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トレンドメディアの王者、C ChannelのIPOサマリー

「人と技術の力で 笑顔を作り 世界を元気にする」という想いから生まれたC Channel株式会社(以下、C Channel)。2014年7月に代表取締役の森川亮氏を中心に創業、トレンドを生み出す世界NO.1メディアを目指し、女性向け様々なの事業を展開している。

新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により次々と企業の上場が中止されていく中、同社は2020年5月8日に東京証券取引所TOKYO PRO Marketへの新規上場が承認され、2020年5月25日に上場を果たす。

本記事では、上場に係る発行者情報を元に同社のこれまでの成長と今後の展望を紐解いていく。

プロ向け市場、TOKYO PRO Marketとは?

市場規模と売買代金の大きな東証一部二部、それに次ぐマザーズやJASDAQなどの新興市場への上場が活発な中、比較的馴染みの薄いTOKYO PRO Marketだが、一体どのような市場なのだろうか。

TOKYO PRO Marketは、2008年の改正金融商品取引法により導入された「プロ向け市場制度」に基づき、国内外のプロ投資家に新たな機会を提供することを目的として2009年に開設された株式市場だ。制度上、一般投資家の買い付けは禁じられており、その分資金の流動性は低く、上場の際に資金調達がしづらい。しかし、上場に係る形式基準がなく、維持準備コストも低いため、スピーディな上場を可能にするというメリットがある。

新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により東京証券取引所への上場中止や延期が多発している中、C Channelの既存投資家がいかなる出口戦略を描いているかに注目ができる。

2019年にTOKYO PRO Marketへ新規上場した企業は計9社で、直近では総合人材サービスの株式会社エージェントや自動車のアフターマーケット領域で事業を展開するカレント自動車株式会社などが上場している。

また本件では、上場手続き審査の担い手であるJ-Adviserは、当該市場への案件を最もこなしてきたフィリップ証券が務める。

C Channelの「3本の事業柱」

C Channelの展開する事業は大きく3つのセグメントから構成されている。

アパレルや美容系商品などの商品の販売を行う「eコマース事業」、女性向け動画メディア『C CHANNEL』やSNS上で影響力を持つインフルエンサーのマッチングやマネジメントサービスからなる「メディア事業」、メディア事業とeコマース事業で展開する各種サービスを海外向けに展開する「海外事業」とに分類される。

メディア事業

①広告サービス(ネイティブ動画広告・純広告/アドネットワークサービス・イベント開催など) 

同社が展開する『C CHANNEL』は、女性の「知りたい」を1分で解決する日本最大規模の女性向け動画ライフスタイルメディアとして、主にF1層(20~34歳の女性)を中心に、女性の最も関心のある話題に焦点を当て、約1分間の動画で紹介している。 その他、ママ向け動画メディア『mama+』において企業の商品やサービスを紹介する動画広告コンテンツの企画、制作、配信を行うネイティブ動画広告がある。

広告サービスにおける主なマネタイズの仕組みは、下記の5つが挙げられる。 

a) ネイティブ動画広告
クライアント(広告主)のサービス・商品にマッチした縦型とスクエア型の動画を制作し、『C CHANNEL』 及びSNS公式アカウントから配信を行う。また、クライアントが保有するTVCM等の動画素材を紹介するサービスも備えている。

b) 純広告/アドネットワーク
主にアプリ/WEBのトップ画面の上位に表示されるトップバナー広告、タイムライン上にランダムに表示されるインリード広告、動画の再生前後に表示されるインストリーム広告によって構成されている。これらの広告が閲覧されるごとに、広告主に課金される仕組みとなっている。 

c)イベント開催
『C CHANNEL』は、女性の「知りたい」をHow To動画で提供するサービスだが、これをイベントスペースを利用して実際に体験できる体験型のサービスとして、『SUPER C CHANNEL』を提供している。 

d) サンプル販売
女性向け商品を企業から受け取り、お試しとして安価でユーザーに販売する事業である。当事業は広告宣伝費を持たない企業でも実施出来るため新規顧客の開拓につなぐことができる。 

e) 動画制作
女性向けの商品やサービスを販売する会社が運営するSNSや広告向けに動画を制作し配信する事業。 同社が持つ様々な動画制作のノウハウと、商品やサービスを試して購入を促進させるクリエイティブな制作能力を生かした事業となっている。

②インフルエンサーマーケティングサービス 
同社では、“クリッパー”(同社が公式に認めたインフルエンサーのこと)と呼ぶ同社所属のインフルエンサーを活用して、企業の商品やコンテンツを実際に利用してもらい、そのプロセスや体験を投稿してもらう広告手法としてインフルエンサーマーケティングサービスを提供している。

eコマース事業

eコマース事業は、連結子会社である株式会社マキシム(以下、マキシム)が行っており、D2Cを中心としてインフルエンサーや有名人を活用した人軸コマースと、動画のメディア力を生かしたコマース(動画コマース)を中心に事業を展開している。前者は主にアパレルを中心として『KOBE LETTUCE』や『Isn’t She?』、『N WITH.』というブランドを通して販売し、後者は主にコスメ商品や美容機器などを中心として『BELL PALETTE』を通して販売している。

海外事業

2020年5月時点で、同社はアジアの6つの国・地域(中国、インドネシア、フィリピン、シンガポール、マレーシア、ベトナム)で事業を展開し、そのうち中国、インドネシアにおいて現地法人を設立し以下の体制で運営している。

海外事業の特徴としては、大きく東アジア地域(中国)と、東南アジア地域(インドネシア、シンガポール、マレーシア)で分類される。東アジア地域では、『C CHANNEL』のメディアを軸として、ネイティブ広告、eコマース、インフルエンサーマーケティングサービスを幅広く展開している。一方、東南アジアについては、ネイティブ広告を主力製品としながらも、イベントやインフルエンサーマーケティングサービスを絡めた商品販売を展開。取り分けインドネシアにおいては、同社が独自に開発したツールによりインフルエンサーマーケティングサービスが好調に成長している。

動画メディアの雄、C CHANNELの強みとは?

『C CHANNEL』の事業としての強みは、以下の4点が挙げられる。

①女性をメインターゲットにした縦型動画メディア 

②自社メディアであるWEBアプリだけでなく各SNSからも情報発信する分散型メディアとしてのリーチ力 

③自社コンテンツを制作するコンテンツメディアとして、情報発信及び女性が求める様々なジャンルをHow To動画で紹介 

④日本発のメディアとしてアジアでも拡大するグローバル展開 

『C CHANNEL』は国内F1層を中心に、月間3,000万回以上リーチし、女性たちが月間84万時間、視聴している。また、動画メディアとして日本最大級のフォロワー数とエンゲージメント数を誇り、幅広く情報をリーチする分散型メディアとして事業を拡大続けている。(C Channel調べ

同じ動画メディアでサービスを展開する企業には、料理レシピの動画を配信する分散型メディア「kurasiru(クラシル)」の運営する株式会社delyや料理メディア「DELISH KITCHEN」、美容メディア「KALOS」を運営する株式会社エブリーなどスタートアップがひしめいている。

売上高の大半を占めるeコマース事業

C Channelの売上高は堅調に推移している。FY2018年からFY2019年にかけておよそ41%の売上高成長率を記録しており、1年間で約52.5億円から約74.5億円に売上高が伸びている。2019年の第3四半期時点で売上高が約57.5億円に達しており、当期純損失は徐々に減少していることが読み取れる。これらは広告売上の増加と実店舗・アパレル企画・アプリなどの事業を展開しているマキシムの売上が堅調に推移したこと、日本の化粧品メーカーのデジタルの広告宣伝活動やECのコンサルティング、ECの運営委託業務などを行っている中国のLUCE Networksのグループ化に成功したことが要因と考えられる。

また2020年3Qの売上高の内訳は、eコマース事業が約75%、メディア事業が約18%、海外事業が約7%となっており、同社はeコマースを基幹事業としていることがわかる。

堅実な安全性を誇る財務指標

B/Sと主要経営指標から作成した、財務状況を示した図が以下になる。

図から、まず流動比率、自己資本比率が高く、安全性に長けていることがわかる。流動比率は150%を超えていれば優良、自己資本比率は40%を超えていれば、倒産しにくいといわれている。

成長性において、売上高成長率は申し分なく、当期純利益伸び率はマイナスだが当期純損失が徐々に減少していることから、IPO後の成長も見込めるだろう。

C Channel、上場までのファイナンス情報

STARTUP DBのファイナンス情報によると2015年以降の調達が記載されている。2015年から上場に至るまで、10回の調達を行っており、合計約107億9200万円の資金を集めている。

孫正義氏が会長を務めるソフトバンクグループは、2016年のシード期から投資を開始しており、直近の2020年3月の調達にも追加投資を行っている。その他、有限責任組合を含むベンチャーキャピタルからの調達が多いことも特徴として挙げられるだろう。

調達した資金の用途は主に既存事業の拡大に使われており、全てエクイティによる調達となっている。このスケールは未上場企業における、合計資金調達金額の平均(*1)からみても規模が大きいことがわかる。

また同社は、公募での調達や売出しを行わない直接上場となっている。

*1:STARTUP DBより、およそ7億4356万円

想定時価総額と上場時主要株主

上場時の想定時価総額は公募売出しともに行わないため不明だが、2020年3月25日の第三者割当増資は1株あたり80万円で、翌26日に1,000分割をしているため、1株あたり800円となる。有価証券報告書提出時の想定時価総額は約229.77億円(発行価格:800円 × 発行済み株式総数:28,722,000株)となっている。上位株主は上図の通りである。主要株主には通信インターネットサービスを展開するソフトバンク、代表取締役社長 森川亮氏の資産管理会社であるONE STEP、日本最大級のベンチャーキャピタルであるジャフコが名を連ねる。それに続くIWAIは同社取締役 三枝孝臣氏の資産管理会社となっている。

第4位株主にはITアウトソーシングのトランスコスモス。同社は過去に、東証マザーズに上場したフィードフォースジーニーへの投資実績がある。その他、フィンテックのウォッカラブロックなどのスタートアップに投資をしている。

また東アジアへの海外事業を展開していることもあり、中国のLC Fundが3.33%を保有している。

C Channel、4つの戦略で事業拡大へ

C Channelの今後の戦略としては大きく4つを挙げている。

①積極的投資事業における選択と集中による事業の選別
投資事業について、同社グループとのシナジーが期待できない事業、また収益化が困難と判断した事業について素早く損切りする見通しを立てている。また早期収益化の実現を掲げた。同社の事業とシナジーのある会社と積極的に業務提携を締結し、事業の拡大を図る。

②経費の削減
同社の強みを確保した上で、外注費などの売上原価、販売費及び一般管理費の削減に努め収益性の改善に注力していく方針だ。

③資金調達や資金繰りの安定化

④基盤収益事業の強化による売上維持・拡大
メディア事業としては、総クライアント数の増加と大型契約のクライアント数の増加、ユーザー満足度の高い機能を追加することによるユーザーの購買行動の上昇などの施策を講じる。eコマース事業では韓国ファッションのセレクトショップ『Isn’t She?』韓国の化粧品や美容器具にEC販売の拡大を進め、海外事業では、海外向け『C CHANNEL』 事業の運営、中国における美容EC及び美容メディア事業の運営などの成長を推進していく。新型コロナウイルスの影響で外出自粛の要請が始まり、日本に限らず世界のECマーケットの利用が加速している。こういった市場の後押しもあり、当該事業の拡大に期待ができる。

5Gの波が来ると予想される中、動画メディアの未来は明るい。多くの女性の心を掴んできたC Channelが上場後どのように成長していくかに期待したい。

※本記事のグラフ、表は上場に係る発行者情報を参考

C Channel代表、森川亮氏のインタビュー記事はこちらから
https://media.startup-db.com/interview/cchannel

 

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