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平均15%成長のSaaS市場、日本発のAI×SaaSスタートアップとは

平均15%成長のSaaS市場、日本発のAI×SaaSスタートアップとは

日本で、SaaS市場が伸びている。

Salesforceや、Dropboxなどに代表されるようなSaaSの市場は、大きな成長を見せている。日本国内における2016年のSaaS市場の市場規模は、前年から15%の成長を遂げ(*1)、3,027億円となった。また、会計を扱うSaaSを提供するマネーフォワードが2017年に大型のIPOを果たすなど、SaaS事業社は存在感を増している。

*1: 富士キメラ総研(2017)「ソフトウェアビジネス新市場 2017年版」より

今後も動向に注目したいSaaS市場であるが、近年ではSaaSにAIを組み込んだサービスも多く登場している。本記事では、AI×SaaSサービスを展開するスタートアップについて調査する。

幅広く応用されるSaaSの今

総務省による調査(*2)によれば、2017年時点で日本国内の約6割の企業が、何らかのSaaSによるサービスを利用していることがわかっている。さらにその市場規模は、2016年には3,027億円であるのに対し、2021年までには、その約2倍である5,752億円にまで成長することが見込まれている。

SaaSが注目される理由は、業務効率を向上させる点はもちろん、クラウド上でソフトウェアを管理できるためどこからでもアクセスが可能になる点、サブスクリプションモデルで始めやすくやめやすい点などが挙げられる。

*2: 総務省(2018)「平成29年通信利用動向調査(企業編)」

SaaSにAIを活用すると、業務効率化に加え、生産性向上に貢献することができる。そこでSaaSにAIを用いるスタートアップが増えている。

では、日本の生産性向上に貢献するAI×SaaSを開発するスタートアップを6つの領域に分けて紹介しよう。

【サプライチェーン】

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製品を持つ企業にとって、生産管理、販売管理、在庫管理などを正確に行うことは極めて重要な課題である。しかしサプライチェーン管理は、需要予測の難しさ、人為的なケアレスミスなどが発生するリスクと常に隣り合わせだ。それらのサプライチェーン管理における課題を解決するAI×SaaSスタートアップがある。

サプライチェーン管理に、SaaSを導入することで、業務正確性の向上、業務効率の向上を実現することができる。

Panair Cloud (パネイル)

パネイルが開発する「Panair Cloud」は、電力小売業者向けのSaaS。AIとBigDataを活用し、電力流通コストを大幅に削減することができる点が大きな特徴だ。

2016年に、日本国内では電力の自由化が行われ、電力業界に多くの新たな電力小売り事業者が参入した。それらの企業に対してパネイルは、「Panair Cloud」を提供。これまで手動で行われていた電力の需要予測や、電気料金請求を自動化することで、大きな業務改善をもたらした。これまでに東京電力との合弁子会社設立、31億円超の資金調達を達成しており、要注目のスタートアップである。

Loogia (オプティマインド)

Loogiaは、配送事業者向けのクラウドの配車・配送計画システム。機械学習により、どの車両が、どの訪問先を、どの順に回るかを計画し、その配送ルートを提供することができる。これにより、人材不足やコストの高騰などが進む物流業界のコストを削減することができる。これまでに卸売業者、宅配・引越し業者、清掃業者、タクシー会社などへの採用実績を持つ。

【人事】

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AI×SaaSを手がけ、人事領域を扱うスタートアップも存在している。彼らのサービスでは給与の計算や、労務管理などの作業をより楽に、正確に行うことを可能にする。

人事に関わるAI×SaaSを導入することで、一般に年末調整や経理、採用にかかる時間を大幅に削減することができ、より生産性の高い働き方を推進することができる。近年では働き方改革法案が可決されたことにより、大企業などでも導入が進められている領域である。

では、どのようなスタートアップがAI×SaaSサービスを人事領域で提供しているのだろうか。

HR君 (エクサウィザーズ)

「HR君」は、人事担当者向けのAIをフル活用した人事サポートサービス。人材の採用から退職までにかかる人事業務を、全て人工知能で自動化させることができる。具体的には、書類審査の自動化や、担当人事の最適配置、スキルアセスメントから360°評価まで行うことができる。効果的なデータ活用と、シンプルな操作性が特徴。静岡大学客員教授、東京大学政策ビジョン研究センター客員准教授を務める石山CEOの元で事業を展開し、2018年3月には約9億円の大型調達を実施し注目を集めるスタートアップである。

SmartHR (SmartHR)

「SmartHR」は、煩雑で面倒な労務手続き・労務管理をスマートにするクラウドサービス。SmartHRが、2013年より提供している。労務に関わる各種書類や、従業員情報の一元管理などを自動で行うことができ、AIを用いた書類の作成も行うことができる。2018年10月時点では、15,000社にのぼる企業が導入済。サービスの月次継続利用率は99.6%を達成しているなど、労務管理SaaS市場では存在感を示している。

人事労務 freee (freee)

「人事労務 freee」では、人事労務管理をクラウド上で全て完結することができる中小企業向けプラットフォーム。AIを用いて、勤怠管理や残業代の計算から、年末調整まで人事労務に関わる業務をミスなく、自動で行うことができる。グーグル出身者などを中心に設立された企業で、これまでに161億円以上の大型資金の調達に成功している。

HRBrain (HRBrain)

「HRBrain」は、従業員の目標を管理して、従業員を評価することができるサービス。機械学習技術を用いて、退職しそうな社員を導き出し、適切なサポートを行うことができる。また、面談者のスキルチェックといった 人材の採用・育成・分析といった領域にも、取り組む。2018年8月には、サイバーエージェントやDMM.comといった大企業からAnypayやyappliといったスタートアップに至るまで計300社に導入された。

【財務・会計】

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次に、AI×SaaSで財務・会計を扱うスタートアップを紹介しよう。財務・会計にAI×SaaSを活用することで、複雑な会計業務を簡単かつ正確に行うことが期待される。

法人向け会計ソフトfreee (freee)

「中小企業・法人の経理・経営をもっとラクに」をテーマに、人事労務などから会計などまで、経営に関わるソフトを提供するfreeeによる会計のSaaS。AIを用いて、会計数値の自動計算などを行い、会計業務の効率化を実現している。特徴としては、G SuiteやSalesforceなど多くの外部サービスとの連携が可能となっているほか、全国の金融機関とパートナーとして提携し、中小企業をサポートすることなどが挙げられる。2018年3月には、導入事業所数が100万件を突破した。

MFクラウド会計 (マネーフォワード)

「MFクラウド会計」では、面倒な会計業務の自動化はもちろん、税法改正などの、自動アップデートにも対応している。「MFクラウド会計」に精通した税理士を無料で紹介してもらうことも可能で、会計業務のサポートを受けることができる。さらに、AIがビッグデータを基に勘定科目を提案。「MFクラウド会計」は、使えば使うほど賢くなって、自動入力・自動仕訳がどんどん楽になることも特徴的である。複数回の資金調達に成功しており、総額は42億円を超える。2017年9月には、東京証券取引所マザーズに上場を果たした。

【営業・マーケティング領域】

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営業やマーケティングをAI×SaaSで支援するスタートアップを紹介する。営業・マーケティング支援のSaaSでは、Salesforceなどが有名だが、日本発でも急成長するSaaSがある。

営業・マーケ領域のSaaSを使用することで、営業先やマーケティング手法の最適化などを図ることにより、一般的に業務改善を見込むことができる。

CELLOR (PKSHA Technology)

「CELLOR」は、PKSHA Technologyが開発するリアル店舗を持つ法人向けのデジタルマーケティングツール。アプリや広告の効果測定、改善を機械学習を用いて行う。どのようなタイミングでクーポンを出せばいいかなどの提案や、自社アプリの効果的な運用をサポート。顧客との関係構築により、ロイヤル顧客を育てることができる。

2017年9月に、東証マザーズに上場した注目のAI企業である。

【データ分析・その他】

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その他、AIを用いてSaaSを開発するスタートアップを紹介する。

BizteX cobit (BizteX)

「BizteX cobit」は、BizteXが手がけるクラウド型RPAサービス。同サービスでは、定型業務を指示するだけで、人間に変わって自動でエクセル作業などのオフィス業務を行うことができる。自分でロボットを簡単に作ることができるので、様々な業務に対応することができる。専門知識不要で、誰でも利用することができ、また人的ミスを最小化させることができる。2017年7月のサービスリリース後、1年でトライアルアカウント数1,150件以上、作成されたロボット数は4,200体を超えている。

Flax Scanner (シナモン)

「Flax Scanner」は、非定型帳票に対応した自動読み取りシステム。請求書など、取引先毎にレイアウトが異なる非定型帳票でも、各項目の特徴を学習させることで、対象項目を自動読取することができる。ニューラルネットワーク技術を用い、マシンにディープラーニングをさせる事によって最終的には99%以上の精度で正確な読み取りを実現する。

ABEJA Platform (ABEJA)

「ABEJA Platform」は、AIの継続的なインテグレーションに必要なパイプラインを包括的に提供するAIプラットフォーム。「ABEJA Platform」導入企業は、AI導入工程における①取得、②蓄積、③学習、④デプロイ、⑤推論・再学習のプロセスに必要なインフラや周辺システム等を利用でき、AIやディープラーニング実装時の導入効率を大幅に向上させることができる。

日本で求められるAI×SaaS

少子高齢化となり労働力が不足している中、業務の効率化を図ることは必要不可欠となっている。働き方改革法案が可決され、多くの企業が業務の見直しを進める中、AI×SaaSの導入は今後も進んで行くことが予想される。

上記で述べたように、AI×SaaSはサプライチェーン管理から営業管理まで、幅広い範囲の業務に対応するようになった。

新しいサーバ設置費用などの初期費用を必要としないSaaSは、大企業だけでなく中小企業も導入がしやすい。日本全体の生産性を向上させることが期待されるAI×SaaSのサービス、スタートアップ成長に要注目である。

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