保有しているIP(注2)を、アミューズメント事業を運営するバンダイナムコアミューズメントやカラオケルーム「カラオケの鉄人」を運営する鉄人化計画などとライセンス契約を締結。ロイヤリティ収益やマーケティング機会の獲得にも注力している。

注1:オンエア!は2020年10月30日(金)をもってサービスを終了。
注2:Intellectual Property(知的財産)の略で、ゲーム業界ではゲームの版権(著作権)を指す。

「魔法使いの約束」が大きく成長。売上高の53%を占める

タイトル別の売上高に注目してみると、2019年11月にリリースされた「魔法使いの約束」が市場に浸透し、大幅に成長していることがわかる。今後も既存コンテンツの底上げと新規コンテンツのリリース等の施策を実施することで、当該コンテンツへの依存度を低減していく方針である。

同社は女性向けモバイルオンラインゲーム市場のユーザーを、主人公(ユーザー)と登場キャラクターとの恋愛要素を嗜好する「夢女子」と呼ばれる層と男性キャラクター同士の恋愛・友情要素を嗜好する「腐女子」と呼ばれる層の2つに大別できると考えている。モバイルオンラインゲーム開発の一部は外部クリエイターに委託しているが、企画段階から女性向けコンテンツ創作の実績がある著名なクリエイター陣の関与を受けており、両方の層にアプローチ可能な独自の開発体制を整えている。

大型ヒット作の恩恵を受け、国内女性向けゲーム市場は拡大の予測

同社が属する国内スマホゲーム市場は2012年より拡大し、2014年以降は緩やかに成長している。KADOKAWA Game Linkageの「ファミ通ゲーム白書2020によると、国内オンラインプラットフォームゲームコンテンツ市場規模は2021年には前年比100.2%の1兆2,720億円まで拡大が見込まれ、今後も底堅く推移することが予想されている。

また、国内女性向けゲーム市場は2016年より急激に拡大し、2019年の市場規模は約700億円と想定されている。しかし2020年に入って複数の大型ヒット作が登場したことで、市場に対する認知度向上と本格的な市場の拡大に繋がっているため、同社は市場規模は約800億円を超えて成長すると予想している。

今後は、競争の激化により高い製品品質が求められるようになると想定されるが、さらなる有力タイトルの出現などにより女性向けアプリの認知度が高まった場合には、マーケットの急激な拡大も生じる可能性があるとしている。

3つの経営戦略を打ち立て、世界をもっと、面白く

同社は基本戦略として以下の3つを掲げている。

①販売基本戦略
②開発・運営基本戦略
③組織運営基本戦略

販売基本戦略としては、既存タイトルの安定運営や大型タイトルのコンスタントな市場投入、中小規模タイトルの拡充を掲げ、商品ラインナップ拡充などによる収益最大化を図っている。

開発面においては、ターゲット層を絞り込み、1つ1つの作品の品質を高めることや次タイトル創出に向けた開発投資拡大に注力している。

組織運営戦略の運営戦略として、広報体制の強化や内部管理体制及びリスク管理体制強化を図る方針だ。

また、企業価値を向上させ株主価値を高めることが重要であるという考えを根底に、事業規模を拡大し収益性を向上させることが経営上重要であるとしている。そのため、客観的な経営指標として、売上高と営業利益を採用している。

ターゲット層の拡大とコンテンツラインナップの充実が、今後の成長の鍵

同社は取り組むべき課題として以下の7つを挙げている。

①ターゲット層の拡大
②コンテンツラインナップの充実
③ユーザー獲得の強化
④適正な配信プラットフォームの選択
⑤システム技術・インフラの強化
⑥コンテンツ事業における領域拡大
⑦優秀な人材の確保と組織体制の強化

「夢女子」や「腐女子」を含むゲーム市場は拡大傾向にあるものの、国内スマホゲーム市場の規模からするとニッチであるため、同社はさらなる事業拡大のため、ターゲット層の拡大が必要であると考えている。そのため今後は、自社コンテンツの未利用ユーザーに向けたSNSを含むメディア媒体への露出強化に加え、アニメ化、舞台化、コミカライズなどを利用した広報活動を行ってゆく方針だ。

想定時価総額と上場時主要株主

上場日は2021年2月26日を予定しており、上場する市場は東証マザーズとしている。また、みずほ証券が主幹事を務める。

今回の想定価格は、3,930円である。調達金額(吸収金額)は59.9億円(想定発行価格:3,930円×OA含む公募・売出し株式数:1,524,900株)、想定時価総額は、208.4億円(想定発行価格:3,930円×上場時発行済株式総数:5,304,000株)となっている。

公開価格:4,130円
初値:8,450円(公募価格比+4,320円 +104.6%)
時価総額初値:448.18億円※追記:2021年2月26日

筆頭株主は、同社代表取締役社長の中島瑞木氏と代表取締役副社長の中島杏奈氏がそれぞれ45.0%、次いで、取締役事業本部長の佐々木大地氏が10.0%を保有する。

ベンチャーキャピタルなどの外部投資家は参加しておらず、資本提携の締結、ストックオプションの発行も行っていない。

※本記事のグラフ、表は新規上場申請のための有価証券報告書の部を参考

 

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