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「志勇礼誠」──サムライインキュベートが六本木で抱く、新たな覚悟

「志勇礼誠」──サムライインキュベートが六本木で抱く、新たな覚悟

「我々は、全人類の幸福を最速で実現させる開拓者として、本気でイノベーションを起こしたい人、組織、国と伴走する」

サムライインキュベートのWebサイトのトップページには、こんな宣誓がある。高い志なくしては実現できない、難度の高い挑戦に取り組んでいるためだ。

六本木一丁目駅の出口を出てすぐ、森ビルが所有するリノベーション物件に「SAMURAI HOUSE -INCUBATION-」を構えたサムライインキュベートは、今、新しい覚悟を胸に事業を展開している。

その想いを、代表の榊原氏に尋ねてみた。

■榊原健太郎(さかきばら・けんたろう) ー1974年愛知県出身。関西大学を卒業後、大手医療機器メーカーを経て、アクシブドットコム(現:VOYAGE GROUP)に入社。外資系の広告代理店を経た後、2008年、サムライインキュベートを創業。代表取締役に就任し、現在に至る。
■榊原健太郎(さかきばら・けんたろう)
ー1974年愛知県出身。関西大学を卒業後、大手医療機器メーカーを経て、アクシブドットコム(現:VOYAGE GROUP)に入社。外資系の広告代理店を経た後、2008年、サムライインキュベートを創業。代表取締役に就任し、現在に至る。

シードフェーズの「国」にも、投資していくサムライインキュベート

シードフェーズの「国」にも、投資していくサムライインキュベート

これまで、練馬区・小竹向原、天王洲アイルと拠点を移してきたサムライインキュベート。今、六本木一丁目に改めて拠点を構えたのは一体なぜか。

榊原「きっかけは森ビルの飛松さん。練馬でSAMURAI HOUSEを運営していた10年前から懇意にして頂き、いつかご一緒したいとの想いから今回の物件もご提案を頂いた。物件を見た瞬間に惚れました。そして、結果的にサムライインキュベートが11年間培ってきたブランドとそのパワーを、スタートアップ・VC・大使館・外資系のコンサル企業・大企業が日々闊歩するこの場所でより発揮したいと思い、移転を最終的に決意しました。」

人の交差する街に行こう。そう考えたのは、榊原氏の中で、作りたい世界が明確になったからだという。ただのVCとして在るのではなく、サムライインキュベートがサムライインキュベートである所以を考えた末の結論だ。

榊原 「今まで、サムライインキュベートはスタートアップに対する投資・支援事業がメインでした。今後は、その方針の延長線上としてシードのスタートアップだけでなく、僕らが投資・支援事業を行うのは、アフリカを中心としたシードの国です」

スタートアップという企業単位で見るのではなく、世界全体を俯瞰的に眺めるのだそうだ。各国を企業と見立てたときに、今後さらなる成長が期待される国──言うなれば、アフリカを中心としたシードフェーズの国を支援する体制も念頭に入れていくのだという。

榊原 「日本は、敗戦を経験していますが、74年が経過した今豊かな国へと成長を遂げています。それは、強い志を持って成長に貢献した人材がいたからだと考えているのです。僕らが現在、投資を行なっているイスラエルは、成長できるだけの土壌があるにも関わらず、誰も目を向けていない。凄まじい成長スピードで国を豊かにした日本には、相応のノウハウが溜まっているはずなのに、誰ひとりとして他国で活かそうとしていないように見えるのです」

イスラエルを始めとした中東やアフリカの国々では、ビジネスを行うための土壌整備が課題とされている。決済、居住など、生活面で当たり前とされるインフラすら存在しないことだってあるからだ。

ビジネスを興すことを考えたとき、まだ未発展の地を、成長させることにこそやりがいがあると榊原氏は考えていた。

VCは、スタートアップと大企業とをつなぐ商社的なフェーズにある

VCは、スタートアップと大企業とをつなぐ商社的なフェーズにある

それでは、日本が74年間で培ってきたノウハウとは具体的になんだろうか。榊原氏いわく、それは「産業の創り方」だと語る。

榊原 「日本にはあって海外にあまりないもの。そのひとつが商社です。なぜ日本の製造メーカーがグローバル化できたか、それは商社の方々が世界を開拓し、日本や世界各国で、投資・トレーディングを通じ、産業のバリューチェーン構築の一翼を担ったことが大きな要素だと思っています。一方で、日本のITサービスは商社のリアルに開拓するという機能にまだうまく合致してないので、グローバル化が進むのが遅くなっているのではないかと思っています。そういった意味でサムライインキュベートの今の役割は、日本のスタートアップだけに限らずに海外のスタートアップも支援し、日本の大企業との連携を加速することにより、スタートアップを世界にスケールさせると同時に、更に日本の大企業も世界にスケールさせ、新たな産業を生み出すことができる新しい商社のような形だと思っています」

VCは、スタートアップと大企業とをつなぐ商社的役割を持つ。榊原氏は、自らの仕事をそう捉えていた。投資を検討してイスラエルへと渡った際にも、商社の必要性について強く実感したのだという。

榊原 「イスラエルに行ったとき、日本の大手商社が現地とのパイプとなり、日本の自動車メーカーに対して、販売機能のみならず、船舶機能を有し運搬を行っていたりと、各所のバリューチェーンに入り込んで居たんです。
 
商社が間に立つことで連携できるものは非常に多いんですね。メーカーひとつ取っても、商社がいることでグローバル展開できると考えられます」

リアルなものは、商社が海外の国々へと開拓し、バリューチェーンを構築し販売まで持っていく。ところが、目に見えないITサービスは、いったい誰が運ぶのか。

その答えが、VCなのかもしれない。VCは、大企業とスタートアップをつなぐ商社でもあり、企業と海外とをつなぐ商社でもある。VCの機能とは、単なる投資や事業支援だけにはもはや留まらない。

榊原 「ITサービスは、見方を変えると、人の手を介すことなくある程度は広まるものかもしれません。ところが、人が間に入ることで、価値が正しく遠くまで届いていくとも思っています。
 
74年間で成長してきた日本のノウハウや歴史を、どのように海外でも活かしていくのか。必要とされているはずなのに、まだまだイスラエルやアフリカの国々では情報が伝わっていないわけです。
 
危険だから、わからないから、成功するかどうか不安だからと前に進むことをやめるのは簡単です。でも、あえて僕らが先陣を切って、海外へと出ていく。日本のVCとしてできることは、まだまだ多いのではないかと思っています」

「志勇礼誠」の言葉を胸に、高い志を持つ起業家を増やしたい

「志勇礼誠」の言葉を胸に、高い志を持つ起業家を増やしたい

榊原氏は、今回の移転に伴い、新たな思想で事業に取り組むと宣言した。それが「志勇礼誠」だ。それぞれの言葉には、こんな願いを込めていると語る。

:常に遥かに高い志を持つこと
:世のためになることに勇気を持って率先して取り組むこと
:今の日本を作ってきた人々、これから生まれてくる人々を含むあらゆる人にへの感謝の気持ちを尽くすこと
:言ったことを成し遂げること

イスラエルやアフリカへの支援事業へと舵を切る、榊原氏の覚悟が詰まった言葉だ。日本人としてあるべき姿を保ちながら、サムライインキュベートを、引いては日本全体を盛り上げていく気持ちを抱いている。

榊原 「まずは、僕らが行動で示していかなければなりません。たとえば、僕なんて海外展開とか言っていますが、TOEIC350点の成績で海外に乗り込んでいるんですね(笑)。そのくらい無謀なチャレンジから始めましたが、こうして事業を形にできているんです。だから”榊原さんにもできるなら自分にもできる”と思ってもらいたいなと」

先頭に立ち、成功事例を作るファーストペンギンとなる。そうすることで、後ろに続く日本人は確実に増えていくだろう。スタートアップのブームが巻き起こっている今、起業に挑戦する人材は非常に多い。そんな人々に向けて、榊原氏はこのようなメッセージを送りたいと語ってくれた。

榊原 「小さな成功体験の積み重ねで、大きな成功は生まれると思っています小さな成功体験って、なにもインターンシップやNPO活動などでなければ培えないものではないと思うんです。日常の生活、例えば好きな子にアプローチするということでもいいから、勇気を持って行動することの総量を増やす。そうすることで、自分の中に蓄積される自信が必ずありますから」

さらに、榊原氏は、日本の起業家の志の低さも懸念点のひとつだという。

榊原 「起業家の中で、最初は世界を……と語っているのに、いつからかイグジットのみで満足してしまう人がいます。でも、それはすごくもったいないことだと思うんです。たとえ、抱いた目標が高いものだとしても、志は高い方が力になり糧となります。だから、もっと多くの起業家に『孫さんを超える!!!』と言い出してほしいですね(笑)」

敗戦から74年間で経済を成長させた日本人、そして侍の魂の宿った日本人が、これから世界に向けて一体なにができるのだろうか。 その答えは、起業家一人ひとりの行動によって、変わってくるのだ。

敗戦から74年間で経済を成長させた日本人、そして侍の魂の宿った日本人が、これから世界に向けて一体なにができるのだろうか。

その答えは、起業家一人ひとりの行動によって、変わってくるのだ。

執筆:鈴木しの
取材・編集:BrightLogg,inc.
撮影:小池大介

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