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スタートアップを盛り上げ、社会を変えていく。IT・科学技術担当平井大臣とSlush Tokyoメンバーが対談

HIRAI Pitch

2018年12月、平井IT・科学技術担当大臣とSlush Tokyoのスタッフによる対談が行われた。平井大臣は自らピッチイベント「HIRAI Pitch(ヒライピッチ)」を開催するほか、積極的にスタートアップ界隈のイベントに顔をだすなどしてスタートアップシーンを盛り上げている。

対して世界的なピッチイベントを主催するSlush Tokyoは2019年にCEOが変わったことでも話題を呼んでいる。Slush Tokyoメンバーの大半は大学生だが、対談では平井大臣も積極的にSlushメンバーに今のスタートアップ界隈の現場について質問し大いに盛り上がった。今回はその議論の様子についてまとめていく。

経営者と政治家の仕事は同じ

平井大臣

1980年、電通に入社した平井大臣。その後、自らの起業や放送会社で経営者として事業を推進、政治の道へと歩みを進めることになる。Slushメンバーが気になるのはやはり経営者時代の話。サラリーマン時代は『仕事は与えられるものではなく作るもの』という自らの思いから、猛烈に働いていたという平井大臣。起業してからの様子はどうだったのか。

大臣 「最初はソフト開発の会社を立ち上げたんですよ。社員を集めて下請けの仕事をもらってね。順調に仕事をこなしていたんですが、ある時1億円ぐらいの案件が納期に間にあわなくてですね。結局1億円の損害をまるまる被ってしまいましたよ。当時は下請けいじめがあったかな。その時の教訓から、どこかの下請けはしないことにしたんです」

その後、自社サービスとして介護保険のシステムを作った平井氏は、社員が50~60人ほどの会社にまで成長させた。「スタートアップは大きくする時が一番楽しい」と語る平井氏。Slushメンバーから「経営者の経験は政治家としての仕事に活きているんですか」と質問されこう答える。

経営者と政治家の仕事は同じ

大臣 「経営者の経験は今に活きていますね。政治家になると『権利』が与えられると思われがちですが、実際のところ、政治家に与えられているのは『時間』だけなんです。与えられた時間で何ができるか。それは経営者と一緒ですよね。時間内に自分にできることは何かを考えて常に仕事をしていますね。
 
政治家の価値は与えられた時間で何をやったか、それだけで決まるんだ、と思っています。何もやっていない政治家は価値がない、と思いますし、何もしないことは時間の無駄遣いになります。極端な言い方かもしれませんが、少し間違ったことをやった政治家の方が何もやらなかった政治家よりはマシだと思っています。
  
だからこそ、どんな状態になっても楽しめる精神状態がある意味必要ですし、それは経営者を経験したからこそ身につけられたと思います」

日本の就活シーンと起業

日本の就活シーンと起業

平井大臣も、大学生でありながらベンチャーイベントの主催を担うSlushメンバーに興味があるようだ。なぜSlushの活動をしているのか、そして今の就活に対してどう思うのかSlushメンバーに質問をぶつける。

Slush 「Slushのメンバーには海外からの留学生も多いんですが、海外には就活はありませんし、就職のチャンスが年に1回しかないのは日本だけです。
  
新卒と中途が分かれていることにも違和感を感じますね。大学3年生になると、みんな一斉に自己分析を始めたりしますが、自己分析って人に言われてするものではないと思っています。みんな同じテンプレで自己分析していることに違和感を感じますし、それを提出させて満足している企業にも違和感を感じます」

Slushメンバーの話を聞いた平井大臣は、今の社会を振り返りながらこう危惧する。

大臣 「みんなが同じようにスーツを着て、役員たちの同じような質問に対して、用意してきた答えを応えるだけの就活は違和感ありますよね。企業が大きくなるほど、組織を守るための人を選んでいきますし、結果的に減点主義で学生を選ぶからそんなことになるのでは。
 
そうなると新しいことに挑戦しない会社が増えていきますし、就職したい会社がなかったら就活なんてつまらないですよ。そこをこれから変えていきたいですね」

今のベンチャーブームとこれまでのベンチャーブーム

今のベンチャーブームとこれまでのベンチャーブーム

話題は就活の話から今のベンチャーブームの話に。平井大臣としても今の若い人たちの起業の現場がどうなっているのか興味があるようだ。

Slush 「うまくいっている起業家を見ていると、課題解決型の起業家が多いように感じます。何か解決したい社会の問題があって、その手段として起業している人たちですね。その一方でとりあえず起業するっていう人も増えているように感じます。
 
起業が目的になってしまっている人たちですね。そういう方を見ていると、狭い視野で起業してしまうのがもったいなくも感じてしまいます」

それに対し「準備万端で起業する人もいないですけどね」と応える平井大臣。自身も起業したての頃に失敗した経験もあることから、とりあえずでもチャレンジすることに賛成のようだ。同時に以前のベンチャーブームとの違いにも言及する。

大臣 「前のベンチャーブームの時はスタイルだけで起業する人が多かったように思います。昔はインターネットができるっていうだけでビジネスになっていたので、『儲けたい』っていう気持ちだけで起業する人をたくさん見ました。
 
今はインターネットを使うことが前提の時代なので、ネットが使えるだけじゃ商売になりません。だから前のブームの時よりも想いを持って起業している人が増えたように感じますね。
 
最近は元役人の起業家が増えているのも、新しい動きのように感じますね。役所での経験も踏み台にして起業する人たちですね。以前はあまり見かけなかったので、どうビジネスを展開していくのか楽しみです」

これからは「地方×ベンチャー」「事業承継×ベンチャー」が熱い

「地方×ベンチャー」「事業承継×ベンチャー」が熱い

話題は今後のSlush Tokyoの動きに移っていく。平井大臣が今年のSlush Tokyoのテーマについて質問する。

Slush 「今年のテーマは『Call For Action』です。これまでのSlush Tokyoでやりたいことを見つける人は多かったんですけど、実際に行動に移せてない人も多いんじゃないかと思ったんです。
 
だから今年は実際に行動に移してもらえるような取り組みをしていきたいと思ってます。Slush Tokyo自体、これまでずっとやろうと思ってやっていなかったことがあるので、それらを実際に実現していきたいと思います。
 
その一つが『家業をもっている人とスタートアップコミュニティを繋げる』っていう活動です。実はSlushメンバーの中には家業を持っている人も多いんですけど、そういう人たちに『継ぐか継がないか』以外の選択肢を提供していけたらと思っています」

実際にSlushのメンバーの中には地方で家業を持っている学生も多いという。地方のスタートアップイベントに積極的に顔を出している平井大臣としては、その意見に大賛同のようだった。

大臣 「地方経済とスタートアップを繋げるのは大賛成ですね。地方の青年会議所にはエネルギーが溢れていろんなフランチャイジーをしている若者が大勢いるんですよ。そういった人たちは地元愛が強すぎてなかなか東京に出てこないですし、東京に来てもスタートアップのコミュニティと繋がるチャンスが少ないんです。
 
そういった人たちと東京のスタートアップコミュニティを繋げていったら面白いことになると思います。実際に最近では地方でベンチャー型の事業承継の成功モデルができてきています。今日本で跡継ぎ問題で困っている経営者は大勢いるので、跡継ぎがスタートアップを起こすベンチャー型の事業承継は新しい解決策になっていくかもしれませんね」

政策とムーブメント。ともにスタートアップを盛り上げて社会を変えようという平井大臣とSlushメンバー。互いの認識を共有して対談は締めくくられた。

執筆:鈴木光平
取材・編集:BrightLogg,inc.
撮影:小池大介

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